クセになる!?岐阜県恵那市の高級珍味“へぼ”って何だ?
- 2024年03月08日
【東海グルメ紀行】岐阜県恵那市串原地区では、「へぼ」と呼ばれる珍味が古くから愛されています。栄養豊富ですが、入手困難でとっても希少。果たして気になるその正体は?見た目を見事に裏切るおいしさと聞いて、訪ねました。(岐阜放送局:有坂菜恵子キャスター)
700人が暮らす恵那市串原地区。
やってきたのは、地区にある温泉施設内のレストラン。
店員「お待たせいたしました!へぼ釜飯定食です」
釜めしの上にのっているのが「へぼ」の甘露煮。
「へぼ」とは、東濃地方の方言でクロスズメバチのことです。
海から離れたこの地域では、
貴重なたんぱく源として、古くから食べられてきました。
有坂「黒いハチがご飯の上に乗ってる!…あれ、白いのは?」
店員「これは、へぼの幼虫ですね」
食べてみると・・・
有坂「ほんのり甘く味付けされていて香ばしい!炊きたてのお米と相性抜群!
親バチはサクッ、白い幼虫のほうはプニッ。クセになりそう」
特に幼虫の“蜂の子”は栄養価が高く、食べると元気になる!!と評判です。
串原地区には、地元の高校生と愛好家が建設した『へぼミュージアム』もあるんです!
くしはらヘボ愛好会会長の堀武治(ほり・たけはる)さんは、
「へぼ」に魅せられて、30年以上ご自宅で「へぼ」を育てています。
有坂「どうやって育てるんですか?」
堀さん「まずは山に行って、へぼを探して、へぼを追います」
ハチが巣を作り始めるのは6月から8月ごろ。
飛び回る働きバチを、カエルやイカなどをエサにしておびき寄せます。
巣へ戻るへぼを追いかけて、ハチの巣をゲット!
木箱などに入れて持ち帰り、大きく育てます。堀さんに木箱から出していただくと…
有坂「大きい!高さが20cmくらいありますね」
毎年秋には「くしはらヘボまつり」が開かれています。
それぞれが育てたはちの巣を持ち寄って、重さを競う大会も。
ハチが飛び交うので、“日本一の危険なまつり”とも呼ばれています。
堀さんは、2003年の第10回大会で優勝した経験があるそうです。
串原地区には、へぼの食文化を守り、伝えていこうと活動する女性たちも。
5年前に4人の主婦で結成したユニット、その名も「へぼがーるず」!
自分たちで育てた「へぼ」で料理をふるまい、地域を盛り上げています。
子どもたちへの食育や高齢者施設への配食など、
「へぼ」を通じて、世代をつなぐ取り組みを行っています。
特別に、私も「へぼがーるず」にこの日限りの仲間入り。
へぼを使った五平餅、串原名物の「へぼ五平」づくりに挑戦です!
すりつぶしたへぼを五平餅のたれに入れて、
「へぼ」をたっぷり投入したタレをぬって焼けば…出来上がり!
わらじのような大きさに、たっぷりの「へぼ」、いただきます!
有坂「すごく香ばしい!へぼがこんがり焼けていて、うまみが楽しめますね」
平林さん「イベントで「へぼ五平」を焼くと、子どもたちも興味を持ってくれる。
これからも串原の食文化を守っていきたい」
戦後、道路の整備が進み、流通や食料の保存技術が発達したことで
「へぼ」を食べる習慣は、多くの地域で姿を消したと言われています。
串原地区の皆さんが「へぼ」を愛し続け、守り育んでくださっているからこそ、
いっそう味わい深くいただくことができました。ごちそうさまでした!