「残骨灰」売却 埋葬? 新潟市 浜松市 堺市など各地の自治体は
- 2023年01月26日
火葬後に残る細かな遺骨やひつぎの灰、体内にあった金属などを総称する「残骨灰」。自治体によっては残った金属を業者に売却するところも。全国20の政令指定都市では全体の4分の3に上りました。新潟市を事例に「残骨灰」について取材しました。
(新潟放送局 草野大貴)
残骨灰知ってますか?
火葬のあとに、遺骨を拾いますが、箸では拾えない細かな骨やひつぎ、金属類が残ります。それらを総称して「残骨灰」といいます。残骨灰に残る金属を売却する自治体もあります。
新潟市は“実質的な売却”
新潟市では残骨灰の金属をどのように処理しているのでしょうか。市環境衛生課によりますと、残骨灰の量が斎場に一定程度たまると、「埋葬」と「供養」といった処理を入札にかけます。業者側は「処理費用」と「残骨灰に含まれる金属類の価値」を比較し「処理費用」が「金属類の価値」より重いと見込まれる場合は、新潟市からその分の費用を払ってもらう考えを伝えます。逆に「金属類の価値」の方が「処理費用」より重いと見込まれる場合、新潟市に対し、お金を支払う意向を伝える仕組みとなっています。
この方式で平成25年度から今年度までには合わせて5回の入札が行われていますが、新潟市側が費用を請求されたケースは1つも無く、実質的には供養や埋葬を条件として業者に「売却」する形となっています。過去5回の入札で得た収入は以下の通りです。
令和4年度5984万2635円 令和2年度6303万7425円 平成30年度4051万1772円
平成26年度 939万7836円 平成25年度 973万5600円
新潟市の斎場の管理費の総額はここ3年ほどは年間2億8000万円ほどで推移していて、収入はこの管理費用に充てられているということです。また、新潟市では、市民が火葬場を使う時の利用料は無料となっていて、新潟市はそうしたことにも結果的に還元されているとしています。
新潟市の見解を改めて環境衛生課の田辺博課長に聞きました。
Q 残骨灰を実質的に売却している意義は?
私たちとして、あくまでも供養も含めた有害物質の処理も含めたという形で、そこまでしっかり委託している。(市の収入としなくても)業者さんのほうで有価物を収益というものを上げられる場合もあるんじゃないかなというふうに思いますので、それであれば市のほうに収益をいただきそれを市政に還元していくという方がよりいいのかな考えています。
対応は自治体によってさまざま
札幌市 | 収入あり(令和4年度から試験的に導入)) | 新潟市 | 収入あり |
仙台市 | 収入あり | 京都市 | 収入あり |
さいたま市 | 収入なし(将来的に検討) | 大阪市 | 収入あり |
千葉市 | 収入あり | 堺市 | 収入なし |
横浜市 | 収入あり | 神戸市 | 収入あり |
川崎市 | 収入なし | 岡山市 | 収入あり |
相模原市 | 収入なし | 広島市 | 収入あり(令和4年度から試験的に導入) |
静岡市 | 収入なし | 福岡市 | 収入あり |
浜松市 | 収入あり | 北九州市 | 収入あり |
名古屋市 | 収入あり | 熊本市 | 収入あり |
新潟市以外の他の都市ではどのように対応しているのでしょうか。同じ政令指定都市に残骨灰の対応を取材したところ、全体の4分の3の自治体で残骨灰に残る金属を売却して収入を得ていたことが分かりました。一方で売却のしかたはそれぞれ違います。例えば浜松市の場合は、残骨灰の処理委託は行いますが、処理の際に出た有価物についてはそのまま市に返してもらい、その有価物については別の入札で売却する方法でした。市の担当者によりますと、収入の使い道は自由だということです。一方で大阪・堺市では、残骨灰の処理は業者に委託しますが、金属は売却をせず、そのまま埋葬します。業者側にも金属類を取り出さないように求めています。市の担当者は「残骨灰は遺骨の一部であり、遺族感情に配慮している。売却の検討もない」としています。
残骨灰は火葬を行うかぎり、必ず出てくるもの。残骨灰の処理についてどのように考えますか?