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新潟ラーメン 消費ランキング2位に 愛される新潟5大ラーメン

燕背脂から新潟あっさりしょうゆまで…あなたの好みは?
  • 2023年02月09日

総務省の家計調査の結果が発表され、2022年の1年間にラーメンにかけた外食費用について新潟市はライバルの山形市に次ぐ2位となりました。新潟市は2年連続の日本一とはなりませんでしたが、新潟県は地域ごとにラーメン文化が確立され、「新潟5大ラーメン」と呼ばれるものも。“ラーメン愛”の強さの理由に迫りました。(新潟放送局記者 米田亘)

新潟市ラーメン消費額  “ライバル”山形市に次ぐ2位

ラーメン外食消費額の県別データ

総務省は2月7日、全国の県庁所在地と政令指定都市を対象に行った2022年の1年間の家計調査の結果を発表しました。このうちラーメンにかけた外食費用について、新潟市は1世帯あたり1万2573円と"ライバル"の山形市に次ぐ2位となりました。

ラーメンの外食費用をめぐっては前回、9年連続の日本一を目指した山形市を新潟市が上回り、初めて全国トップとなりましたが、今回は山形市に逆転され2年連続の日本一はなりませんでした。

結果を受け、新潟市の中原市長は。

新潟市 中原市長
新潟市が2年連続で1位になれると思っていたので残念だが、山形市の熱意や取り組みが功を奏した結果でお祝い申し上げたい。2位の悔しさをバネに巻き返しを図っていこうという機運が高まってくると思う。山形市と良いライバル関係を築きつつ、新潟市としても業界団体と連携するなどして応援していきたい。

街角で聞いた「ラーメン愛」

「日本一」とはならなかったものの、新潟のラーメン人気が依然として高いことを裏付けた今回の調査。これは新潟ラーメンの特徴にも表れています。

新潟5大ラーメン

県内では地域ごとに豊富な種類のラーメン文化が確立していて、新潟市を中心とした「新潟あっさりしょうゆ」や「新潟濃厚みそ」、「長岡しょうがしょうゆ」、「燕背脂」、「三条カレーラーメン」が知られています。これら5つは「新潟5大ラーメン」と呼ばれ、県民に広く根付いています。

北海道から新潟に赴任して3年近くになる筆者も、好みである「背脂系」を中心にラーメン店めぐりを楽しんでいて、新潟のラーメン店の多さや質の高さに日々驚いています。

こうしたなか、新潟市民がどれだけラーメンを愛しているのかを知るべく、新潟駅前でまちの人に「1か月に外食でラーメンを食べる頻度」を聞きました。

(20代女性)。
「月2回ぐらい。友だちとも家族とも行きます」。
(10代男性)。
「月に2~3回ぐらいですかね。温まりたいからラーメンを食べたくなる」。
(70代女性)。
【記者:新潟市のラーメン熱感じる?】
「感じます。みんなラーメン好きだから結構話しますね。
『あそこのラーメンおいしいよ』『行ってみたいね』とか」。

中には、頻繁に食べるという人も。

10代から80代の男女20人に尋ねた結果、月に2回から3回と答えた人が8人、さらに週1回のペースとなる月4回以上と答えた人も5人いました。新型コロナウイルスなどの影響でラーメン店に行く回数が減ったという人もいました。

そして好きな味については「しょうゆ」が9人と最も多く、特に「新潟あっさりしょうゆ」を支持する人の声が目立ちました。次いで「みそ」「背脂・とんこつ」「しお」となっています。

なぜ新潟でラーメンが人気?

新潟市民の熱い気持ちを聞けたところで、「ラーメン愛」のさらなる理由に迫るべく、新潟市中央区にあるラーメン店である人物と待ち合わせました。

「新潟ラーメン伝道師」片山貴宏さん

新潟の地域情報などを発信するメディアに勤める片山貴宏さんです。20年近い取材経験を踏まえ、名刺には「新潟ラーメン伝道師」のフレーズも。これまでに食べたラーメンは4000杯を数えるといいます。

