国民投票法の改正案
衆院 賛成多数で可決

憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案は、11日の衆議院本会議で、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。改正案は、自民党と立憲民主党の合意に基づき、今の国会で成立する見込みです。

国民投票法の改正案は、先週6日の衆議院憲法審査会で、立憲民主党の提案に沿って、投票の広告規制などについて「施行後3年をめどに法制上の措置を講じる」と付則に盛り込む修正を行い、自民・公明両党や立憲民主党などの賛成多数で可決されました。

改正案は、11日の衆議院本会議で採決が行われた結果、自民・公明両党と立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。

日本維新の会は先週の憲法審査会の採決では修正部分には反対しましたが、11日の採決では賛成しました。

共産党は反対しました。

3年前の平成30年に提出された改正案には、公職選挙法に合わせて、国民投票も、事前に決められた投票所以外でも投票可能な「共通投票所」を、駅の構内やショッピングセンターなどに設置できるようにすることなどが盛り込まれています。

改正案をめぐっては、自民党と立憲民主党の幹事長が、今の国会で成立させることで合意していて、今後、参議院での審議を経て、6月16日までの今の国会で成立する見込みです。

自民 新藤元総務相「憲法改正論議活発になる前提できた」

衆議院憲法審査会の与党側の筆頭幹事を務める自民党の新藤元総務大臣は、記者団に対し「提出から3年かかったが、全党が参加して採決が行われ、無事に衆議院を通過できたことは喜ばしいことだ。採決は大きな出来事だが、通過点の一つだ。憲法改正の議論を進めなければならず、論議が活発になる前提ができた」と述べました。

立民 山花憲法調査会長「多くの政党の賛同 合格点」

衆議院憲法審査会の野党側の筆頭幹事を務める立憲民主党の山花憲法調査会長は、記者団に対し「多くの政党の賛同を得て今回の結論になったことは、十分、合格点だ。今後はCM規制などが優先課題になると思うので、こちらを重点的に議論するよう主張していきたい」と述べました。

自民 二階幹事長「ようやく最初の扉が開かれることに」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「関係者の協力に感謝したい。長く懸案だったものが、ようやく最初の扉が開かれることになった」と述べました。

また、憲法改正に向けた今後の議論については「慎重のうえにも慎重に対応し、国民の納得や理解を得たうえで、目的が達せられるようにしていきたい」と述べました。

自民 佐藤総務会長「やっとここまで来たかと」

自民党の佐藤総務会長は、記者会見で「やっとここまで来たかという感じはあり、誰も反対していないのに3年もかかったのは何だったのかという思いはある」と指摘しました。

また、憲法改正に向けた今後の議論について「自民党としては、4項目の改正案を掲げて、憲法審査会で審議しようということであり、野党からもいろんな意見が出ている。今まで進まなかった憲法改正をめぐり、国民の目にしっかりとどまる審議がなされていくのではないかと信じている」と述べました。

立民 安住国対委員長「与野党でコンセンサスは成果」

立憲民主党の安住国会対策委員長は、代議士会で「与野党で対決するのではなく、きちんとコンセンサスを作れたことは一定の成果だった。ただ、これが憲法改正につながっていくのではないかという疑念を持つ人もおり、今回の合意は、今後3年間、時間をとってCM規制などの議論を進めていくプロセスの一環であることを説明していきたい」と述べました。

公明 山口代表「もっと早く成立しても」

公明党の山口代表は、政府与党連絡会議のあと、記者団に対し「合わせて8つの国会にわたり継続審議となっていたが、内容はすでに改正された公職選挙法と同じなので、もっと早く成立してもよかった」と指摘しました。

そのうえで「今回の改正案は、憲法改正の論議そのものとは次元が異なる。憲法改正についてはさまざまな意見があるので、国会で議論をまず深め、国民の理解を伴うようにしていく取り組みが期待される。公明党は、今の憲法の3つの原理は今後も堅持していくべきであり、新たに加えるのにふさわしい価値が見出せれば加えていくスタンスだ」と述べました。