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宮崎 大相撲アナウンサーだった小原局長 忘れられない取組とは

  • 2022年09月16日

NHK宮崎放送局の局長小原茂です。私は、スポーツアナウンサー出身で、専門分野は大相撲です。数々の名勝負を実況席から見つめてきました。今回は、宮崎ゆかりの力士や、大相撲を支える裏方の働きについて、そして思い出に残る取り組みについて話をさせて頂きます。

局長室の小原局長
故・音羽山親方(元大関貴ノ浪)とテレビ実況席にて

宮崎の幕内力士は3人

まずは宮崎と大相撲の縁から。両国に国技館ができた明治42年以降、幕内力士を出身県別で数えますと、最も多いのが青森県で70人。一方、最も少ないのは鳥取、島根、宮崎の3人です。

しかし宮崎出身の3人はいずれも好角家ならみんな知っている名力士揃い。昭和40年代中盤に活躍した羽黒岩(戸田)。次に元名大関の四股名を名乗った栃光(金城)。そして、現在、玄人好みの取り口で活躍する琴恵光です。琴恵光は小柄ながら正攻法の押し相撲は高い評価を受けています。

琴恵光
琴恵光は延岡市出身

大相撲の裏方の存在

大相撲の土俵や力士を支える人たちの存在も忘れるわけにはいきません。まず行司さん。土俵上で取り組みを“合わせる”ことが最も目立つ仕事ですが、その他にも大切な仕事があります。そのひとつが「番付書き」。番付表の原版、縦109㎝、横79㎝のケント紙に横綱から序の口まで全力士の四股名を筆で書きます。番付発表までは極秘なので、担当する行司さんは外出禁止。毎場所ですから大変です。
ところで、大相撲担当のアナウンサーにとって行司さんは、相撲について何でも知っている先生のような存在です。私も、第35代木村庄之助さん(延岡市出身)をはじめ、多くの行司さんに相撲のイロハを教わりました。

忘れられない実況

大相撲では中入りの時間、翌日の組み合わせの紙を会場に披露します。この貴乃花・武双山の紙は、親しい行司さんから「思い出に残る取り組みは?」と聞かれ、私が相撲実況を離れる際に記念に書いて下さったものです。

武双山と貴乃花の組み合わせ

そうです。私の忘れられない実況は、2001年夏場所、貴乃花が鬼の形相で武蔵丸に勝った千秋楽の前日、貴乃花が武双山に巻き落とされて右ひざ脱臼という大けがを負った日のラジオ実況です。貴乃花の有利と思われた一番で、結果は武双山の勝ち。私は取り組みの振り返りにかかり切りでした。すると解説の北の富士さんが「貴乃花がおかしいよ、上がってこないよ」と指摘したのです。実況アナウンサーとして、貴乃花の負傷という大切な情報に先に触れることが出来ませんでした。その意味では、今でも悔いの残る実況ですが、私にとっては大切な思い出です。

個々の力士の勝敗と決まり手を書いたカード
実況の材料になります

郷土力士の活躍に期待

宮崎と大相撲の関連で忘れてはいけないのが優勝力士に贈られる「宮崎県知事賞」。宮崎牛特選肉1頭分です。この肉の美味しさは相撲界では大変有名だそうです。

私は宮崎がNHK入局以来10か所目の勤務地ですが、これまで勤務した土地ではなぜか新しい関取が誕生してきました。現在宮崎で3年目で、そろそろ新関取が誕生してもよい頃かと思います。九月場所、秋場所は幕下の中位に3人の郷土出身力士がいます。その活躍に期待したいと思います。

  • 小原茂

    宮崎局・局長

    小原茂

    趣味は盆栽

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