ページの本文へ

NHK名古屋のおすすめ

  1. NHK名古屋
  2. 名古屋のおすすめ
  3. 愛知県初の中高一貫校 入学者の選考方法は? 

愛知県初の中高一貫校 入学者の選考方法は? 

  • 2023年08月01日

2025年4月、愛知県で初の中高一貫校が開校します。
狙いは “チェンジメーカーの育成”。
愛知県教育委員会は「さまざまな人と一緒に、答えのない課題に対し、失敗を恐れず挑戦できる生徒を6年かけて育てたい」としています。
開校をおよそ2年後に控え、注目されていた選考方法が固まりました。
(名古屋局・記者 佐々木萌) 

開校迫る中高一貫校

2025年4月、愛知県で初めての中高一貫校となるのは、県内屈指の進学校、▽明和高校、▽半田高校、▽刈谷高校と、グローバル教育に力を入れる▽津島高校の4校です。
それぞれの学校に、2学級80人のコースが設置されるほか、明和高校には音楽コースも設置されます。

狙いは「チェンジメーカー」の育成

これらの学校では、みずから課題の解決に向けて情報を収集・分析し、答えを見いだしていく「探究学習」を重視することを特色としています。

その狙いは、「チェンジメーカー」の育成。
愛知県教育委員会は、今は、社会の変化が速く、将来の予測が難しい時代だからこそ、▼答えのない課題に問いを立て続け、▼周囲の多様性を尊重しながら、解決できる人材を中高あわせた6年間で育てたい、としています。

気になる選考方法は?

そこで気になるのが選考方法です。
「抽せん」は行わず、「適性検査」「面接」の2段階で入学者を選びます。
このうち「適性検査」は、英語を除く、小学校の学習範囲から教科横断的な問題が出題されます。記述式の問題はなく、全問選択式になります。
こうした問題で思考力・判断力・表現力・課題解決力を測り、この適性検査で、受検者を募集定員の2倍から2.5倍程度に絞るということです。

次に「面接」。キーワードは「リフレクション」です。
聞き慣れないことばですが、リフレクションとは「振り返り」を意味しています。
みずからの体験をもとに内面を振り返ってもらうことを重視した「リフレクション型」の面接を行い、探究学習に取り組む資質などを判断することにしています。

教育委員会の関係者は、知識の量や受験テクニックではなく、子どもたちの“素質”や“のびしろ”を見たいとしています。

そのため、「調査書」の提出を求めず、通知表の写し「参考」として取り扱われます。
調査書を作成する小学校の教員の負担を押さえることも狙いです。

県内の中学受験どう変わる?

こうした学校ができることで、中学受験の環境はどう変わるのでしょうか。

開校を前に、すでに動き出しているのが予備校業界です。名古屋市に本部のある学習塾を取材すると、県立の中高一貫校の開校にあわせ、新たにコースを設置し、対策を始めていました。
今、この学習塾には、保護者からの問い合わせが相次いでいるといいます。

名進研 金澤篤社長
「非常に反響は大きかったです。地域のトップ校、あるいは伝統校がいくつも含まれていますので、そういったことも非常に反響を大きくした理由のひとつではないでしょうか。中学受験そのものが活性化する可能性は高いと思います」

一方、選考方法について、私立中学の入試と異なる点もあるといいます。

「私立中学との違いは大きく3点あります、1点は面接を重視する点、2つめが全問選択式である点、3つめが2段階選抜になっている点で、募集定員の2倍から2.5倍のところでいったん選抜してそのあと面接する。単に知識の多さを競うという入試ではないことはよく分かりました」

県教育委員会によると、通常の入試とは異なる方法をとるのは、受験競争の過熱化を避ける狙いもあるということです。ただ、面接で資質を評価するスキルなど、選考する側に求められる力も多くあると考えられます。

県教育委員会は、今後、より詳細な選考方法を決め、10月末から保護者説明会を実施するほか、12月にはサンプル問題を公表する予定です。

  • 佐々木萌

    NHK名古屋局 記者

    佐々木萌

    2019年入局。名古屋局が初任地。県警担当を経て現在は愛知県政を担当。児童ポルノや不登校などを取材。

ページトップに戻る