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終活はいつ始める? 元気なうちに「遺影」の撮影を  豊橋市

  • 2024年05月07日

人生の最後を安心して迎えるための終活。
あなたはもう準備していますか?
資産の整理にお墓選びなどいろいろありますが、自分で納得して選びたいのが「遺影」です。
愛知県豊橋市には寄り添った「遺影」を撮影してくれる場所がありました。

舞台はお年寄りの憩いの場

お年寄りが元気なうちから介護予防をするために通う広域型通所サービス。 
この施設の登録者は約50人。
65歳から94歳までのお年寄りが自分に合うメニューを選んで週に1、2回通う憩いの場所です。
利用者の多くが女性ということもあり、ネイル教室や顔マッサージが人気です。

顔マッサージはラップの芯で

施設を運営する三上美幸さん

三上美幸さん

三上さんの本職は美容師。長年、お年寄りや要介護者の訪問美容を続けているうちに、介護予防の必要性を感じて、1年前にこの施設を立ち上げました。

三上さん

私が両親を早く亡くしたこともあり、お年寄りには介護を必要としない元気な姿で若々しく過ごして欲しいと思っています。

三上さんは美容師を続けながらも少なくとも週3回は顔を出して、積極的にお年寄りたちと接しています。

終活話で盛り上がる利用者たち

施設のお年寄りはとても元気。日常的に盛り上がるのは終活の話題です。
「私はポックリと死にたいわ~」
「旦那より先には死ねないわ~」
「旦那が天国で彼女を作って全然迎えにこないのよ~」

和やかな雰囲気で会話する三上さんと利用者

三上さんは美容師の仕事をする中で、これまでも「遺影」を撮影するサービスを行ってきましたが、施設ではお利用者に嫌がられるかなと案内してきませんでした。
しかし、終活の話で盛り上がる様子を見て、思い切って遺影について聞いてみると・・・。

「主人のお葬式の写真を探すのに苦労した」
「選んだ遺影がお父さんらしくない」
「家族に迷惑をかけないために生前に準備したい」

三上さん

私が考えていたより遺影はみなさんにとって身近でした。

撮影を案内すると、すぐに施設に通う3人が撮影を希望しました。

遺影撮影を希望した山田さん

山田世都子さん(右)

撮影を希望した山田世都子さん(84)です。
以前は家族が経営する喫茶店を手伝っていましたが、ひざを痛めてからこの施設に通っています。
最近は、顎(がく)関節症の手術をして食べ物をうまく食べられないなど少し落ち込んでいました。

山田さん

日に日に弱るってことがわかるんです。先に亡くなった主人の時に苦労したので、家族に迷惑をかけたくないし、遺影はちゃんしたものを残したいんです。

これまできっかけがなかったけど、三上さんならと思ってお願いしました

遺影の撮影のはじまり

撮影は、三上さんの美容室に移動してはじまりました。

少し緊張気味の山田さん

メークをするのはもちろん三上さん。
「口紅は少し大きめに紅を引いて口元を艶やかに」
「眉毛は強調しないように、でも表情が映えように」
ふだんの優しい山田さんのイメージを引き立たせるようにメークを施していきます。

お互いに知っているからこそ

撮影するのはプロのカメラマン

撮影方法は1枚1枚撮影するのではなく、動画でのインタビュー形式。4K画質で撮影して、あとからいい表情の一瞬を静止画として切り出します。

三上さんが質問します
三上さん

生まれ変わってもご主人ともう一度結婚したいって思いますか?

山田さん

はい。また2人でバイクに乗って遊びに行きたいです!!

はじめは緊張気味だった山田さんですが、三上さんがふだんから施設で接している時のように話しかけることで、だんだんと表情が和らいでいきました。

すてきな笑顔です

遺影が長生きのもとに

撮影から2週間後。
三上さんは山田さんに仕上がった写真を手渡しました。

山田さん

すてきな遺影を残せて大満足です。この写真を見ていると元気が湧いてきますね。この遺影とともに穏やかに暮らしていきたいです。

三上さん

今の山田さんの自然な姿が撮れました。いつまでも元気に長生きして欲しいです。

  • 山村 一

    NHK名古屋 豊橋支局カメラマン

    山村 一

    2008年にドキュメントにっぽんの現場「明るい遺影」の番組の撮影担当。 16年間を振り返ってもう一度、お年寄りたちの「人生の輝き」を見つめたいと思いながら取材しました。

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