松山市桑原地区 防災士と考える住民を守る取り組み
- 2024年03月04日
能登半島地震から2か月。能登半島地震では木造住宅が倒壊し、多くの人が犠牲になりました。
南海トラフ巨大地震に備えて、松山市では地域をよく知る防災士の皆さんが中心になって、住民を守るための取り組みが行われています。
(NHK松山放送局 横林良純)
特集の内容はNHKプラスで配信中の2月29日(木)放送の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。
松山市で防災をテーマにした勉強会が開かれました。
参加したのは松山市内の防災士、およそ20人。
能登半島地震を受けて自分たちの暮らす地域の防災力を高めるのが狙いです。
能登半島地震では、241人が亡くなりました。
死因などが公表されている人のうち、およそ8割にあたる114人が、家屋の倒壊が原因とされています。
今回の勉強会、テーマの1つは「住宅の耐震化」の重要性についてです。
模型を使って、木造住宅の倒壊の危険性を考えました。
まずは耐震性が高い建物の模型です。
柱と柱の間にある「筋交い(すじかい)」のほか、「耐震壁(たいしんへき)」が使われています。揺らしても倒壊しません。
この筋交いや耐震壁を外すと・・・
倒壊してしまいました。
職員
「やはり筋交いを設置したり、耐震壁を設置したりすることは、耐震において重要になります」
参加していた防災士の則内俊成(すのうち・としなり)さんです。
能登半島地震の住宅被害を見て、ひとごとではないと感じています。
「私の地域は昔からの家もありますし、私の実家もかなり古い家なので、耐震診断、耐震設備をしないといけないとつくづく感じています」
則内さんが暮らすのは、松山市桑原(くわばら)地区です。
住宅が密集していて、木造住宅も少なくありません。
南海トラフ巨大地震が起こった場合、どんな危険があるのか考えようと、小学生からお年寄りまでの15人が、則内さんの呼びかけで集まりました。
まず配られたのが、チェックシートです。
住宅を建てた時期のほか、増築や吹き抜けの有無、壁が多いか少ないかなど、あわせて10項目を点数化することで、自宅の耐震性を簡単に知ることができます。
則内俊成さん
「いつ建った家なのか、今まで大きな災害に見舞われたことがあるか、1階と2階の間に大きな吹き抜けがあるのかなど、必要によっては耐震補強してもらう参考になればと思います」
木造住宅に住む人
「芸予地震の時にやっぱり被害が出ているんですよね。どこをどうやって直していいのか分からないので、耐震を調べていただいて、危ないなと思ったら筋交いを入れるとか、そんなことも検討しないといけないのかなと思います」
さらに、地域を歩きながら危険な場所を探します。
参加した子ども「ここにヒビが入っているでしょ。危ないね」
参加した子ども「ここに水路がある」
見つけた危険な場所は地図にメモします。
そして集会所に戻って、その危険な場所の情報を共有しました。
参加した子ども
「ここは電柱がいっぱいあって、落ちてきたら大変。危険だなと思いました」
参加した子ども
「本当に地震が起きた時には、あわてずに、今見た危険なところをしっかり見ていきたいなと思いました」
参加した女性
「能登半島のような、ああいう大きい地震は家具の倒壊、家の倒壊が非常に多かったように思うんです。本当に役に立ちました」
則内さん
「家の耐震化、家具の転倒防止、まず自分と家族を助けると、それが一番大切なことが分かっていただければと思います」
愛媛県の住宅の耐震化率は6年前の数字ですが、81.3%で、全国平均をおよそ6ポイント下回っています。愛媛県の各自治体では、木造住宅の耐震診断や耐震補強の補助制度を設けています。こうした制度を利用して、ぜひ、自分や家族の命を守る取り組みにつなげてください。
特集の内容はNHKプラス配信終了後、下記の動画でご覧ください。