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宮崎 とんこつラーメンから燃料!? 高千穂あまてらす鉄道の挑戦

  • 2022年09月21日

宮崎県北部の高千穂町で観光用の鉄道車両を運行している「高千穂あまてらす鉄道」。今年8月から燃料を軽油からバイオディーゼル燃料に切り替えました。燃料の原料はなんと飲み残しの豚骨スープなどということで、環境に配慮したSDGsな取り組みとして大きな注目を集めています。早速、新しい燃料のあまてらす鉄道に乗ってきました。

戻りつつある客足

8月最後の週末だったこの日。晴天にも恵まれ、多くの観光客が訪れていました。新型コロナの影響で大きな影響を受けたあまてらす鉄道ですが、徐々に戻ってきた客足に、ホッとしているとのことでした。

あまてらす鉄道のハイライトは、高千穂鉄橋(高さ105メートル)からの眺め。橋の下を見ると、吸い込まれそうなスリルを味わえます。あまてらす鉄道では運転士さんが乗客を楽しませるため、シャボン玉を飛ばしてくれたり、トンネルではイルミネーションを投影してくれたりします。

さて、このトンネルが豚骨スープ由来のバイオディーゼル燃料を感じる事が出来るポイントです。周囲の香りを感じてみると…あ!本当にとんこつスープのような、チャーハンのような香りがします!排気ガスの煙たさに邪魔されずイルミネーションを楽しめる。これもバイオディーゼル燃料の良さかも知れません。

バイオディーゼル燃料 導入の思い

豚骨ラーメンが名物の福岡の会社から供給を受けているバイオディーゼル燃料。天ぷら油や飲み残しの豚骨ラーメンのスープから抽出したラードなどの廃油で作られていますが、これまでの軽油と比べてコストはほとんど変わらないということです。一方、引火する温度が高温なため安全性が高く、排気ガスで黒煙が出ないことから環境にも優しいとのこと。あまてらす鉄道では、月400リットル程を使用する見込みです。

燃料自体の見た目はまさにサラダ油。香りも食用油の香りそのものです。軽油のようなツンと来る刺激臭は全くありません。

旧高千穂鉄道OBで、現在、高千穂あまてらす鉄道で専務を務める齊藤拓由(さいとう・ひろよし)さん。高千穂鉄道廃線後、運転士を続けたいとの思いから、福岡県と佐賀県の間を走る「甘木鉄道」に移った経験もあります。『高千穂鉄道が廃線になった原因の台風。そこには二酸化炭素排出による地球温暖化が関係しているかも知れない。ならば高千穂鉄道を引き継いだ観光鉄道として、環境意識を高める必要があるのではないか?』それが、バイオディーゼル燃料導入のキッカケだったと言います。『将来的には、高千穂町で集めた廃油でバイオディーゼル燃料を作りたい』と夢を語っていました。

旧高千穂鉄道の車両 運転体験も

高千穂あまてらす鉄道では旧高千穂鉄道の車両を使った運転体験も行っています。この日も齊藤さんは車両を実際に動かしてくれました。駅構内の短い区間ですが、だからこそ求められる繊細なブレーキさばき。狙ったところにピタリと止まる職人技に、運転士としての矜持と鉄道への思い感じ胸が熱くなりました。運賃表も特別に表示してもらいました。今はもうない鉄路と駅、そこを乗降した人々の姿に思いを馳せました。

  • 滑川和男

    宮崎コンテンツセンター

    滑川和男

    鉄道駅が好きな駅鉄

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