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“生理用品が買えない” 日本でいま何が?

「収入が減って、生理用品を買う余裕がない」
「節約のために生理用品を交換する頻度を減らしている」
「生理用品を満足に使えないから外出しにくくなった」
新型コロナの影響が長期化するなか、いま女性たちから悲痛な声が上がっています。
いったい何が起きているのでしょうか。

コロナ禍で「生理用品が買えない」支援現場からの声

私たちはこの1年、新型コロナウイルスの感染拡大が、女性の仕事や暮らしに大きな打撃を与えている実態を取材してきました。その中で、支援団体の方々などから「『生理用品』の支援を必要とする人が増えている」という声を聞くようになりました。

「食料の無料配布をしていると、隅においてある生理ナプキンが一番最初になくなります」(子ども食堂運営者)

「『子ども用のおむつが買えない』と言うお母さんに、『生理用品は大丈夫?』と聞くと、言いにくそうに『実は困ってるんです』とおっしゃるんです」(子育て支援団体)

「オンライン相談で『生理が来てほしくない』と言う子がいて、詳しく話を聞くと『生理用品を買えないから外出できなくなる』と打ち明けてくれました」(10代の若者の支援団体)

「生理用品を交換する回数を減らしているという生徒からの声を聞き、施設のトイレに無料で置いておくことにしています」(困窮家庭の教育支援団体)

私はいま29歳。生活をする上で、「生理用品」はなくてはらならない必需品です。
しかし、その生理用品を手にすることができない人が少なくないという事実に初めて気づき、取材を進めることにしました。

“トイレットペーパーで…” 手作りナプキンを使う専門学校生

SNSなどで声を上げていた人に話を聞くことができました。神奈川県内の専門学校に通うサクラさん(仮名・19歳)です。去年の5月から、もう1年近く市販の生理用品を使っていないと言います。

サクラさん(仮名・19歳)

「トイレットペーパーとかキッチンペーパーで代用しています。最初はたたんであてるだけだったんですけど、それじゃずれるので、トイレットペーパーを固く巻いてタンポンのように使ったり、厚手のバスタオルを切ってあてがったりしています。生理用品以外のものを代用することで、病気になっちゃったりっていうのが一番怖いです。ちょっとおなか痛くなっただけでも、もしかしてずっとトイレットペーパーを入れてるからかなとか、そういう不安がつきまといます」

食事か、生理用品か…究極の選択を迫られて

サクラさんは父親と2人暮らしですが、幼いころから折り合いが悪く、光熱費や家賃の半分を負担するなど、生活にかかる費用のほとんどを自分で支払っています。

飲食店などのアルバイトを掛け持ちして、月に13万円ほどを稼いでいましたが、新型コロナの影響でシフトにほとんど入れなくなり、先月の収入は2万円足らずまで落ち込みました。

学費の支払いのために借りている奨学金を生活費に充ててしのいでいますが、家賃・光熱費・定期代・教材代のほかに食費を確保するので精いっぱい。そのため、生理用品の購入は我慢せざるを得なくなったと言います。

サクラさん(仮名・19歳)

「まずは自分が食べていかなきゃいけないし、学校は何としても続けたいので、生理用品にかけるお金はないなって思いました。私は経血の量が多い日が5~6日続くので、ナプキンとタンポンもすぐに使い切っちゃうんです。でも、お金を生理用品にかけるくらいならご飯を食べたいと思ってしまいます・・・」

外出を諦めるしかない…

父親に窮状を訴えることはできず、恥ずかしさから友達にも相談できず、自分でナプキンを作るようになったサクラさん。スポーツ好きで活発な女性ですが、生理期間中は家に閉じこもるようになったといいます。

サクラさん(仮名・19歳)

「友だちと勉強しに図書館に行こうといっても、そんなことしていたらいつ漏れるか気が気じゃないので、なかなか外は出歩けません。家にいてもバスタオルを折ってその上に座ったりして、いつ経血が漏れるかわからないので常に緊張しています。普通に学校に行って、普通にご飯食べられてっていう人には、生理用品がなくて困るなんて、なかなか想像がつかないことですよね…」

個人的な問題ではなく“社会の問題”

「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん

サクラさんのように生理用品を手に入れられず、生理のたびに緊張し、不安な思いで過ごしている若者は日本にどれくらいいるのか。

生理に関する問題について積極的に発信している若者の団体「#みんなの生理」が先月、インターネット上でアンケート調査を開始したところ、「生理用品を買えない」「節約のため長時間つけっぱなしにしている」といった声が数多く寄せられました。

