「デジタル時代のNHK懇談会」中間報告
 
1.懇談会設立の経緯
2.「デジタル時代のNHK懇談会」の基本的立場
3.公共放送NHKへの提言
4.最終報告に向けて

 

1 ■懇談会設立の経緯
 NHKはいま、危機のさなかにある。一昨年以来相次いで発覚した金銭的不祥事と、政治との距離に対する疑念をきっかけに噴きだした視聴者からの批判と不信は、受信料の不払いや保留の急増へとつながって、その経営基盤を揺るがすまでに至った。
 「デジタル時代のNHK懇談会」は、あらたに就任した橋本元一会長の諮問機関として、昨年5月に設置された。各界、各層、各地から集まった懇談会委員もまた、多くの視聴者がNHKに投げかけた批判と不信を共有し、それらをNHK改革に具体的に活かさなければならない、と考えてきた。
 当初、懇談会に諮問されたのは、「デジタル時代の公共放送のあり方」「公平負担のための受信料体系のあり方」等のテーマである。しかし、すべての委員に共通していたのは、いま目の前にある危機は小手先の対応などでは解決できない、ということであり、さらに公共放送NHKの再生如何、その内容如何が日本のマスメディアの、ひいてはこの国の民主主義の将来をも左右するだろう、という危機意識であった。
 私たちは、学術・文化とジャーナリズム、産業・企業と労働、行政と地域・福祉活動など幅広い分野での知見と経験を持ち寄り、多様な視聴者の一員として、独立した自由な立場から、公共放送としてのNHKのあり方について、放送と通信の競合・融合・連携について、また放送の強い影響が将来にわたってこの社会にもたらす功罪について考え、討論を重ねてきた。
 本日、ここに公表するのは、こうした議論に基づき、近く詳細をまとめて、橋本NHK会長に提言する最終報告の主な論点を整理したものである。