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佐賀工業ラグビー部 花園優勝めざすアスリートを支えるグルメ

元日本代表・五郎丸歩さんも愛した味
  • 2023年12月20日

2023年12月27日に開幕する、第103回全国高校ラグビー大会。佐賀代表は、42年連続52回目の出場を決めた佐賀工業です。2023年7月には7人制の全国大会で優勝するなど充実した戦力を誇り、優勝候補にも挙げられています。

長年、そのラグビー部に寄り添い、選手たちを支えてきた人たちがいます。今やチームの強化にとって欠かせない存在になっています。

【めざせ悲願の花園優勝 佐賀工業ラグビー部】

創部は1946年

42年連続で「花園」、全国高校ラグビー大会に出場する佐賀工業ラグビー部。これまでの最高成績は準優勝です。

フォワード陣は伝統のスクラムを磨く

70人あまりいる部員の半数以上が、佐賀工業でのプレーに憧れ、県外の中学からやってきました。

7月には7人制の全国大会に出場

2023年7月に長野県で開かれた7人制の全国大会では、チームが誇る俊足の選手たちがトライを量産し、初優勝を果たしました。

7人制大会の優勝メンバー

15人制の「花園」での優勝も期待されています。

1986年からチームを指導する小城総監督

長年チームを率いてきた小城博(おぎ・ひろし)総監督も、手ごたえを口にします。

(小城総監督)「私からみれば、37~8年指導してきたなかで、特筆したチーム。優勝はチャンスというよりも、与えられた使命だと考えています」

【佐賀工業ラグビー部 練習後の食事で強化】

花園での優勝を狙う、ラグビー部員の体づくりを支えてきた場所があります。

練習を終えた選手たちが・・・
続々とやってくる

練習を終えた選手たちが続々とやってくるのは・・・。

1989年に開店

学校から歩いて20分ほどのところにある、小料理店です。

選手たちはどんぶりを手にごはんをよそう

どんぶりいっぱいに、ごはんをよそう選手たち。一日に炊く米の量は、約15キロです。

30人近い選手たちに夕食を提供している

寮生活をおくる選手たちが、ここで夕食をとります。

笑顔で夕食をとる選手たち

体が最も栄養を必要とする練習直後の時間帯にしっかりとした食事をとり、エネルギーを回復させます。

3年生の井上達木(いのうえ・たつき)選手

(井上選手)「めっちゃおいしいです。食事の時間は、ほっとする時間ですね」

15人制の大会ではスタンドオフを務める服部選手

食事によって大きく成長したのが、服部亮太(はっとり・りょうた)選手です。

7人制大会決勝で先制トライをあげる服部選手

服部選手は、夏の7人制の大会でMVPを獲得しました。

自身の成長点について話す服部選手

(服部選手)「入学当初は、身長が165センチなくて体重も65キロないくらいだったんですが、今は、身長が178センチで体重が80キロまで増えました。スピードとフィジカルがあがって、走力というオプションも増えて、自信につながりました」

【選手たちを支える 『愛情ごはん』】

食事を準備する野中さん夫婦

小料理店を夫婦で切り盛りする、野中慎吉(のなか・しんきち)さんと、妻の益美(ますみ)さんです。

選手たちへの思いを話す益美さん

(益美さん)「あちこちから来て頑張ろうという子たちに、ごはんをたくさん食べさせてあげないといけない。ラグビーは体が資本ですから」

1993年撮影

2人がラグビー部に食事を提供するようになったのは、1992年から。「選手たちに満足な食事をとってもらいたい」と、相談を受けたことがきっかけでした。

食事づくりをお願いした経緯を話す小城総監督

(小城総監督)「とにかく食堂を探せということで、野中さん夫婦の小料理店を訪ねて。そこから2人、3人、5人、10人と、世話してもらう部員の数が増えていきました。これ(野中さん夫婦の協力)なくしては今の佐賀工業のラグビーはないと思っています」

店内で撮影された数多くの写真

野中さん夫婦は、これまで200人近い選手たちの食事を世話してきました。卒業生は、今も店を訪れるといいます。

(益美さん)「いろいろな卒業生が来ますね。彼女ですとか、結婚しましたとか、子どもが出来ましたとか」

高校時代の五郎丸さん

元日本代表の五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)さんも、そのひとりです。

(益美さん)「ラグビーをやめるときも、店にあいさつに来たんですよ。もうやめますって」「高校時代から、まっすぐな一本気な子でしたから、後輩が悪いことをしたらすごい怒ったりしました。あれだけ大成するっていうのは、ラグビーに対する真剣さが違うんです」

五郎丸さんも愛したカレーライス

そんな五郎丸さんが数あるメニューのなかで大好きだったというのが、カレーライス。

今の選手たちからも大人気

激しい練習のあともたくさんの量を食べられることから、今の部員たちからも人気です。

食器返却の際に益美さんに声をかける選手たち

(部員)「おいしかったです。また作ってください」

第80回大会の準優勝の際は、約300人が出迎えた

選手たちを息子や孫のように思っていると話す野中さん夫婦。前回の花園での決勝も現地で見守っていました。ことしこそは優勝をと、心待ちにしています。

ことしの大会への期待を話す益美さん

(益美さん)「前回の決勝はドキドキして見られなかったんですけど、ことしは余裕をもって見られると思います。楽しみですね」

佐賀工業の初戦は12月30日

悲願の花園優勝へ。選手たちは、野中さん夫婦へ恩返しを誓っています。

大会への意気込みを話す井上選手

(井上選手)「優勝してトロフィーを見せたいと思っています」

優勝を誓う選手たち

(選手たち)「花園優勝するぞ!!」

【取材後記】

野中さん夫婦について、ある選手は、「お父さんお母さんのようです。気軽にやさしく話しかけてきてくれて、自分たちのメンタルケアという感じです」と慕っています。

選手たちから人気の、野中さん夫婦が作るごはん。そこには、選手たちへの思いが詰まっています。益美さんによると「夕食で多くの量を食べられるよう、アレルギーなどの苦手な食品があるかどうかをひとりひとりの親から直接聞いて、嫌いな食品を無理やり食べさせないようにしている」ということです。そうした工夫があったからこそ、五郎丸さんが愛したカレーライスも生まれたんですね。

また、店には独自の決まりもあります。

ほかよりひと回り大きい、このお茶碗。ラーメン用のどんぶりと同じくらいの大きさで、店にある中で最大のもの。

歴代の主将が使ってきたもの

これは、「キャプテン皿」と言われているもので、歴代の主将だけがこのお茶碗を使えるという決まりです。ことしのチームでは主将を務める大和(やまと)選手が使います。

2017年度主将を務めた松田さん

「キャプテン皿」が使われ始めたのは、現在コーチを務める、松田晃汰(まつだ・こうた)さんが主将を務めていた2017年度の代から。松田さんは、大学卒業後に佐賀に帰ってきたとき、そのルールが受け継がれていると聞き、「自分がいた証が残っていたことが素直にうれしかった」と話しています。

2023年12月27日に開幕する、第103回全国高校ラグビー大会。シード校の佐賀工業の初戦は12月30日です。そして、決勝は、2024年1月7日に行われます。

悲願の初優勝めざし、持てる力を存分に発揮して、頑張ってください!

  • 池野健

    佐賀放送局アナウンサー

    池野健

    2023年は、ラグビーW杯や早慶戦の実況などで
    五郎丸歩さんや山村亮さんら佐賀工業出身の方々に
    大変お世話になりました。

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