2020年1月27日

復興大臣

田中和徳さんは「福島の食品輸出へ作戦会議」

2020年1月27日

東京・霞が関にある復興庁のお昼どき。

原発事故の風評払拭(ふっしょく)を考える「作戦会議ランチ」が開かれると聞いて、訪ねてみました。
出迎えてくれたのは、復興大臣を務める田中和徳さんです。(71)

「どうぞ、どうぞ」

大臣室の机の上には、色とりどりの料理が。
タイにインドネシア、それにベトナム、シンガポールの4か国、全部で6種類。

どれも東南アジア料理ですね。
職員が手分けして霞が関周辺のお店を回り、テイクアウトしたそうです。しめて5000円。

あれ、でも、「風評払拭」なので、てっきり福島県の料理かと思っていました。
「国内での風評払拭も大事だけど、ことしは海外への情報発信を強化していくことにしているんです。そこできょうは、東南アジアの味を楽しみながら、福島産食品の売り出し方を考えようとね」

田中さんと集まった職員4人で、それぞれの料理を少しずつシェアして、箸を付けていきます。

まずはベトナムで人気の麺料理、フォー。

「うん、おいしい、おいしい。現地のものと比べると、パクチーなどの野菜は少なめだけど、甘みや酸味が控えめで、いい味だね」

他にも、シンガポール名物のチキンライスに…

米粉の麺を野菜などと炒めたパッタイ。

職員の西村恵太さんが解説してくれました。
「実はきょうの料理すべて、コメが使われているんです。福島のコメにも販路拡大のチャンスがないかなと思って」

タイとベトナムはすでに福島産食品の規制を解除、シンガポールとインドネシアはまだ条件付きですが、4か国とも福島産のコメを輸出することができます。
でも、まだまだ風評が根強く、輸出拡大に苦労しているそうなんです。

世界99か国を訪れたことがある田中さん、課題を指摘します。

タイやベトナムでよく言われたのは、『日本のコメはにおいがしないし、粘り気があるのでくっついてしまうからダメだ』と。東南アジアのコメ料理は、やっぱりパサパサしていることと、香りが大事なんだよね」

日本のコメを受けいれてもらうには、現地の料理に使ってもらうより、むしろ日本のコメ自体のおいしさを知ってもらうことが大事なのでは。そんな方向に議論は進みます。

実際、マレーシアでは、水事情が悪いこともあり、「無洗米」の需要が高まっているそうです。

「福島のしゃもを使った親子どんぶりとか、実際に食べてもらって『おいしい』と思ってもらう、これが一番大事。そのためにも、わたし自身が海外に行って、福島の食品のトップセールスを実施するなど、積極的にアピールしていきたいですね」

東日本大震災と原発事故から、まもなく9年。
きょうのランチミーティングをヒントに、風評払拭への取り組みが着実に進んでいくといいですね。

ごちそうさまでした。