識者が課題指摘も「議事
録ない」と文科省は非公開

来年4月からの実施が、急きょ延期された英語の民間試験。その理由となった「地域格差」などの課題は、文部科学省が去年12月から非公開で行っていた会議でも、繰り返し指摘されていたことがわかりました。文部科学省は、その議論の詳細を明らかにしておらず、専門家は、「検証のためにも公開すべきだ」と指摘しています。

英語の民間試験は、来年4月から実施される予定でしたが、受験生などからの反対や、萩生田大臣の「身の丈に合わせて」という発言に批判が集まり、文部科学省は今月1日に、急きょ延期を決めました。

今後は、民間試験の制度上の問題点を国がこれまでどのように議論してきたのかが、焦点の1つとなっています。

文部科学省は去年12月から、こうした問題を話し合うため、非公開の有識者会議を複数回、開いていました。

このなかでは、出席した複数の専門家から、受験料が高額すぎるので、下げるべきだという意見や、地域格差がないように配慮すべきという意見が繰り返し出されていたことが関係者への取材で分かりました。

文部科学省は「詳しい内容は非公開で、議事録も作成していないので、詳細なコメントはできない」としています。

入試制度に詳しい、東北大学大学院教育学研究科の柴山直教授は「議事録が公開されなければ、国は結論ありきで進めていたと疑われてもしかたない。委員からの懸念をどうしてくみあげなかったのか疑問が残り、同じことが起きる可能性がある。問題点を、丁寧に検証するプロセスが求められている」と指摘しています。