茨城 17市町村で若年女性半減「消滅可能性自治体」鉾田や八千代町も指摘 つくばみらいは自立持続可能性自治体
- 2024年04月24日
民間の有識者グループ「人口戦略会議」は自治体ごとに2050年までの20代から30代の女性の減少率を分析した結果を公表しました。
茨城県内では全市町村の40%近くにあたる17の市町村について「最終的には消滅する可能性がある」と指摘されました。
県内市町村の分析結果について詳しく見ていきます。
(水戸放送局 記者 安永龍平)
NHKプラスで配信 5/1(水) 午後7:00 まで
詳しい分析結果は?地図で確認
有識者グループ「人口戦略会議」は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに20代から30代の女性の数、「若年女性人口」の減少率を市区町村ごとに分析しました。
こうした分析が公表されるのは10年前に続いて今回で2回目です。
青色に塗られているのが若年女性人口の減少率が50%以上の「消滅可能性自治体」、灰色が20%以上、50%未満の自治体、黄色が減少率が20%未満の「自立持続可能性自治体」です。
「消滅可能性自治体」の内訳
「消滅可能性自治体」と指摘された自治体は全体の38%にあたる※17市町村です。
このうち鉾田市と八千代町は今回初めて消滅可能性自治体と指摘されました。
(※日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、潮来市、常陸大宮市、稲敷市、桜川市、行方市、鉾田市、城里町、大子町、美浦村、河内町、八千代町、五霞町、利根町)
若年女性減少率20%から50%未満の自治体
若年女性人口の減少率が20%から50%未満の自治体は※26市町村でした。
このうち石岡市と笠間市、それに筑西市の3つの市は前回の分析では消滅可能性自治体だったものの、今回脱却しました。
(※水戸市、土浦市、古河市、石岡市、結城市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、笠間市、取手市、牛久市、つくば市、ひたちなか市、鹿嶋市、守谷市、那珂市、筑西市、坂東市、かすみがうら市、神栖市、小美玉市、茨城町、大洗町、東海村、阿見町、境町)
「自立持続可能性自治体」は1市のみ
減少率が20%未満にとどまり「100年後も若年女性が5割近く残っており持続可能性が高いと考えられる」とする「自立持続可能性自治体」は県内で唯一、つくばみらい市のみでした。
この「自立持続可能性自治体」に該当する自治体は全国65あるということです。
人口減少率どこが多い?
転入や転出が続く場合の想定で、若年女性の人口増減率をまとめました。
県内で若年女性の人口が上昇するとされたのは、2つの自治体のみで、つくばみらい市が4.1%、守谷市で0.3%でした。
最も減少率が高かったのは大子町で76.4%、次いで、河内町は74.7%、城里町は71%、稲敷市は70.4%などとなっています。
初めて消滅可能性自治体と指摘 鉾田市は
初めて消滅可能性自治体と指摘された鉾田市の岸田一夫市長は「消滅可能性自治体と定義されたことについては率直な感想としては非常に残念だ。しかしながら、市としては、消滅可能性自治体と定義されたことによって、一層の危機感を持つ機会と捉えたいと考えている。そのうえで、今回の推計の分析を行うとともに、より一層、鉾田市の特色を生かし、持続可能なまちづくりを目指していきたいと考えております」とコメントしています。
大井川知事「国は大胆な人口減少対策を」
これについて茨城県の大井川知事は26日の記者会見で、「消滅可能性自治体だと分類されていない地域も引き続き人口減少が予測されていることに変わりはない。持続可能とされた自治体は全国でも数えるほどしかないため、日本が『消滅可能性国』になろうとしている」と述べ、人口減少は国全体の大きな課題だと危機感を示しました。
そして、茨城県は人口減少対策を政策の中心に据えていると強調した上で、「自治体だけの努力では抜本的な状況の変更はできない。『非常識』と言われるような考え方で国は施策を打つ必要がある」と述べ、大胆な人口減少政策を国が実行する必要があると述べました。
今回の発表については、笠間市の山口伸樹市長が危機感を示しつつ、「消滅可能性自治体」という文言の見直しを求める意見書を公表するなど、さまざまな反応が出ていて、人口減少対策の議論が活発化するか注目されます。