備した宅地の活用に課題
東日本大震災の復興を検証

再来年3月で東日本大震災から10年となることを受けて、政府の復興推進委員会はこれまでの復興施策を検証しました。この中では、集団移転先などとして整備したものの、被災者の意向の変化で活用されない宅地があり、候補地の検討などを事前に進めておくべきだと指摘しています。

それによりますと、宮城県石巻市の大川小学校で74人の児童が津波で犠牲になるなど、学校で多くの被害が生じたことから、避難訓練の実施や防災教材の配布など、ふだんから防災意識を高める取り組みが必要だと指摘しています。

また、災害公営住宅や集団移転先の宅地整備は昨年度末までにおおむね完了したものの、復興事業の長期化で被災者の意向が変化し、活用されない宅地が生じているとして、自治体が候補地の検討などを事前に進めておくべきだとしています。

さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関連して、自然災害と原子力災害のような複合型の大規模災害では産業の原状回復が著しく困難だとして、被災した事業者へのきめ細かな支援や新産業の創出が必要だとしています。

そして、前例のない手厚い支援で実施された復興施策の財源は、復興増税など国民の幅広い理解があったとしたうえで、今後の大規模災害に備えて、財源の在り方についても議論を重ねることが望ましいとしています。

政府は年内にも取りまとめる「復興の基本方針」に、今回の検証結果を反映させることにしています。