長崎からパリへ!三菱重工マラソン部③井上大仁選手
- 2023年07月21日
長崎市を拠点に活動する三菱重工マラソン部では、3人の長崎県出身選手が、ことし10月に東京で行われるパリオリンピックのマラソン代表選考レース、MGCの出場権を獲得しています。 山下一貴選手(25)、定方俊樹選手(31)、井上大仁選手(30)の3人です。
長崎からパリオリンピック出場を狙う3人へのインタビューをシリーズでお伝えします。
最終回は、エースとしてチームを引っ張ってきた井上大仁(いのうえ・ひろと)選手です。
2018年のアジア大会のマラソンで金メダルを獲得している井上選手に、競技のことから趣味の話題まで、聞いてきました!
NHK長崎放送局 報道カメラマン 小島陽子
東京マラソンで日本人4位・全体10位
井上選手はことし3月の東京マラソンに出場し、日本人4位で全体10位の2時間7分9秒でゴールしました。
Q:東京マラソンはどんなレースでしたか?
うまくいかないことが多くて、苦しい中ではあったんですが、その中でもしっかりとまとめきれたのは次につながるレースだったかなと思います。
ただ、順位や記録は満足できるようなものではないので、また頑張ろうという気持ちになれました。
Q:途中チームメイトの山下選手と並んで集団を引っ張る場面もありましたが、どのようなことを考えていましたか?
考える余裕がなかったですね。いっぱいいっぱいだったんで。
Q:いつも積極的に引っ張ることを意識しているんでしょうか?
意識はそんなにしてないですけど、遅かったら行くという感じです。
やっぱり記録にこだわっていきたいので、結構イチかバチかの感じていつもやっているんですけど、しっかり攻めていってその結果、世界との差を縮めたいという気持ちで走っています。
マラソンで勝負するため地元長崎へ
諫早市出身の井上選手は、鎮西学院高校から山梨学院大学に進学し、
卒業後は地元長崎の三菱重工マラソン部に入部しました。
Q:なぜ長崎のチームに入部することにしたんですか?
地元にマラソン部があって、マラソンで勝負したいという気持ちがありました。
たくさん先輩がマラソンで活躍されていたので、自分もここで結果を出したいなという気持ちで入りました。
Q:地元でよかったと思うことはありますか?
普段から声をかけてくれる人がいたり、昔から知ってくれている方たちが今も変わらず応援してくださったりするのは、身近に感じてすごく嬉しいですし、励みにもなります。
地元の市民ランナーと一緒に
井上選手はときどきSNSなどで呼びかけて、長崎の市民ランナーと一緒に走る合同ランニング会を開いています。
Q:どうして合同ランニング会を開いているんですか?
せっかく長崎にいますし、地域に根ざしたチーム作りということを目標に掲げているので、自分にできることは何なのかなって考えました。
一緒に走ることで喜んでもらえるならと思って機会を作らせてもらっています。
Q:やってよかったと思うことはありますか?
「一緒に走って楽しい」って言ってもらえるのが嬉しいです。
新聞配達しながら…
井上選手は中学時代、新聞配達をしながら練習をしていたといいます。
中学の時に朝練がなかったので、ついでにやるかみたいな感じで、習慣みたいになってやっていました。
父が車に新聞を積んで、ポイントで止まって、自分は取りに行って配って、次のポイントへ、という繰り返しでしたね。
眠かったですね。
ポストに新聞さしたまま寝たりもしていました。
没頭するのが好き
Q:井上選手の趣味は何ですか?
没頭して作業するのが好きで、折り紙やプラモデルなど細かい作業はよくやっています。
Q:どんなところが好きですか?
折り紙だったら、1枚の平面がいろんな課程を経てひとつの形になっていくのがすごく楽しいです。
(プラモデルなどを)作るときは、最初は何のことはないバラバラだったやつが、集まってひとつになっていくというのが面白くて好きです。
定方選手と山下選手の存在
Q:同じくMGC出場権を獲得している定方選手と山下選手はどんな存在ですか?
定方さんは、高校からずっと背中を追って、今は一緒に走らせてもらっていて、常に競い合いながらやってきた先輩です。
後輩の山下は、このあいだ(3月の東京マラソン)は、記録も勝負も負けて上を行かれていますけど、負けたくないなっていう、背中を押してくれるような心強い後輩だと思っています。
Q:ひと言で言うととどんな存在ですか?
ひと言ですよね…
優しい先輩と優しい後輩です。
MGCからパリオリンピックへ
井上選手はことし10月に東京で行われるMGCに出場し、パリオリンピック出場を目指します。
Q:MGCへの意気込みを教えてください。
MGCは今まで培ってきたものをしっかり出しきれればと思っています。
オリンピックでメダルを取ることは夢でも目標でもありますし、それを達成するためにはMGCで勝ちきって(パリオリンピックに)出たいと思っています。
Q:井上選手にとってパリオリンピックとはどんな存在ですか?
「集大成」です。
ひとまずは今までの競技のすべてをぶつけるという位置づけになってくるので、
自分のこれまでをあますことなく出しきれればと思って集大成にしました。
【プロフィール】
井上大仁(いのうえ・ひろと)選手
諫早市出身 30歳
経歴:鎮西学院高校→山梨学院大学→三菱重工
マラソン自己ベスト:2時間6分47秒