共同代表の谷口歩実さんは、これまで個人的な問題としてあまり語られてこなかった生理を、「社会の問題」として考えてもらいたいと話します。

「#みんなの生理」共同代表 谷口歩実さん

「生理を快適に過ごすというのは、基本的な人権・尊厳にかかわる部分だと思います。生理ってすごく声を上げにくいトピックなので、当事者だけに声をあげることを強要してはいけないと思っていて、生理を経験する人も、経験しない人も含めて、もっとこの問題を社会で認知して、生理のある人にとって生きやすい社会を作りたいと思っています」

日本でも「#生理の貧困」 知ってほしい

「生理用品を購入できない・入手できない」という問題は、「生理の貧困(Period Poverty)」と呼ばれ、社会課題として解決していこうという動きが欧米を中心に広がり始めています。

日本ではまだ知られていない「生理の貧困」の問題ですが、3月4日に「おはよう日本」で放送して以降、様々な反響が広がっています。その実態や解決策について、取材を通してみなさんとともに考えていきたいと思っています。

この問題について、ぜひあなたやあなたの身近な人の経験を聞かせてください。また、記事に対する感想や意見、取材してほしい内容などを、「この記事にコメントする」からお寄せください。

●困ったときの相談窓口
・生活苦など 女性の悩みを相談できる窓口

この記事の執筆者

報道局社会番組部 ディレクター
市野 凜

2015年入局、首都圏局・前橋局・政治番組を経て現所属。コロナ禍の女性不況・生理の貧困・#みんなの更年期などジェンダーや労働に関わるテーマを取材。

みんなのコメント(20件)

質問
ニコニコママくすくす
50代 女性
2023年1月12日
スザンヌさんがお子さんをご近所等に預ける時、「危険行為は困るけど、それ以外はそのお宅のルールに従って預かって欲しい」と言うお話ですが、凄い知恵だなぁと感心しました。そのセリフが出るまでのコミュニケーションの取り方を教えてほしいと思います。
お隣の初老のご夫婦がご好意でうちの一人息子を預かりましょう、と申し出てくれた時があり、お願いしたらうちの息子は我が家と同じくボール蹴りをしたようで、音が聞こえてきました。苦情はありませんでしたがやっぱり悪かったなぁと思うものです。
提言
はは
50代 女性
2022年3月25日
生理用品が買えない方も勿論いらっしゃると思いますが、買えないのではなく買わない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

見えない物、捨てる物だからです。
他人から見えるものの洋服や携帯、化粧用品、交際費に比重は置けても、見えないもの生活費、食費、消耗品などは簡素化する。
その人の考え方によってお金をかける場所は違うと思います。そこに生理用品という項目の位置付けが低いのが原因の一つなのでは?と考えてしまいます。
現在、生理用品は高価な物ではないからです。

