全国鍋グランプリで優勝!岐阜県白川村で味わう『すったて鍋』
- 2024年02月02日
岐阜県には、白川村でしか味わうことができないという“特別な鍋”があるんです。その名も『すったて鍋』。江戸時代から“村外不出の幻の味”として愛され続ける郷土料理をアレンジして作られ、全国鍋グランプリに初めて出場して優勝したことで、一気に注目を集めました。謎に包まれた『すったて鍋』を求めて、白川村に向かいました!(岐阜放送局:市橋里音奈キャスター)
世界遺産・白川郷で知られる、岐阜県白川村。
市橋「合掌造り集落に来ました!あたり一面、真っ白!寒いです!」
平瀬地区にある国の重要文化財「旧遠山家住宅」。
管理人の新谷円(あらたに・まどか)さんに聞いてみると…
新谷「『すったて汁』なら、ここで作って、味わえますよ!」
市橋「あの…そもそも『すったて』って、不思議な名前ですよね?」
新谷「大豆を煮て石臼で擦りつぶして、すぐいただくからですね。
“すりたて”が転じて、“すったて”になったともいわれてます」
石臼ですりつぶしただけの大豆ペースト。これが『すったて』です。
3粒ずつ丁寧にすりつぶすので、とても時間がかかりますが、なめらかです。
日持ちしないため、“村外不出の幻の味”ともいわれてきました。
江戸時代中頃に誕生したといわれていて、白川村ではお祝いの席で
みそと一緒に溶き『すったて汁』としてありがたくいただいてきたそうです。
味わってみると…
市橋「濃い!しかも、すっごくまろやか。大豆のポタージュみたい!」
『すったて』は、村の至宝。この味を広く村外の人にも伝えたい!
そこで、2014年に『すったて鍋』を地元の有志が考案。
その年に初めて参加した全国鍋グランプリにエントリーして優勝し、注目を集めました。
『すったて鍋』は村内の6つの店で提供されています。
こちらの豆腐店では、地元の野菜をふんだんに入れ、
地元産の豚肉や飛騨特産のきくらげも一緒に楽しめます。
店舗での提供は現在休止しているそうですが、特別に作っていただきました。
市橋「豚肉の脂とすったてのコクが相性が抜群!
すりたての大豆の風味を感じます。豆乳よりも濃厚ですね」
豆腐店の田口愛(たぐち・あい)さんは、
「鍋がきっかけで白川村に来て下さる人もいらっしゃるんですよ」
誕生から10年を迎えた『すったて鍋』は、すっかり白川村の看板メニューです。
店ごとに個性を感じる『すったて鍋』。
こちらの店では、新たなニューを提供していました。
店主の菅原幸一(すがはら・こういち)さんが考えたのは…
『すったてせいろそば』。いただきます!
市橋「お~!すったてがそばに絡んで、まるでとろろそばみたい!
椎茸の出汁とゆずでの風味もよく合いますね」
菅原「この土地で獲れたものでで食を豊かにできるひとつに、この『すったて』があります。
これからも残ってくれればありがたい」
日持ちしない『すったて』。その弱点を克服しようと、
先ほど訪れた豆腐店では研究もしています。
真空パックや煮沸消毒などの施し、現在は1週間の保存が可能に。
今後は急速冷凍の技術を組み合わせ、1か月以上楽しめる『すったて』を目指しています。
ご家庭で気軽に楽しめる『すったてレシピ』も考案中。
その1つが『すったて』で作った白玉で味わう『あんみつ』です。
市橋「もっちもち!自然な甘さですね。
大豆なのでヘルシーだし栄養満点!夢のようなスイーツですね」
田口「ご家庭で『すったて』を知ってもらう機会が広がれば、
もっと白川村に行ってみようという人が増えると思っています」
江戸時代から白川村で愛され続ける『すったて』。
また訪れて食べたくなる奥の深いおいしさには、
村を愛する皆さんの情熱も、たっぷりと込められていました。