沖縄県と全国の差は縮まったか「全国学力テスト」結果を詳しく
- 2023年08月09日
ことし4月に行われた「全国学力テスト」の結果が公表され、沖縄県は昨年度に続き、小中学校ともに全教科で全国の平均正答率を下回りました。ただ、全国との差を縮めた教科もあります。詳しくお伝えします。
(沖縄放送局記者 高田和加子)
沖縄県の平均正答率は
「全国学力テスト」は、文部科学省が学力や学習の状況を把握することなどを目的に小学6年生と中学3年生を対象に行っていて、ことし4月のテストには県内の公立学校に通うあわせて2万8000人あまりが参加しました。
結果は、7月31日に公表されました。沖縄県の平均正答率です。
小学校・国語 全国平均より2.2ポイント低く65%
小学校・算数 全国平均より4.5ポイント低く58%
中学校・国語 全国平均より4.8ポイント低く65%
中学校・数学 全国平均より9ポイント低く42%
中学校・英語 全国平均より9.6ポイント低く36%
昨年度に続き、小中学校の全教科で全国平均を下回りました。
低下が続いていた傾向は変化も
ただ、コロナ禍に行われた学力テストで全体的に低下が続いていた傾向は変化しました。全国平均との差を、グラフを使って説明します。
小学校では国語で、全国平均との差が0.4ポイント縮まりました。
中学校では国語で、全国平均との差が0.2ポイント縮まりました。
また数学では、全国平均との差が0.4ポイント縮まりました。
県教委「確かな学力」の向上を
県教育委員会では、「確かな学力」を身につけるため、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、授業の改善に重点をおいて取り組んできたといいます。
今回の結果については、中学校の数学と4年ぶりの実施となった英語は全国との差に開きがある一方、小学校の国語と中学校の国語と数学では改善の兆しもみられるとしています。
半嶺満教育長は「今回の結果を詳細に分析した上で、各学校が行う授業改善などの取り組みを支援するとともに家庭、学校、および関係教育機関と連携して児童生徒の『確かな学力』の向上に向けて取り組みの一層の充実を図っていきたい」とコメントしました。
全国の傾向は
全国的な傾向では、英語で話す力に課題があることがわかりました。
今回、中学校で4年ぶりに実施された英語のスピーキングでは、タブレット端末などを使って出題から解答まで初めてオンラインで行われました。平均正答率は「聞く、読む、書く」の問題は46.1%だったのに対し、いわゆるスピーキングの「話す」は12.4%で、自分の考えなどを英語で話す力に課題がみられたのです。
英語教育に詳しい信州大学の酒井英樹教授によると、学校ではスピーキングに取り組む活動は増えてきたものの、教科書の音読や、語句や文法の習得にとどまるものも多く、自分の考えを英語で表現する力が十分身についていないことが要因のひとつだと指摘します。
酒井教授は「これからはコミュニケーションを行う資質や能力を高めることがますます求められる。国はICTの活用を進めるなど、指導方法の改善を行うべきだ」と話していました。
国は3年前から小学3年生と4年生で英語を学ぶ「外国語活動」を必修とし、小学5年生以上は「教科」として通知表で評価されるようにするなど英語力の強化に力を入れてきました。音声や動画などが見られる英語のデジタル教科書もすべての小中学校を対象に提供しています。
文部科学省の担当者は「問題の設定が難しかったこともあるが、話す力と書く力に課題がみられたことは重要だと受け止め、取り組みを強化したい」と話していました。