世界初撮影！樹氷 神秘の誕生を記録せよ！！～撮影舞台裏～

東北は、世界にも誇る大自然の宝庫。
その魅力を圧巻の映像で伝えたい！
地元の若手ディレクターが、超難関の自然現象の撮影に挑むスペシャル番組!!
「東北スゴすぎ！超絶景ハンター」

今回挑戦するのは、真冬の絶景「樹氷」。
実はこの樹氷、世界でも東北以外ではまず見ることのできない超～珍しい絶景なんです。
しかしいったいどうやって出来るのか？　これまで、その誕生から成長の一部始終をとらえた映像は、世界中どこにもありませんでした。

その姿をとらえてみたい！　前代未聞のミッションに挑戦するのは、秋田局3年目ディレクターの藤崎花美（筆者）。ベテラン自然カメラマン、野澤耕治さんの力を借り、足かけ1年半にもわたって撮影に挑みました。（ちなみに野澤カメラマンは、絶景ハンター第1回、「白神山地」で幻の絶景“峰走り”の撮影を大成功に導いた立役者です！）

【初めて見る樹氷は、まさに圧巻！】

私の出身は東京です。自然番組の制作を担当したいとNHKに入局し、秋田放送局に配属になりました。
今回のミッションが立ち上がったのは、その1年目の冬。
それまで雪山にすら一度も行ったことがなかった私にとって、一面の銀世界だけでもその美しさは筆舌に尽くしがたく、まさに感動の連続でした。
そして、ついに樹氷と初対面。頭の中で想像していたイメージよりも断然大きくて、まずはその「威圧感」に圧倒されました。同時に、こんなすごいものがどうやって自然にできるのか、その秘密を知りたくてたまらなくなりました。

★森吉山山頂付近に広がる樹氷の絶景！★

★プライベートで初スキー！★

【過酷すぎる！冬山の撮影】

本格的に撮影が始まったのは去年（2022年）の秋。自動撮影カメラを山の中に仕掛けます。
そしていよいよ冬。最低気温、マイナス20℃近くの山の中に入り、絶景の撮影に挑みました。
それまで雪を見ては「きれい～」とテンションが上がっていた私も、まさに顔が凍りつくほどの過酷な日々。まつげも眉毛も凍るような想像以上の寒さ、そして天候の急変に悩まされ続けたのです。

★ひと晩でカメラが「樹氷」に…★

【入局2年目で夢がかなう!?】

私は小さい頃から生きものが本当に大好きで、NHKの自然番組「ダーウィンが来た！」を毎週欠かさず見て過ごす子どもでした。
大学院では進化の謎を解き明かそうと、魚の嗅覚を研究する日々。そうした中で、生き物の「不思議」を子どもたちに伝える仕事に就きたいと考えるようになりました。

★水族館に週1ペースで通っていた筆者（当時5歳）★

念願かない、NHKに入局した私。いきなりチャンスが巡ってきます。
この「超絶景ハンター」で、日本海に集まるクロマグロの大集結を撮影することになったのです。「いつか自然番組を担当できたら」という夢が、あっという間にかなってしまいました！！！

★船上でマグロ大集結の撮影に挑む筆者★

ところが…撮影は、まさかの失敗。
天候に恵まれず、マグロの大集結どころか、その姿すらカメラに収めることが出来なかったのです。
もちろん万全の準備で挑みましたが、撮れるか撮れないか、最後は「運」。小さいころから当たり前のように「撮影成功」をテレビで見てきた私も、その実際の撮影の難しさに驚くとともに、難関ミッションを成功させてきた先輩たちの「すごさ」をあらためて感じたのです。
この悔しさをバネに、絶対にリベンジしたい！！！！

【汚名返上！樹氷の森に現れるノウサギを激写！！】

今回の樹氷の撮影も、決定的な「撮れ高」のないまま、無情に時ばかり過ぎてゆきました。
「このままでは、また前回の二の舞だ…」
汚名返上、とばかりに挑んだのが、樹氷群に現れるノウサギの激写です。樹氷の森にはノウサギの食べものが少ないんですが、なぜか足跡がたくさん。こんなところでいったい何をしているのか、その行動を記録したいと思ったからです。

動物園ではよく見るウサギですが、野生のノウサギは夜行性で警戒心が強く、なかなか人前には現れません。ベテラン、野澤カメラマンと真っ暗闇の冬山で、撮影に挑みました。

まさに「いてつく寒さ」。しかもノウサギに気づかれないよう、テントの中でじっと過ごさなければなりません。
その撮影秘話を、スタジオゲストの平成ノブシコブシの吉村崇さんと語りましたので、ぜひご覧ください！

【予想外が、おもしろい】

今回の撮影は、足かけ1年半。自然番組の撮影は、本当に時間がかかります。
特に2年目の冬は2か月あまりの間、スタッフ一同、まさに「合宿生活」でした。
毎日、山に通うことで見えてくる、樹氷のでき方の特徴や動物の習性など、たくさんの発見がありました。

★樹氷撮影中のクルー★

★ベテランカメラマンが作ってくれたカレー。きついロケでの最高の至福の時間★

若手ディレクターの「無謀さ」と、ベテランカメラマンの「経験」があって、はじめて撮影できた映像だと思います。