“安保関連法は憲法違反“
との原告の訴え退ける

集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法は憲法に違反しているとして、埼玉県の住民などが国を訴えていた裁判で、さいたま地方裁判所は原告の訴えを退けました。

6年前に集団的自衛権の行使を可能にした安全保障関連法が成立したことについて、埼玉県の住民など573人が「憲法9条に違反するうえ、平和的に生存する権利や人格権を侵害され、精神的な苦痛を受けた」などとして、国に対し1人当たり10万円の賠償を求める訴えを起こしていました。

17日の判決で、さいたま地方裁判所の岡部純子裁判長は「憲法の前文の『平和』は抽象的な概念で、裁判の規範となるべき権利や利益の具体的な内容を確定することは困難だ。また、憲法9条や13条を根拠に原告の平和的に生存する権利が保障されているとはいえない」と指摘しました。

そのうえで「安全保障関連法で日本が戦争に巻き込まれたり、テロの標的にされたりするおそれが現実的に生じた証拠はなく、間接民主制の日本では自分が反対している法律が成立し、精神的な苦痛を被ることもやむをえない」として原告の訴えを退けました。

原告の弁護団によりますと、同様の裁判は全国22の地方裁判所に起こされましたが、これまでに出た判決は、いずれも原告の訴えが退けられています。

原告の弁護団「不当な判決 断固として抗議」

原告の弁護団は「われわれが感じているあらゆる恐怖について無視する不当な判決だ。平和に生きるわれわれの権利は侵害されたままであり、断固として抗議する」として、控訴する考えを明らかにしました。