長崎あん時ものがたり④ NHKスペシャル「赤い背中」
- 2023年07月11日
NHK長崎のアーカイブ映像をお届けする「長崎あん時ものがたり」。今回、紹介するのは2005年放送の番組、NHKスペシャル「赤い背中~原爆を背負い続けた60年~」です。
「赤い背中の少年」
夫婦で過ごした戦後60年
谷口さん夫婦には半世紀近く続けてきた日課があります。
栄子さんはまず、谷口さんの背中のただれている部分に薬を塗り込みます。そして、皮膚の乾燥を防ぐため保湿剤を全体に伸ばします。注意深く塗らないと背中はすぐに裂けてしまいます。その手加減をしっているのは栄子さんだけです。
谷口さんは胸にも深い傷が残っています。長い間病院でうつ伏せで寝ていたために、骨が露出するほど悪化した床ずれのあとです。
(胸の部分に)皮膚が張り切らんやろ、それで切れよると。 そして、そこから出る物がくさい。焼けて背中が腐った時のにおいがする。
原爆を落としたアメリカへの渡航
4月末、谷口さんはアメリカに行くことになりました。5年に1度開かれるNPT(核拡散防止条約)の会議がニューヨークで始まります。その開幕に合わせて、ニューヨークで核廃絶を求める大規模な集会が始まります。谷口さんは所属する被爆者団体を代表して参加することになったのです。
国連での会議が始まる前日。世界各国から4万人がニューヨークにあるまり核兵器の廃絶を訴えました。
日本からは谷口さんを始め、長崎・広島の被爆者60人も参加しました。谷口さんは微熱がありましたが、3時間歩きとおします。
デモが終わると今度は一般市民との交流会です。
この時谷口さんは立っているのもつらい状態でした。それでも谷口さんは赤い背中の写真の入った名刺を一人一人に渡します。
私には7歳の息子がいます。息子や他の子どもたちが決して被爆することのないよう望んでいます。
子どもたちの未来の平和のために一日も早く核兵器をなくすようにしなければならない。