ンセン病家族補償法成立
「深くおわび」

ハンセン病の元患者の家族に対する差別被害を救済するため、最大で180万円を補償するなどとした法律が、15日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

この法律は、ハンセン病患者の家族への差別被害を認めた集団訴訟の判決を受け、超党派の「国会議員懇談会」などがまとめたもので、15日の参議院本会議で全会一致で可決・成立しました。

法律では、国の責任を明確にするために、前文に、「国会および政府は、深くおわびする」などと記しています。

そして、裁判に参加していない人も含めて幅広く補償し、元患者の配偶者や親子には180万円、きょうだいや同居していた親族には130万円を支払うなどとしています。

また、15日の本会議では、ハンセン病をめぐる差別の解消に向けた啓発を行うため、名誉回復の対象に「家族」を加える「改正ハンセン病問題基本法」も成立しました。

補償金の請求期限は、法律の施行日から5年以内となっていて、本人の請求に基づいて支給の手続きが進められ、早ければ来年1月末には支払いが始まる見通しです。

弁護団「最終解決には偏見・差別の一掃を」

ハンセン病の元患者の家族に対する差別被害を救済するための法律が15日、成立したことを受けて、家族訴訟の弁護団が声明を出しました。

この中で「今回の法律は家族被害の全面解決に向けての大きな前進をもたらすものとして高く評価している」としています。

一方で、「ハンセン病に関する偏見や差別は、国の長年にわたる啓発活動にもかかわらず深刻な形で根づいている。最終的な解決のためには偏見や差別を一掃することが何よりも切実に求められている。国は総力をあげてこれまでの啓発活動を見直し根絶に向けて最大限の努力を行うべきだ」としています。

加藤厚労相「1月下旬の支給を目指したい」

加藤厚生労働大臣は、記者団に対し、「厳しい偏見と差別の中で、家族関係をつくることもできないなどの苦痛とご苦労があったので、その思いをしっかり受け止める。法律には、補償の実施と偏見差別の解消、家族の名誉回復などが盛り込まれているので、私自身が先頭に立って、関係省庁と連携しながら取り組んでいきたい」と述べました。

また、補償金の支給手続きについて、「来週から受け付けを始めるので、まずは申請をしてもらいたい。スムーズに進めば、来年の1月下旬の支給を目指したい」と述べました。

菅官房長官「今後も解決に全力」

菅官房長官は午後の記者会見で、「ことし7月に安倍総理大臣が控訴しないと表明して以来、原告団や弁護団と真摯(しんし)に話し合いを続けてきたが、超党派の議員懇談会で『一日も早く』と、短期間で法案がまとめられたと承知しており、関係者の努力に敬意と感謝を申し上げたい」と述べました。

そのうえで、「成立した法律を踏まえ、対象となる家族への補償金が円滑に支給されるよう周知・広報などを進めるとともに、偏見や差別の解消に向けて啓発活動などを図っていく。今後も、ハンセン病問題の解決に全力で取り組み、家族の方々が地域で安心して暮らせる社会の実現を目指していく」と述べました。

公明 山口氏「救済を図り偏見をなくしたい」

公明党の山口代表は、党の参議院議員総会で「長い間、患者や家族の皆さんが大変な苦労をされてきた経緯がある。法案の成立をもって、救済を図り、社会の偏見をなくして、共に生きる世の中にしていきたい」と述べました。