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宮崎 台風14号 漁業への被害 原因は「ゴソ」!?

  • 2022年09月22日

スーパーを取材してみると…

※9月21日に取材しました。
ここは延岡市内のスーパー。鮮魚コーナーではある異変が。
お客さんに話を聞いてみると「(値段が)高いですね。普段よりちょっと高いかな。」
例年に比べ、刺身用の魚の値段が2割から4割近く高くなっているというのです。

スーパー店長 木田栄二さん 

店長の木田さんに聞いてみると…

メジナの刺し身だと、私たちが販売したい価格は290円。今の相場だと350円という値段になっています。

さらに、例年と比べて入荷できる魚の種類も3割ほど減って、売り場には空きスペースも…

「魚が買えない…」競りでも異変が

このスーパーが魚を仕入れている門川町の庵川(いおりがわ)漁港。
水産仲卸業者の田辺さんに出会いました。市場の様子を尋ねてみると…

さらに競りの様子を覗いてみると…

数少ない魚をたくさんの人で入札するという状況。
魚種によっては通常の値段の倍にまで高騰しているそうです。
通常は40分近くかかる競りも、この日はわずか14分で終了しました。

顧客と直接注文のやり取りをしている田辺さん。台風が連続して宮崎県に接近した9月からは、客の注文に答えられないことが増えました。

ここでは何も買えませんでした。辛いですね…あちこちで仕入れをしないと魚がそろわないので、これから別の市場で仕入れをします。

漁師に聞いた「魚がとれない」ワケ

地元の漁師の方はどう感じているのでしょうか。この時期、タイやハモを狙う底引き網漁の方に話を聞くと…

「きのう(網を)引っ張ったら15分で止まった。(海の)下がもう田んぼのような感じ。
ダムの放流やらで泥水が出て、田んぼのような感じなっちょるとよ」
「今日も漁に出ますか?」
「いや今日は出らん。明日出てみるけど多分ダメじゃろ」

さらに、伊勢エビなどを取るたて網漁の方から、ついにあのワードが飛び出します。

「昨日はすごい「ゴソ」でからですね」

「ゴソ」!?

地元の漁師さんたちが「ゴソ」と呼ぶのは、今回の台風で川などから流れ着いた漂流物。その多くは葉っぱや木の枝ですが、網に絡まったり船のエンジンが止まったりと様々な被害の原因となります。

中にはかなり大きな漂流物もあるそうで…

夜も気を付けて行かないと、大木が流れてたりするから…(船に)当たったら終わりですね。

降水量が多かった今回の台風。たくさんの流木が沿岸に押し寄せていました。

県の調査によると、台風が通過した後、5つの漁港で流木などの被害が確認されました。
また宮崎市の青島漁港ではイセエビ漁が解禁されたばかりですが、網が流木に絡まるなどし、水揚げ量がゼロの日もありました。

また、県北の延岡市北浦では荒波の影響で、養殖用のいけすが壊れたり、魚が死ぬ被害も出たそうで
す。

壊れたいけす

漁船の運行の妨げにもなっているということで、早い撤去が求められるこの「ゴソ」。
県では流木や漂流物の実態を調査した上で、国に撤去のための補助金を求めることも検討しています。

値上げは申し訳ないし、心が痛い…

再び延岡市内のスーパーです。
今後も天候次第では10月上旬まで魚の価格の高騰が続く可能性があるといいます。

(値上げは)本当に申し訳ないというのがあるし、高くなったよねと言われるのは心が痛い。

この台風の被害が落ち着くまでは、スーパーは利幅を小さくして値上げを抑えようとしていたり、
漁師さんは泥をすくい上げないように網の目を粗くするなど、それぞれが企業努力を行っていました。

安定した価格に戻るまで、消費者として応援できることは何なのか、考える必要性を感じました。

  • 牛田幸宏

    宮崎局 ディレクター

    牛田幸宏

    宮崎出身!…ですが「ゴソ」という言葉、初めて知りました。

  • 佐々木帆南

    宮崎局 ディレクター

    佐々木帆南

    この前、夕方のニュースに生出演してめちゃくちゃ緊張しました。

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