元議員 保釈認める決定
検察が準抗告

IR=統合型リゾート施設をめぐる汚職事件で起訴された秋元司衆議院議員について、東京地方裁判所は10日保釈を認める決定を出し、秋元議員は保釈金3000万円を納めました。検察は保釈を不服として準抗告していますが、裁判所がこれを退ければ秋元議員は10日にも保釈される見通しです。

IRなどを担当する内閣府の副大臣だった衆議院議員の秋元司被告(48)は3年前、贈賄側の中国企業からマカオなどを訪れた際の旅費や那覇市で開かれたシンポジウムの講演料などとして、合わせて385万円相当の賄賂の提供を受けたとして、今月3日収賄の罪で追起訴され、起訴された賄賂の総額はおよそ760万円に上っています。

秋元議員の弁護士は追起訴の直後に保釈を請求していましたが、東京地方裁判所は10日、保釈を認める決定をしました。裁判所は弁護側と検察の双方から意見を聞くなどした結果、保釈を認めても逃亡や証拠隠滅のおそれは低いと判断したものとみられます。保釈金は3000万円で、秋元議員は現金で全額を納めたということです。

検察は保釈を不服として準抗告していますが、裁判所がこれを退ければ、秋元議員は10日にも保釈される見通しです。

東京地検特捜部の事件で、否認する被告の保釈が起訴の直後に認められるのは異例ですが、裁判所は以前より保釈を認めるケースが増えていて、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の事件でも、初公判の前に争点を整理する手続きが始まる前の段階で保釈が認められていました。

関係者によりますと、秋元議員は起訴された内容を全面的に否認し、「不正は一切しておらず、議員辞職するつもりは毛頭ない。仮に保釈が認められれば国会に出席したい」と話しているということです。

自民 二階氏「本人の主張を信頼」

自民党の二階幹事長は、記者会見で「当然のごとく保釈が決定され、秋元氏本人も無罪を主張しているので、われわれは本人の主張を信頼し、晴れてそうなることを期待している」と述べました。

また、国会で説明する必要性について、二階氏は「あくまでも本人の判断だ」と述べたほか、会見に同席した林幹事長代理は「裁判で明らかになってくるだろうから、それが優先だ」と述べました。

自民 森山氏「国会での説明 慎重に」

自民党の森山国会対策委員長は、秋元司衆議院議員が国会で説明する必要性について「今から公判が始まるのだろうから、立法府としても気をつけなければならず、慎重であるべきだ」と述べました。

また、議員辞職勧告決議案についても「推定無罪の期間中、立法府としてどう対応するかは非常に難しい問題だ。総合的に考えて、間違いのない対応をすることが大事ではないか」と述べました。

国民 原口氏「国会で説明すべき」

国民民主党の原口国会対策委員長は「秋元氏は、行政府と立法府の両方の職務で、今回の件に関連していた疑いがあり看過できない。無罪を主張し、『カネで政策をゆがめたことはない』というなら、しっかりと国会で説明すべきだ」と述べました。

一方で、議員辞職勧告決議案については「推定無罪の原則からすると、慎重であるべきだ。まずは、説明という形でのけじめを求めていきたい」と述べました。

共産 小池氏「真相解明と証人喚問を」

共産党の小池書記局長は記者会見で「秋元氏が議員の職に値しないことは間違いないが、IRを担当した元副大臣に起訴されるまでの疑惑がかけられている以上、まず、政府は真相解明を進めるべきだ。また国会も直ちに秋元氏の証人喚問を行うべきだ」と述べました。