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今回は
全世代型社会保障検討会議

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全世代型社会保障検討会議とは

全世代型社会保障制度の実現に向け、政府の司令塔となる新たな会議の初会合が9月20日に開かれました。さらなる高齢化社会を見据え、給付と負担の見直しを含めた抜本的な改革の議論に踏み込めるのかが焦点となります。

社会保障制度の改革が求められる背景には、高齢化のさらなる進展があります。
3年後の2022年には、昭和22年から24年の第1次ベビーブームに生まれたいわゆる「団塊の世代」が75歳になり始めます。そして2025年には、「団塊の世代」あわせて560万人あまりが、すべて75歳以上の後期高齢者になります。
その結果、2025年には75歳以上の後期高齢者は、2180万人と人口全体の18%にのぼると予測されています。

5人に1人が後期高齢者となり、社会保障費の急増が見込まれることから「2025年問題」と言われています。

さらに、2040年には第2次ベビーブームの団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者の数は3900万人あまりとピークを迎えます。
これにともなって年金、医療、介護にかかる社会保障費は、膨らみ続け、2018年度のおよそ121兆円から、2025年度には140兆から141兆円に、2040年度には、現在の1.5倍以上の188兆円から190兆円に達すると試算されています。
高齢化の進展によって膨れあがる社会保障費を、どのように賄っていくのかが、喫緊の課題となっているのです。

会議では、まず、高齢者の就労促進の議論が進められる見通しです。政府の調査によりますと、65歳以上で働いている人は、去年862万人と、これまでで最も多くなりました。
政府は、意欲のある高齢者が、希望すれば長く働けるよう、環境整備を進めることにしています。
背景には、現役世代の人口が減る中、元気な高齢者にも社会保障の支え手に回ってもらいたいという狙いがあります。現在、企業には希望者全員の65歳までの雇用が義務づけられていますが、政府は、70歳まで就業機会を確保するための制度案を決め、ことし6月の「骨太の方針」に盛り込みました。

制度案では、定年の廃止や、70歳までの定年延長、継続雇用制度の導入など、7つの選択肢を挙げ、企業が選べる仕組みとしていて、政府は、企業に努力を求める法案を、来年の通常国会に提出する予定です。
会議では、さらに、企業がどの程度、責任を負うかなど企業側の関与のあり方について具体的な検討が行われる見通しです。また、年金の受給開始年齢の選択肢を70歳以降にも広げるなど、年金制度の見直しもあわせて議論することにしています。

年金分野では、まず厚生年金の適用範囲の拡大が論点となります。パートなどで働く短時間労働者が厚生年金に加入しやすくなるよう、加入条件を緩和することが検討されます。
短時間労働者の将来の所得保障につながり、いわゆる「就職氷河期」世代の非正規雇用の人たちの低年金対策にもなると期待されています。

一方で、保険料の半分を支払う企業側の負担が増えることから、理解が得られるのかが焦点となります。また、現在60歳から70歳までの間で選べる年金の受給開始年齢を、75歳まで選択できるようにすることや、高齢者の就業意欲を削いでいると指摘される一定の収入がある高齢者の年金を減らす「在職老齢年金」という制度の廃止を含めた見直しも検討課題となります。

こうした制度改革は、厚生労働省の審議会でも並行して議論が進められていて、政府は、来年の通常国会に関連法案を提出したい考えです。

医療分野では、75歳以上の後期高齢者の病院などでの窓口負担を今の原則1割から引き上げるかどうかも検討課題となる見通しです。
医療費は、2018年度はおよそ40兆円でしたが、高齢化の進展に伴って膨らむ見通しで、2025年度には47兆円から48兆円に、さらに、2040年度には、現在の1.5倍以上に当たる67兆円から69兆円に膨らむと試算されています。

一方で、医療・介護・年金をあわせたサラリーマンの保険料率も、2022年度には30%を超えると見込まれています。このため、現役世代の負担を軽減し、医療保険制度を維持するためには、高齢者にも一定の負担増を求める必要があるとして、財務省の審議会や、健保連=健康保険組合連合会は、窓口負担を原則2割に引き上げることを求めています。

これに対し、日本医師会などは、生活が苦しい高齢者が、病院に行くのを控える受診抑制につながりかねないとして、慎重な検討を求めています。高齢者からの反発も予想される中、負担増の議論にどこまで踏み込むのかが焦点となります。

介護分野では、3年に1度の介護保険制度の改正を来年に控え、厚生労働省の審議会で議論が進んでいます。介護費用は、高齢化を背景に年々増え続け、今年度の予算ベースで11兆7000億円と、制度が始まった平成12年度と比べておよそ3倍に増加しています。

今後も高齢者の人数がピークを迎える2040年度に向けて増加していくことが見込まれ、給付と負担の見直しが喫緊の課題となっています。こうした中、厚生労働省の審議会は介護保険制度の見直しを議論していて、その論点の1つとなるのが、介護サービスを利用した時の自己負担の見直しです。
自己負担の割合は、1人暮らしの場合、年収280万円未満なら1割、280万円以上なら2割、現役世代と同じ程度とされる年収340万円以上なら3割となっています。
こうした基準を見直すなどして、2割負担や3割負担の対象を拡大するかどうかが検討されます。ただ、自己負担を増やすと介護サービスの利用控えが広がるという懸念もあり、議論が難航することも予想されます。

また、在宅で介護サービスを受ける際に作成する「ケアプラン」の有料化や要介護1と2の生活援助サービスを、国から市町村の事業に移行するかどうかについても検討される見通しです。厚生労働省の審議会は、年末までに制度の改正案をとりまとめることにしていて、来年の通常国会に法案が提出される見通しです。

病気の予防や健康づくりを後押しする施策もテーマの1つになります。生活習慣の改善や認知症の予防を通じて、健康寿命を延ばすことで、医療費や介護費の抑制につながると期待されています。
生活習慣病の予防やがん検診の受診率向上などに積極的に取り組んだ自治体や「健康保険組合」などには、財政支援を手厚くすることなどが検討される見通しです。

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