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宮崎・高原町の魅力をカップに! 牧場の手作りアイスクリーム

  • 2024年05月17日

日中汗ばむ陽気の日が多くなってくると、食べたくなるアイスクリーム!
高原町の酪農家が搾りたての牛乳を使ってアイスクリームを作っています。
ねらいは、町の特産品をフレーバーにして地元を盛り立てること。酪農経営も楽になったといいます。アイスクリームから見える人口減少の町の活性化を取材しました!
(アナウンサー 池田陽香)

高原町の牧場におじゃましました!

宮崎県内一の酪農地帯、西諸県郡高原町(にしもろかたぐん・たかはるちょう)。
JR吉都線高原駅から車でおよそ15分。山を少しのぼっていくと牛の鳴き声が聞こえてきます。
そこに見えてくるのが、小野田裕之さん(53)が経営する牧場です。
酪農用の牛や和牛など、およそ50頭の牛を飼っています。

小野田さんは、8年前から生乳の出荷に加えて、アイスクリームを手作りし販売し始め、現在では搾った乳の7.5%ほどにあたる、年間およそ12トンを加工しています。

新鮮な牛乳がアイスクリームになるまで

アイスクリームの主な材料は、牧場の新鮮なミルク地元でとれた野菜や果物です。
この牧場では、毎日午前9時と午後9時の1日2回のミルクを搾っています。

この牛乳でアイスクリームを作ります。今回は、特別に高原町のカボチャを使ったアイスクリーム作りを見せていただきました!
まずは加熱殺菌しながら撹拌する機械に、たっぷりの牛乳を注ぎます。
カボチャアイスクリーム1回の製造に使う牛乳は20リットル。スキムミルク、砂糖、生クリームも加えます。

そこに、ペースト状にしたカボチャを加えます。
これは、カボチャがとれる冬場に蒸して、真空パックにして冷凍保存しておいたものです。

ここで使うカボチャはなんと6キロ!アイスクリーム全体の1/4ほどの量です。

これほど多く使うのは、高原町のカボチャ本来の味を楽しんでほしいから。

小野田さん

少量だとカボチャの味がしっかり出ないんです。
ひとくちで感動させるアイスクリームを目指して作っています!

地元の食材の魅力を存分に伝えるための工夫です。

30分混ぜ合わたあと加熱殺菌も30分。そこから冷やして、4~6時間寝かし、
さらにアイスクリームマシンで冷やすこと15分…

きれいなオレンジ色のカボチャアイスクリームの完成です!
食べてみると、濃厚なミルクの味わいの中にかぼちゃの優しい甘みも感じられて…とっても美味しかったです!
この1回の製造で250カップ前後のアイスクリームができるそうです。

かぼちゃのほかにも…

ほうれん草、かんしょ(サツマイモ)、紅茶…などなど
これらもすべて地元の食材。
紅茶は古くから高原町で人々に愛されている、老舗の紅茶専門店で使っている茶葉です。
どれも先ほどのカボチャアイスクリーム同様、たっぷり使っているそうです。

そうなると「材料費高くなってしまうのでは…!?」と心配になった方もいるかと思います。
私も気になったので、小野田さんに聞いてみました。

小野田さん

地元の農家さんから、市場では売れにくいものを安く売ってもらっています。

形は不揃いでも、美味しく食べられる食材を無駄なく使っているんですね。

店舗も新たにオープン「高原での体験届ける場所に」

小野田さんは、このアイスクリームで地元高原町の魅力を全国に伝えようと様々な試みをしています。

その1つがふるさと納税の高原町の返礼品としての出荷です。
カップに詰めたアイスクリームやサンデー、アイス入りのどら焼きといった商品を開発し、
高原の食材をたっぷり使ったアイスクリームが全国で楽しめます。
アイスクリームが、高原町を知るきっかけや、高原町を訪れるきっかけになるかもしれません。

さらに今年(2024年)、小野田さんは牧場の一角に手作りでパーラーを建て、5月にオープンさせました。

5月に完成したパーラー

この新たな場所をオープンさせたのは、高原町での体験を提供する場所にしたいから。
この牧場で絞った牛乳と地元の食材をふんだんに使ったアイスクリームを、高原町のきれいな景色を眺めながら味わってほしい。そんな願いがこの場所に込められています。

出来立てのアイスクリームや、牧場で絞った牛乳を使ったカフェラテなども楽しめるそうです!

手前左の抹茶パフェは地元で生産される抹茶パウダーを使用 
となりのシフォンソフトは高原町産の米粉を使ったケーキをアレンジ
小野田さん

地元のお客さんからのリクエストに応えているうちに、メニューが増えてきました。これからも地元の魅力を存分に活かしたアイスクリームを通して、高原 町の良さを伝えていく拠点にしたいです。

減り続ける酪農家… アイスクリームはその助けにも

ところで酪農家が年々減っていると感じている小野田さん。
自身もアイスクリーム業を始めるまでは100頭以上の牛を飼っていて、日夜業務に追われていたそうです。
その働き方を変えるきっかけになったのもアイスクリームでした。

小野田さんの話では、牛乳は120円/Lほどでしか売れない一方で、アイスクリームに加工すると1000円/L以上の値段で売れるということです。
当然アイスクリームに加工するための機械費用や燃料費、人件費などかかるものの、総合的に判断すると、牛の頭数を半数以上減らしてアイスクリーム業を始めた今の方が、働き方も安定して、経営も外的要因に左右されにくくなり落ち着いているといいます。

そんなアイスクリームを通して、酪農業の楽しさ、やりがいなども伝えたい小野田さん。
牧場の店舗が出来上がったばかりですが、まだまだチャレンジしたいことがたくさん!

小野田さん

今後、牛やヤギといった動物たちと触れ合ったり、搾乳体験・アイスクリーム作り体験をしたりできるような場所にして、酪農業に興味を持つ人を一人でも多く増やしていきたいです。

大好きな酪農で大好きな地元をPR

取材しているなかで小野田さんが何度も語っていた、高原への愛酪農への愛
小さな子どもから大人までが楽しめるアイスクリームで地元や酪農の良さを伝えるということは、とても魅力的な取り組みだと感じました。
小さなアイスクリームカップが持つ大きな可能性に、今後も注目していきたいです。
(この記事は2024年5月9日に「てげビビ!」で放送した中継をもとに執筆しました)。

  • 池田陽香

    宮崎放送局・アナウンサー

    池田陽香

    入局2年目
    高原のアイスクリーム、とっても美味しかったです!
    まだまだ宮崎の素敵な場所探していきたいです。

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