2018年7月13日

復興庁 吉野正芳大臣 古屋桃香さん 平田菜摘さん

「タテ割り」なくす復興カレー

2018年7月13日

お昼時の復興庁の大臣室。おや、若い職員の方がいらっしゃいますね。

こちらは、吉野復興大臣が若手4人と開いた昼食会です。半年前にスタートし、すでに30回以上を数えているとか。

メニューは必ず560円のカレー。これには理由があります。吉野大臣は福島県出身。そしてカレーには福島県産のコメや米粉が使われているのです。

このカレーを作っているのが、衆議院第一別館の地下にあるおにぎり屋さん。こちらから毎回、取り寄せています。

店長は、福島県いわき市出身の菊地順子さん。
東日本大震災で被災しましたが、「原発事故の風評被害に負けず、福島のおコメのおいしさを伝えたい」と2年後の2013年にお店を開きました。

福島県産の米粉を丁寧に炒めて作ったルーは甘口で、小麦粉よりもさらっとした食感。後味もすっきりしています。時期によって牛すじや豚肉など、具を変えているとのこと。ごはんはもちろん福島県産です。

吉野大臣、どうしてこういう昼食会を。
「各省庁寄り合い所帯の復興庁なので、職員の垣根をなくそうと。職員には人脈をつくってほしい」

『寄り合い所帯』というと疑問に思う方もいるかも知れないので、ちょっとご説明しましょう。
そもそも復興庁は、東日本大震災が起きたあと設置された組織で、位置づけとしてはこうなります。
(首相官邸のホームページより)

復興庁の説明によれば、
「内閣総理大臣を長とし、事務を統括する復興大臣を置く。各省より一段高い位置づけ」
ということなんです。

でも、だからこそ、職員は各省庁から出向で集められました。最近の人事発令を見ても、ご覧の通り。

国土交通省、厚生労働省、農林水産省などなど。そう、復興にはさまざまな方面からの取り組みが不可欠。エキスパートを集めているわけですね。しかし、彼らが「出身省庁の代理人」のようになってしまうと、たちまちタテ割りの弊害が生まれてしまいます。それを防ごうという昼食会ですか。

参加した古屋桃香さん(27歳)。
文部科学省からの出向で、福島県の観光業者とともに、原発事故で被災した県内12市町村の観光事業の開発に取り組んでいます。
「いわき市や郡山市にまで来て頂いた人には、さらにもう一歩、被災地へと足を運んでもらいたい」

吉野大臣は「今月には被災した楢葉町にJヴィレッジが一部で再開するからね。近くには廃炉現場を疑似体験できる施設もあるから、そこを組み合わせて」とアドバイス。

内閣府から出向している平田菜摘さん(29歳)。
自分の担当分野ではありませんが、やはり福島第一原発の視察が印象に残っていると言います。
「いまだに衝撃的というか。発災後そのままのところがあって。大きなタンクがねじまげられていることにものすごく衝撃を受けました」

吉野大臣も「やっぱり現場を見ることが1番大切なんだよ。私は来月で70歳になるんだけど、廃炉を見届けてからお迎えに来てもらいたいから、あと30年は生きなきゃね」と。

福島のおコメでおなかを満たしつつ、被災地の復興に向けた熱いトークが続いていました。

ごちそうさまでした!