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清山市長の公約「子どもを守る」児相の設置でなにが変わる?

  • 2023年03月24日

宮崎市は市独自の「児童相談所」をおおむね5年後の開設を目指して準備を始めると表明しました。九州・沖縄の中核市で設置を決めたのは宮崎市が初めてとなります。
宮崎市が「児童相談所」を持つメリットは?清山知憲 宮崎市長の公約を深掘り取材します。

児童相談所とは?

児童相談所は、すべての子どもが心身ともに健やかに育つために、家庭や学校などから相談を受け、問題を解決していく専門の相談機関です。虐待の相談や子どもの保護にもあたっており、法律によって都道府県と政令指定都市に設置が義務づけられています。

宮崎県には政令市はないので、県が中央(宮崎市)、都城、延岡の3か所に設置しています。
国は、政令市よりも規模の小さい「中核市」にも設置を促していて、近年は石川県金沢市や兵庫県明石市など中核市にも設置の動きが広がりつつあります。

草分け・金沢市が語るメリットとは?

徳山一也 所長

単一の行政組織で児童相談所を持つことによっての、やはり機動力の速さ、高さ。そして同じ市の職員同士という顔が見える関係の中での、情報共有。こういったことが最大のメリットであると思っています。

こう語るのは17年前に開設された金沢市児童相談所の徳山一也所長です。児童福祉司として長年、現場で働いてきました。

徳山さんが具体的な場面として挙げてくれたのが「近所で子どもが泣いている声が聞こえる」という匿名の通報が寄せられるケースです。

こういった場合、今の宮崎では、県から基礎自治体である市に「そこにはどんな家族が住んでいるのか」といった情報を問い合わせる必要があります。

徳山一也 所長

金沢市の場合は、虐待の相談ダイヤルでも金沢市として受けますので、この時点で、この場所にどの家族がいるか、状況によってはどこの幼稚園・こども園・保育園に所属があるか、この辺まで一括ですぐに動けます。場所と人の特定とともに、人物・家族像まで見えるというのが一番動きが速くなると思います。

宮崎市・清山市長は

22日に行われた会見で宮崎市の清山市長は「貧困やひとり親家庭の増加などの社会状況の変化はすべて子どもたちにとって逆風となっている。宮崎市の子どもに何かあった時、公共として迅速に対応していくためにも児童相談所が必要と考えた」と述べました。

およそ12億円をかけて親元から離された子どものための「一時保護所」などの施設を整備し、おおむね5年後の開設を目指します。「一時保護所」とは、親元から離された子どもが一時的に生活する施設ですが、全国的には保護される子どもの数が増える中で、定員オーバーになったり、生活環境が悪くなったりする問題も指摘されています。この一時保護所について、清山市長は次のように狙いを述べました。

清山知憲 市長

一時的に子どもを預かって家庭の支援をしてまた家庭に帰すことを目標にしていきたいと思っています。親と子を引き離すというより、家庭に寄り添った一時保護所の運用を目指したい。

人材の確保は?

宮崎県内には現在、中央・都城・延岡の3か所に県が運営する児童相談所があり、県内4つ目となる児童相談所が開設されれば、児童虐待に対する県全体の対応能力は確実に向上します。

宮崎市は子どもや保護者への対応にあたり、一時保護も行う児童福祉司を22人、心のケアにあたる児童心理司を11人配置する予定です。これは、単純計算で児童福祉司の人数は現在の1.4倍に、児童心理司の人数は2倍に増えることになります。

さまざまな保護者に対応し、時には親子の隔離など強制的な介入も行う地方公務員の業務の中でも最もハードなもののひとつとされている「児童相談所」の仕事。5年後の開設に向けて、どのような準備が進むのか、今後も注視していきたいと思います。

  • 岡村純子

    宮崎局・記者

    岡村純子

    宮崎市政担当

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