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能登半島地震で注目 地震による住宅被害

巨大地震に備える
  • 2024年05月07日

「巨大地震に備える」シリーズでお伝えします。

今回は、能登半島地震で注目された住宅被害について。
このような被害は、今後、東海地方でも起こる可能性が高いと言われています。

繰り返す 強い揺れ

能登半島地震で震度7を記録した石川県輪島市です。

地震の揺れと建物被害の関係を研究する金沢大学 助教の村田 晶さんです。20年近くにわたり能登半島の各地で調査を続けています。

金沢大学 助教 村田 晶さん

金沢大学 助教 村田 晶さん
前回の地震の損傷が残った状態で今回の地震(2024年1月1日の地震)があったので、建物の強度がそこまでなくて1階部分がつぶれてしまった。

 

今回の地震で被害を受けた家屋は、11万棟以上。
村田さんは「繰り返しの強い揺れ」が被害を拡大させた一因だと考えています。

能登半島では、2007年、最大震度6強の地震が発生。
さらに2020年頃からは、地震活動が活発化。強い揺れも繰り返し起きていました。

金沢大学 助教 村田 晶さん
強度が弱っているところに大きな揺れがくるので、建物としてはもたない。繰り返しの地震の影響はあったと思います。

被害を拡大させる「繰り返しの強い揺れ」。
80年前、同じような住宅への被害が愛知県三河地方でも起こっていました。

 

昭和東南海地震 イメージ

1944年12月7日、昭和東南海地震が発生しました。
愛知県内で震度6相当を記録した大地震です。

当時の状況を克明に記憶している岩瀬とよさんです。
この地震による揺れで、岩瀬さんが暮らしていた家は崩れたのでしょうか。

岩瀬とよさん

岩瀬とよさん
ホゾ(接合部)が全部ヒビがはいっていた。(接合部が)全部折れちゃっていた。家は崩れてなくても差し込みが折れていた。

岩瀬さんの地区では、柱と梁(はり)にヒビが入るなど、建物に被害が。
そのまま修復できずに暮らしていたところ…

三河地震 イメージ

それからおよそ一か月後、1945年1月13日の深夜3時。下から突き上げるよう大きな揺れが襲いました。推定震度7の三河地震です。
前の地震で柱や梁などにダメージを受けていた建物は、一瞬にして倒壊してしまったのです。

岩瀬とよさん
揺れは覚えている。「地震だ」って父親が起こしたもん。妹に「地震だよ」と言ったら「わかっとる」と言って、布団に巻きついてた。お母さんが家から出ようと妹を抱えて。でも出ていく方に家が倒れちゃった。いかなんだなぁって。

倒壊した住宅によって岩瀬さんは母と妹を失いました。

強い揺れが連続して起きたのは偶然ではない

東海地方で強い揺れが連続して起きたのは、決して偶然ではないと専門家は指摘します。

名古屋大学 名誉教授(地震学) 山岡耕春さん

名古屋大学 名誉教授(地震学) 山岡耕春さん
巨大な地震がプレート境界で起きると、その周辺で多くの地震を誘発するということがあります。

プレートの歪によって発生した昭和東南海地震。その活動が近くの断層に影響し、三河地震を引き起こしたと考えられています。

近い将来、連続した強い地震が東海地方を襲う可能性はあると言います。

 

名古屋大学 名誉教授(地震学) 山岡耕春さん
マグニチュード7か、もうちょっと小さい三河地震クラスの地震はどこで起きるかまったく予想がつかない。
弱い建物は容赦なく壊すってのが自然(地震)ですから、私たちができることは、少なくとも今の耐震基準に合う建物に作り変える、あるいは補強するのは絶対に必要なことだと思います。

今も愛知県内には、耐震性が不十分だとされる木造家屋が、27万戸あるとされています。

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