生理用品を無償提供する事はとても見えやすい支援ですが、生理用品を渡す事と同時に生活スタイルの見直しや支援、生理用品が手に入らなくなった時の対処法や布ナプキンの活用、作り方、カップ利用など、ただ物を与えるだけでなく、様々な面での教育をしっかり支援してあげて欲しいと思います。
感想
20代 女性
2022年3月24日
スマホをもつ、洋服を買うより、生理用品を、買うようにしています。働きながら、学校に行っています。
ミント
50代 女性
2022年2月10日
切羽詰まってる人に生理用品届けたい
アッチャン
40代 女性
2021年8月31日
私の家系は女系家族なのと3姉妹で育ったのと、大阪だから?か、結構生理の話し等もしやすい環境で育ちました。でも、友達には父親しか居なく、勿論生理用品の前に生理がどんな物なのかも分からず、相談も出来ない友人が居ました。
昭和、平成、令和と生きてますが、今現在でも生理について悩む女性が居ることが悲しいです。まず男性にも生理がなんであるのか、生理痛等も含め知ってもらえる時代になって欲しいです。
なぜ
40代 女性
2021年6月1日
昨晩の報道番組にて18歳の大学生がインタビューを受けていた。
やはり生理ナプキンよりスマホ代が1万2千円も使っていた。
ナプキンを節約してると言ってましたが、よくよく考えると自分の身体の事は考えてないのだなって思いました。若いから?
ナプキンも衛生的に使わなければ感染症などにもかかる場合がある事を知らないといけないかと。母親がいる家庭ならばそれくらいは用意してあげて欲しい。
愛用中
40代 女性
2021年5月28日
支援策として、月経カップはどうでしょうか? ひとつの値はナプキンより張りますが、ひとつあれば半永久的に使えるので長期的に助かるかと思います。ゴミも出ないので環境にも優しいです。
本当は貧困そのものがなくなるといいんですけどね。
さかな
2021年5月10日
ナプキンは肌に直接つけるものだから、肌が弱い子が自分あったものを買おうとすると一週間の食費なんてとっくに消えますよね。生理がひどいときはナプキン取り替えるのが大事だけどトイレに行くことを許さない先生もいるからまだまだ問題はあると思いました。
Amy
30代 女性
2021年4月30日
女性誌で、繰り返し利用できる月経カップや、ナプキン不要の吸水型サニタリーショーツについての記事を読みました。これらを私は使用したことがありませんが、布ナプキンは利用経験があり、興味があります。
繰り返し利用できるアイテムを、支援で供給ができたら、紙ナプキンが買えない・手に入らない時期に助かるだろうかと考えました。
辛い思いをしている方が、少しでも助かる支援を、互いにし合う社会にしたいです。
あおぞら
30代 女性
2021年4月6日
ナプキンを忘れた時にトイレットペーパーを挟んだ事はありますが、グズグズに溶けてしまいます。ラップを挟んで作ったナプキンやトイレットペーパーでタンポンを作るなんて、考えた事もありませんでした。
清潔でないトイレットペーパーの使用やナプキンの使い回しで感染症になったら、不妊症や命の危機だってあり得ます。それが娘や妻、将来のお嫁さんかもしれない…男性にも他人事じゃないと思います。
なな
女性
2021年4月6日
生理用品は無料配布がいいです。無料クーポンはいいです。毎月の事がだし、痛み止めも毎月飲んでいます。痛み止め薬も無料配布がいいです。精神的、身体的な苦痛を女性は毎月耐えながら生活し仕事をし勉学しています。他国のような政策が必要です。日本だけやれない事ではないです。学校教育で会社でもっとしっかり学ぶ時間が必要です。生理的な大切な事に時間とお金をかけるべきです。男性にもあればもっと問題になるはず。
れれれ
2021年4月6日
スマホ割片手に自由気ままな生活してても生理用品は買えない?
意味不明です。
ともちゃん
50代 女性
2021年4月6日
私は閉経したので使わなくなった生理用品が家にあります。このニュースを聴いて、不要になった生理用品を寄付したいと思い、とある団体に問い合わせました。その団体は生理用品自体の寄付に応じていると知ったからです。でも、回答は「新型コロナウイルス対策のため、生理用品現物の寄付は現在お断りさせていただいております。」というものでした。なんだかモヤッとします。
さん
50代 女性
2021年4月4日
最近、生理があがりました。袋を開けてない生理用品が手元にあります。困っている人に差し上げたいと思い、コメントを寄せました。
ヨーコ
50代 女性
2021年3月12日
今まで知らなかったことがショックでした。考えてみれば、女性には生理用品というどうしようもない出費があるので、男女平等というなら生理用品クーポンを支給するなどして無料にして国が代金を払ってほしいですね。
ともコロン
40代 女性
2021年3月11日
周期によっては月2回あったりして、出費もバカにならない。体調が悪くなるときもあるから、早くあがったらいいのになぁと何度思ったことか。
りん
2021年3月11日
生理用品を作る企業の見解も知りたいです。政治家や男女共同参画にも取材して欲しいです。当事者である女性にだけ声を上げさせるっておかしいと思う。
透明ゆき
50代 男性
2021年3月10日
意識が及ばない男性こそ、知らなくはならない問題で、人としての平等の原点かも知れない問題では?
たかママ
女性
2021年3月10日
生理用品に困っている方がいると初めて知りました。支援するにはどうしたらいいですか?
真由美
50代 女性
2021年3月9日
生理の量がとにかく多いので、市販の生理ナプキンではしのげません!1番大きいサイズでも漏れてしまいます、そして市販のナプキンは値段が高いです、そして出会ったのが、医療用の尿取りパットでした!かなり大きいので一枚でカバーできて、約30枚くらい入ってても、値段は1000円以内で、生理の量が多いときは取り替えないと不潔なので、医療用の尿取りパットでも、生理ナプキンの代用になりますただ外では捨てる場所がない