福島第一原発 処理水で
適切な賠償へ特別チーム設置

政府が東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける、トリチウムなど放射性物質を含む処理水を、国の基準を下回る濃度に薄めて海に放出する方針を決めたことを受けて、梶山経済産業大臣は風評対策を講じたうえでも生じる被害について、適切な賠償を実現するための特別チームを設けたことを明らかにしました。

処理水の海への放出について、地元や漁業者などからは風評被害への懸念が強く、政府は対策に万全を期す一方、それでも生じる被害には東京電力が期間や地域、業種を限定せず、適切に賠償するとしています。

これについて梶山経済産業大臣は27日の閣議のあとの記者会見で、適切な賠償を実現するための特別チーム「処理水損害対応支援室」を、省内に設けたことを明らかにしました。

特別チームは東京の資源エネルギー庁と、福島に駐在する職員の合わせて23人で構成されます。

処理水の放出方針の決定や今後の実際の放出に伴って、売り上げが落ち込むなどした場合、統計データなどをもとに影響を客観的に分析したうえで、賠償を行う東京電力を指導します。

梶山大臣は「東京電力によるこれまでの賠償について、さまざまな指摘があることを踏まえて、風評影響を懸念される皆様に寄り添い、迅速かつ適切な賠償の実現に向けて取り組んでいく」と述べました。

韓国環境相 韓国が調査団に参加 必要性強調

韓国のハン・ジョンエ(韓貞愛)環境相は27日午後、外国メディア向けに記者会見を行い、日本政府の決定について「周辺国が不安に感じるのは当然だ。最善の方法なのかどうか、疑問を提起したい」と述べました。

また、韓国の原子力学会が国民への影響はわずかだとする見解を26日発表したことについて問われると、学会の見解は十分な処理ができている状況が前提になっているとしたうえで、「危険な可能性はある」と答えました。

さらに、透明性を持って情報を公開していくことが重要だと指摘し、そのためにもIAEA=国際原子力機関による調査団に韓国が加わることが必要だと強調しました。

これに関連し、韓国外務省は27日の定例会見で、IAEAと協議を進めているとしたうえで「IAEA側は韓国の参加に肯定的な立場を示している」と説明しました。