"おしゃれにたき火を" スウェーデントーチ

アウトドア愛好家の間で、「スウェーデントーチ」と呼ばれるたき火用グッズが
最近、注目を集めています。
蔵王町では地元の木材を利用してこのグッズを製造・販売している男性がいます。
このグッズ、町のふるさと納税の返礼品にも採用されています。

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美しくゆらめく優しい炎が特徴の「スウェーデントーチ」。
持ち運びしやすく手軽に、しかもおしゃれにたき火が楽しめると最近人気が高まっています。

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このトーチの魅力にとりつかれたのが蔵王町在住の渡邉悟士さん(43)です。
IT企業を経営しながら蔵王町でスウェーデントーチの製作・販売に取り組んでいます。

渡邉悟士さん
「もともとアウトドアが好きでしたが、コロナ禍で遊ぶことが制限される中で、
 新しいアクティビティを作れないかと友人と一緒に作り始めたのがきっかけです」

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渡邉さんは大学生の時に起業し東京や海外などで暮らしていましたが、
東日本大震災で仙台市宮城野区にあった実家が被災したのを機に
ふるさとの仙台に戻りました。

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その後、実家の片付けなどを手伝っていた渡邉さんですが、
2015年、蔵王町の自然豊かな風景を気に入り、家族と移住しました。

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渡邉悟士さん
「中学生のころに南フランスに住んでいたことがありますが、自然の雰囲気が蔵王町と似ていてすごく過ごしやすかった。こういう場所に住みたいと思いました」

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スウェーデントーチは、丸太の幹に切り込みを入れたシンプルなものです。

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材料に使うのは蔵王町産のヤマザクラの間伐材です。
町の資源を生かそうと、林業関係者から入手し、
岩沼市内の製材所でカットしてもらいます。

渡邉悟士さん
「ヤマザクラ自体は火をつけたとき甘い香りがしてとてもいい香りがするくん製材としてもとても人気がある素材。バーベキューにもとても合うんじゃないかと思っています」

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最初は趣味で始めたトーチ作りですが、渡邉さんはその魅力にとりつかれ、
独学で研究を続けるうちに着火しやすく、煙が出にくい溝や空気穴の形を考えました。
その後、特許を取得してトーチを商品化した渡邉さん。
月に500個ほど生産し、去年夏からインターネットなどで販売を始めたところ、
その評判が広がり、いまは生産が追いつかないほどの人気だということです。
そして、渡邉さんのスウェーデントーチは蔵王町のふるさと納税の返礼品にも
採用されています。

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蔵王町役場まちづくり推進課 高橋幸治 課長
「渡邉さんのトーチは木の香りがよいと大変評判です。蔵王町のおいしい食材とたき火グッズで町の活性化につなげていきたい」

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渡邉さんがトーチ作りに取り組む理由はアウトドア好き以外にもう1つありました。
震災で実家が被災した際、電気もガスも使えない生活を経験したことで
災害時にも役立つアウトドアグッズを作りたいと考えたのです。

渡邉悟士さん
「父が被災したときに電気がなくて大変苦労したという話を聞いていました。トーチの炎で暖をとったり、お湯を沸かしたりでき、揮発性や引火性もなく保存も可能なので非常時の燃料として役立つと思います」

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渡邉さんはトーチ作りの技術を使って新商品も手がけています。
こちらはアウトドアで使う七輪のような調理器具です。

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この調理器具で蔵王町産の野菜やお肉を味わってもらおうと、
町内の農産物直売所でも販売が始まりました。

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産直市場みんな野 村上なをみ 店長
「アウトドアはとてもはやっていますし、最近は1人でキャンプをする方もいます。地元の間伐材を使ったグリルで蔵王の食材がよりおいしくなるのが魅力だと思います」
渡邉悟士さん
「蔵王町は人材、食材も含めてコンテンツがすごく豊富で、魅力的な町だと思います。地元の間伐材を使ったバーベキューグッズとして地域に密着した形で商品展開し、国内外にアピールしていけたらいいなと考えています」

これまでアウトドアにあまり興味がなかった私でも今回の取材でたき火の魅力を知り
この夏、キャンプに行ってみたくなりました。

(取材 白石支局・岡田俊輔記者)

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