サンの日本総領事館に
大学生ら6人侵入

韓国の南部プサン(釜山)にある日本総領事館に韓国の大学生とみられる男女6人が、日本政府を批判する垂れ幕を持って侵入したとして、警察が建造物侵入などの疑いで調べています。

韓国の警察によりますと、22日午前11時ごろ、韓国の大学生とみられる男女6人が、南部プサンの日本総領事館を訪れ、本人証明書を提示したうえで、館内の図書館に入りました。

6人はこのあと図書館から総領事館の庭に出てきて「主権を奪う安倍政権を糾弾する」などと書かれた長さおよそ170cmの垂れ幕を、総領事館の敷地の外に向けて投げたということで、警察がその場で取り押さえ、建造物侵入などの疑いで調べています。

またこれとは別に総領事館の外で警察車両を蹴ったとして、男1人を器物損壊の疑いで調べています。

当時、総領事館の外では、日本政府が韓国向けの輸出規制を厳しくしたことなどに対する抗議集会が行われていて、6人はそれに応じて、垂れ幕を敷地外に向けて投げたとみられています。

韓国では先週、70代の韓国人の男が「反日感情から犯行に及ぶ」と知人に話した直後、ソウルにある日本大使館前で乗っていた乗用車に火をつけて死亡する事件も起きていて、警察が、韓国内の日本の公館の警備を強化するとしていました。

菅官房長官「現地当局と協力して対応」

菅官房長官は、23日の閣議のあとの記者会見で「これまでのところ、人的・物的被害は報告されていないが、本事案を受け、総領事館から直ちに現地警察に対し、警備体制の強化について申し入れた。また、韓国にある日本大使館から韓国政府に対しても同様に、日本側の強い問題意識を伝え、わが国が関係する公館と日本関連施設の警備体制の強化を申し入れ、適切な対応を要請している」と述べました。

そのうえで「今後とも、現地当局と協力しつつ引き続き、日本の公館の安全維持に向けて適切に取り組んでいきたい」と述べました。

韓国外務省「安全のため努力を継続」

韓国外務省は「外交公館の安定を混乱させる行為が発生したことに対して憂慮を示す。公館の安全のための努力を継続していく」というコメントを発表しました。

また「公館の警備強化など、警察と緊密に協力している」としています。

日本の外務省は注意呼びかけ

日本の外務省は22日、韓国に滞在する日本人向けに「韓国人の学生がプサンの総領事館の敷地内でデモを行い、警察に身柄を拘束される事案が発生した」とメールで周知しました。

その上で「不測の事態に巻き込まれないよう、外出の際、特に日本関連の施設を訪問する際には周囲の状況に注意を払うようにして下さい」と呼びかけました。