ページの本文へ

茨城WEB特集

  1. NHK水戸
  2. 茨城WEB特集
  3. 新プロジェクトX 岩手・三陸鉄道 東日本大震災からの復旧 鉄道会社や住民らの絆で実現|NHK水戸 森花子

新プロジェクトX 岩手・三陸鉄道 東日本大震災からの復旧 鉄道会社や住民らの絆で実現|NHK水戸 森花子

NHKプラスで4月27日(土)午後8:14まで見逃し配信!
  • 2024年04月23日

東日本大震災で壊滅的な被害を受け、廃線の危機に陥った岩手・三陸鉄道。4月20日に放送した「新プロジェクトX」では、子どもたちの入学式に間に合わせるため、わずか3年で全線復旧を果たした鉄道会社と住民の物語をお伝えしました。
(水戸放送局 アナウンサー 森花子)

NHKプラスで見逃し配信中 4月27日(土)午後8:14まで

配信はこちら

「復興のシンボル」三陸鉄道

「じぇじぇじぇ!」といえば、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」。皆さん、覚えていますか?
今回ご紹介するのは、そのオープニングで田園風景を駆け抜けていたレトロな列車『三陸鉄道』、通称「三鉄」。
東日本大震災の被災地で復興のシンボルともよばれた「不屈の列車」の物語です。

今回は、私、三陸鉄道の制服・制帽を着用させて頂きました。まるで小学生の職場体験のようになっておりますが、素敵な制服を身に着けるとそれだけで気分が上がります。
敬礼は小指を少し上向きにするのがポイント。

社長は元県職員!

岩手県の沿岸部を走る三陸鉄道は、1984年に開業した日本初の第三セクター鉄道。
2010年、そんな三鉄の社長に就任したのは、元岩手県庁職員の望月正彦さんでした。
希望した出向ではなかったが、地域の人々に愛される「三鉄」に次第に愛着をもつようになっていった
といいます。

望月さん
「社長になる心づもりは出来ていなかった。赤字の会社ですからね・・・」

あの日の決断

2011年3月11日、午後2時46分。「三鉄」自慢の美しい景観は一変します。津波によって駅舎が根こそぎ持ち去られていました。  

想像を絶する各地の被害状況が次々と報告される中、望月さんの耳には、「廃線」やむなしという声も聞こえてきたといいます。しかし、望月さんはそんな社員たちを集め、驚きの言葉を口にしました。

望月さん
「動かせるところから、三鉄を動かそう!」

被災状況を確認していた時、消防隊員から、「三鉄はいつ動く?息子が宮古の高校に入学する。三鉄が動かないと学校にいけない」と声をかけられた望月さん。今動かさなかったら、第三セクターとしての役割を果たせない。そう強く感じたといいます。しかし、鉄道会社の社員も皆被災者です。
全貌が分からない中で動かせば、二次被害に繋がるリスクもあると反対の声もあがりました。

運行責任者の金野淳一さんもその一人でした。
「状況が把握できていない中で、運転再開なんて出来るわけがない」と望月さんに反発。当時頭に血がのぼっていてどんなことを話したのかは覚えてはいないそうですが、1時間近く互いに思いをぶつけあったそうです。

しかし、最後は金野さんが望月さんの熱意におされる形で、三鉄は震災からわずか5日後、2区間での運行をスタートさせたのです。

金野さん
「三陸鉄道は終わり。地元のためにやれることをやるべきだ!という望月さんの熱意に共感したから従おうと思ったんです。」

当時、三鉄に乗車してきたのは、服も靴も泥だらけの人たちだったといいます。
「こんなに汚れているけど、乗せてもらえるだろうか?」そんな声をかけてくる人も多く、知り合いの顔を見て「生きてたかぁ。よかった」といった会話も聞こえてきたといいます。
VTRで当時の再現の様子が流れると、望月さんと金野さんの目が少しずつ赤く染まっていくのが分かりました。
未曾有の震災で混乱の最中、「誰かのために」「地域のために」と奮闘する人々の思いが、三陸鉄道を「不屈の列車」として甦らせたのだと思います。

6年かかる工事を3年で!

その思いを、線路の復旧工事を担っていた筒井光夫さんも現場で感じていたといいます。

筒井さん
「地元の人たちの声に応えたいという思いはあったので、重圧に負けず頑張ることができたと思います。」

津波によって高架橋や駅舎が根こそぎ破壊された島越駅。
三鉄の復旧工事で、最大の難所と言われたその島越の工事を担当した筒井さんを励ましたのは、高台にポツンと残された家に暮らしていた早野さん夫婦でした。
復旧していく様子を写真や日記に残すのが、早野さんの日課。早野さんにとって、日々変わっていく島越駅の姿は、まさに震災から立ち上がる復興の象徴だったのだろうと思います。
『まさか工事の様子を日記にしたためている人がいるとは思ってもいなかったので、初めて写真を見た時には驚いた』と話していた筒井さんでしたが、その表情は穏やかでとても嬉しそうだったのが印象的でした。

「不屈の列車」とよばれた三陸鉄道の復旧工事は、何百、何千、何万の人々が、互いを思いやり、支え合ったからこそ成し遂げられた大プロジェクトだったのだと思います。

そんな「新プロジェクトX 挑戦者たち」を見逃した!もう一度見たい!と思った皆さん。 
NHKプラスで配信されております。 

配信はこちら
4月27日()午後8:14まで

  • 森花子(アナウンサー)

    水戸放送局 

    森花子(アナウンサー)

    3年ぶり3度目の水戸局勤務となる森花子です。三度茨城に戻ってくることができて幸せです。 皆さんの生活に寄り添う放送をお届けしたいと思っておりますので、ご協力お願いいたします。

ページトップに戻る