緊急事態宣言 沖縄県追加の
政府方針 分科会が了承

新型コロナウイルス対策で専門家でつくる分科会は9都道府県に出されている緊急事態宣言について、23日から来月20日までの期間、沖縄県を追加する政府の方針を了承しました。

感染症などの専門家でつくる政府の「基本的対処方針分科会」は21日午前、西村経済再生担当大臣らが出席して開かれました。

この中で西村大臣は「全国的に厳しい感染状況が続いていて地域によっては医療が非常に厳しい状況にあるところもある。インドで最初に確認された変異株は感染力が強く、免疫やワクチンの効果を低下させるのではないかという可能性も指摘されており、最大限の警戒感をもって対応していかなければならない」と述べました。

そのうえで9都道府県に出している緊急事態宣言について、23日から来月20日までの期間、まん延防止等重点措置を適用している沖縄県を追加する方針を諮りました。

そして、沖縄県の状況について新規陽性者数や病床の使用率が高い水準にあり多くの指標が「ステージ4」相当になっているとして、飲食店での酒類の提供停止や観光などでの県外からの訪問自粛の働きかけといった強い措置が必要だという認識を示しました。

また、西村大臣は重点措置を適用している10県のうち、愛媛県は感染状況が改善しているとして今月31日までとしていた期限を前倒しして22日をもって対象から外す方針も諮りました。

一方、沖縄県とともに宣言の要請があった岐阜県については見送り重点措置を継続する方針を示しました。

分科会ではこうした政府の方針について議論を行い了承しました。

これを受けて政府は午後からの国会への報告と質疑を経て21日夜6時からの対策本部で決定することにしており、3週連続で宣言の対象地域が追加されることになります。

沖縄県 酒類提供の飲食店などに休業要請へ

沖縄県は感染拡大に歯止めをかけるため酒類を提供する飲食店などに休業要請を行う方針で、21日午後の対策本部会議で対象範囲や期間などについて具体的な検討を始めることにしています。

また「まん延防止等重点措置」の対象となっている地域で営業時間の短縮要請に応じていない店舗のうち、特に住民から苦情が多い15店舗について22日までに店名を公表し、要請に応じるよう求める「命令」を初めて出すことにしています。

沖縄県の玉城知事は21日朝、記者団に対し「緊急事態宣言を受けて県としての対処方針について協議をする」と述べ、対応を急ぐ考えを示しました。

西村経済再生相「しっかりと対応したい」

西村経済再生担当大臣は分科会のあと記者団に対し「インドで発生している変異株への対応や抗原検査キットの活用、データの分析や各県との共有などについていろいろとご意見をいただいた。しっかりと受け止めて対応していきたい」と述べました。

一方、岐阜県が緊急事態宣言を、茨城県などがまん延防止等重点措置の適用を要請していることについては引き続き各県と連携して感染状況や病床の状況などを分析し、必要があれば機動的に対応する考えを示しました。

分科会 尾身会長「宣言解除はその後の戦略、対策が重要」

「基本的対処方針分科会」の尾身茂会長は会合のあと報道陣の取材に応じ、緊急事態宣言の対象地域に沖縄県を追加する政府の方針を了承したと述べました。

そのうえで「だんだん宣言の解除について議論する時期に近づいてきているが、解除するしないという議論だけでなくインドで広がる変異ウイルスの問題も出てきているので、宣言を解除したあとにどういう戦略で対策を行っていくかが重要になる。解除の前に国や自治体は何をするのか、インド株の感染性はどのように評価するのか、水際対策や疫学調査はどのように行うのかなど、大きな戦略をもう一度立ち止まって議論しようということになった」と述べました。

全国知事会 飯泉会長「国民の不安解消と理解が重要」

全国知事会の飯泉会長は分科会のあと記者団に対し「変異株、特にインド株に対し国民はものすごく不安がっている。ワクチン接種がすべて終わったらどのような姿になるかとか、いま我慢を強いていることが今後はどのような形になるかなどを示していく必要があるという意見が出た。国民の不安解消と理解が重要だ」と述べました。