「舞いあがれ」貴司くんへ短歌が話題!俵万智さんが短歌を解説
- 2023年03月22日
朝ドラ「舞いあがれ!」で舞ちゃんや貴司くん、久留美ちゃんへの投稿が話題になっている俵万智さん。
令和のいま起こっている<空前の短歌ブーム>。いま、全国で短歌が広がりを見せるなか、「プロフェッショナル 仕事の流儀」にも出演した歌人・俵万智さんが若者の短歌を優しく解説します。
歌人・俵万智さんが選者をつとめ、宮崎の「わけもん(若者)」の瑞々しい短歌を紹介する「俵万智のわけもん短歌」。
3月のテーマは「卒業」です。このテーマにちなんだ短歌の優秀作品を俵万智さんが解説していきます。
『指折り数え』っていうことは楽しみだ!ってことだと思うんですが、その後『淋しさも』とあります。淋しさも一方ではある。ここで歌が切れるんですね。卒業っていうのは楽しいでもあるけど淋しさもある。その気持ちを表した下の句に注目しました。
その気持ちは『シアンとマゼンタ』なんだ。ちょっと謎めいた面白い表現ですね。シアンとマゼンタというのは、色の三原色のうちの二色で、シアンが青緑・マゼンタが赤紫この2つを混ぜると青になるわけです。
いろいろ考えられるんですが、ひとつはこの2つを混ぜると青になるというところに注目して、それが今の青春、青い時代なんだという風な意味合いかなと思いました。
あるいは、シアンとマゼンタという違う色合いが自分の心のなかに二色存在している、そういう風にも捉えられます。さらにですね、シアンというのは思う・案ずるのシアン(試案)、マゼンタがごちゃ混ぜにする(混ぜる)と音が似ている気がして、考えこんだり、心が混ざったりするそんな風に広げて解釈するのも面白いかなと思いました。皆さんもこの下の句の謎を楽しんでもらえたらと思います。
続いて、テーマの縛りのない自由詠の優秀作品はこちらです。
この歌も先ほどの歌に続き、少し謎めいた面白い下の句が特徴かなと思います。まだ寒さは残っているんだけど、ちょっと春の気配が感じられる季節に砂浜にいるんですけど、なんと作者は既に春を飛び越えた『半袖姿で』夏を待っていると詠んでいます。
なかなか意表をつく下の句ですが、これを詠んでいると精神の自由さというのを感じます。季節の変わり目に想像力をさらに先へ飛ばして、夏の自分を想像する。これは言葉だからできる冒険じゃないかなと思います。
番組では、宮崎県在住の10代の皆さんからの作品を募集しています。
応募方法など詳しくは、NHK宮崎のホームページをご覧ください。ご参加お待ちしています。https://www.nhk.or.jp/miyazaki/tanka/index.html