片山さんは新潟の人たちがラーメンを好む理由の1つに新潟ならではの「事情」があるとしています。

「新潟ラーメン伝道師」片山貴宏さん
地元でおいしいお米がとれますので、ご自宅でお米を食べる機会がすごく多い。外で食べるんだったら(コメとは)違うめん類を食べたいよねっていうふうになっていくというのは自然な流れかなと。

さらに片山さんは新潟県の「形」も影響しているのではとみています。

片山貴宏さん
 新潟県は南北に長いですから気候ですとか産業、風土、ぜんぜんまちまちなんですよね。そしてみなさんがラーメンを食べる中で、土地に合った味に進化していった。
 例えば燕の背脂ラーメンであれば金属加工業が盛んなところで出前のラーメンをなるべくおいしく食べていただくために背脂を振ってふたをして、伸びにくいように麺を太くしてるっていうふうに言われています。
 新潟市のあっさりしょうゆラーメンにしても、もともとお堀沿いに屋台が並んでいて、屋台で作るラーメンですとあまり火力も強くできませんので、ゆでる時間を短くできるということは細い麺になる。本町市場という市場で働いていらっしゃる方々なので、パッと行ってパッと食べる、という方にすぐお出しできる料理という形で進化していった。
 5大ラーメンと言われるのも、そういう特色に合わせてラーメンが進化していったというところが、ほかの県にはない、最大の売りなのかなと思います。

片山さんと待ち合わせたこちらの店も「新潟あっさりしょうゆ」を提供する店の1つ。経営者の中野則司さんは長年、客と接してきた経験を踏まえ、次のように話します。

ラーメン店経営 中野則司さん

ラーメン店経営 中野則司さん
作り手側としてみれば、新潟市民や県民がラーメンを愛してくれることは非常にうれしいことではあります。遠方からもわざわざラーメンを食べにくる目的だけで来てもらえる、そういうところにラーメン愛があるんだなと感じますね。

一方、物価高の影響で、この店ではめんに使う小麦、スープに使う油などのコストが例年より2割ほどかさんでいるといいます。そうした状況だけに中野さんはラーメンの消費額を山形市と競い合うことをきっかけに、新潟のラーメン文化をさらに盛り上げていきたいと意気込んでいます。

ラーメン店 中野店主
消費額を競うやりとりを毎年することによって、「新潟と山形がバトルしているの面白いじゃないの』と思ってもらえれば。(新潟と山形のラーメン店)どちらにも行ってもらえればいいんですよ。もっとラーメン屋さんが自分に自信と誇りをもって、(値上げしたとしても)きちんとした料金をいただける商売なんだと思えるように変えられるチャンスというか、変えられる時期だと思う」。

新潟市民の消費額 ラーメン以外では

今回発表された家計調査の結果。新潟市は「カップめん」の消費額では、前回まで2年連続で全国トップでしたが、今回は7位でした。

ラーメン以外の結果を見てみますと、生産量が全国トップのコメの消費額は意外にも7位。生産が盛んな日本酒を含む「酒類」は札幌市に次いで2位でした。

一方、魚介類の中で「塩サケ」の消費額が1位となったほか、「豚肉」も1位でした。さらに「カレールー」と「みそ」が2位、「野菜」や「ガス代」が3位という結果でした。

新潟ラーメン文化の発展に向け

今回、まちの人やラーメン店などを取材して、新潟の強い「ラーメン愛」を改めて感じることができました。一方、県内で日々取材しているとよく聞くのが「新潟はアピールが苦手」という言葉。私自身、県外から新潟に赴任して初めて、コメや日本酒以外にも枝豆やなす、里芋など「食」のポテンシャルの高さを知りました。

ラーメン店を経営する中野さんも話しているように、ランキング自体の意義を考えることよりも、ライバルと競うことをきっかけに県内のラーメン文化が盛り上がることが重要だと感じました。物価高や人口減少など県内ではさまざまな課題がありますが、生活に身近なラーメンを通じて新潟の魅力が県内外に広く伝わればと願っています。そのために私も1人のファンとして、新潟ラーメンをこれからも味わっていこうと思います。

  • 米田亘

    新潟放送局 記者

    米田亘

    平成28年入局。札幌放送局、釧路放送局を経て、新潟放送局3年目。新型コロナウイルスや災害、一次産業を中心とした経済取材を担当。

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