ヤングケアラー 早期把握し
支援へ体制強化 国が報告書

家族の介護などに追われる子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」について、支援策を検討してきた国のプロジェクトチームが報告書をまとめ、学校や地域などで早期に把握して支援につなげる体制を強化することなどが盛り込まれました。

家庭で、両親や祖父母、きょうだいの介護や世話などをしている子どもたちは「ヤングケアラー」と呼ばれ、国の調査では、中学2年生のおよそ17人に1人、全日制の高校2年生のおよそ24人に1人が「世話をする家族がいる」と回答しています。

厚生労働省と文部科学省が合同で設置したプロジェクトチームは17日、支援策を報告書にまとめました。

それによりますと、ヤングケアラーを早期に把握して支援につなげるため、教育委員会の担当者だけでなく、医療機関のソーシャルワーカーやケアマネージャー、児童委員、それに子ども食堂のスタッフなども対象に研修を行います。

また、相談体制を強化するため、子ども時代に家族を介護した人が対面やSNSなどで相談に応じる事業や、ソーシャルワーカーやカウンセラーを学校に配置する自治体への支援も検討します。

このほか、子どもが主に介護を担っている家庭には、子どもによる介護を前提とせず、在宅向けの介護サービスの提供を十分に検討するよう自治体などに周知し、幼いきょうだいの世話をする子どもがいる家庭のために家事や子育てを支援するサービスの創設も検討するなどとしています。

厚生労働省と文部科学省は、報告書をもとに具体的な支援策を検討し、来年度の予算編成に向けて準備を進めることにしています。

山本厚生労働副大臣は、会合の冒頭「社会的な孤独や孤立が大きな問題となる中、ヤングケアラーは特に行政の手が届きにくい状況にある。ヤングケアラーに手を差し伸べる施策を進めることは、家庭全体への支援につながるため非常に重要で、対策を通して、誰一人取り残すことのない社会を目指したい」とあいさつしました。

さいたま市 中高生対象にヤングケアラーの実態調査

「ヤングケアラー」の具体的な支援につなげようと、さいたま市は来月、市立の中学校や高校などに通うおよそ3万4000人を対象に調査を行うことになりました。

埼玉県内では県も去年「ヤングケアラー」の大規模な調査を行っていて、さいたま市は国や県の調査結果を踏まえ、教員が行う具体的な支援を検討する必要があるとして、独自に実態調査を行うことを決めました。

調査は市立の中学校や高校などのすべての生徒およそ3万4000人を対象に、生徒に配備されている端末などを使用して、来月17日から30日にかけて行われます。

調査では世話をしている家族の状況や本人の悩み、相談相手の有無などをたずね、ことし9月ごろまでに結果をまとめる方針です。

また、具体的な支援につなげるため調査は記名式で行うということです。

さいたま市教育委員会の細田眞由美教育長は「学習や進路など教員が支援できることがたくさんある。スクールカウンセラーなど専門家とも調査結果を共有し、ひとりひとりに何ができるか具体的に検討したい」と話していました。