道後温泉“カラクリ時計” 音は大きい?小さい?
- 2024年02月28日
愛媛県を代表する観光地、松山市道後にある「坊っちゃんカラクリ時計」の音が大きいと近くに住む人などから複数の訴えがあり、管理する市が2月6日から時計の音量を下げました。これに対して地元の観光業者からは、市からは事前に説明がなかったとした上で「バスや電車が通ると音が聞こえず観光客が楽しめない」などと不満の声があがっています。
特集の内容はNHKプラスで配信中の2月27日(火)放送の「ひめポン!」(NHKGTV午後6時10分~)でご覧いただけます。
「坊っちゃんカラクリ時計」は、道後温泉本館の建設100周年を記念して平成6年に松山市が設置したものです。30分から1時間ごとに小説「坊っちゃん」の登場人物の人形が音楽とともに動きます。
松山市によりますと、このカラクリ時計についてこれまでに音が大きいと複数の訴えがあり、先月には近くに住む人から「生活をしているなかで音が大きいのではないか」と電話で相談が寄せられ、市は、今月6日に音量を10デシベルほど下げたということです。
この対応について地元の人たちからは、「聞こえんほうがいい、近くに住んでいたら」、「後ろのマンションの人はうるさいと思う。今の音でいいのでは」といった声が聞かれました。
一方で、地元の観光業者らは市から事前に説明がなかったなどとして音量を元に戻すよう要請しているということです。人力車を引く男性は「音は小さくなってますね。ちょっと小さすぎるかなと思うんで、お客さんも聞こえないって言って静かに聞いてる状態になっちゃってるんで」と話していました。また、観光ボランティアの女性は「電車やバスが通ってる音でかき消されてしまってまるで聞こえない。ワクワク感もないですね」と話していました。
時計の音量を変更したことについて松山市の観光・国際交流課の担当者は、カラクリ時計の音量を測定した結果、最大時の音量をせみの鳴き声と同じ程度の70デシベルから60デシベルに下げたと説明します。
一方で、市によりますとおよそ3年前には観光客などからカラクリ時計の音量が小さいとの意見が複数寄せられ音量を大きくしていたということです。
市の担当者は「音量に対して明確な規制があるわけではない中でどういった音量設定にするかっていうところは、設置している我々の裁量の部分かなというふうに考えていますので、特にそれを広く周知するですとかそういうことは今のところ考えていません。皆さんに楽しんでもらえる一方で、生活している人にとっても支障がないような状況を作り出す必要があるので、今後引き続き検討したい」と話します。
一方、まちづくりに詳しい専門家は市は住民側と観光業者を集めて議論する場を設け、互いに歩み寄れるよう働きかけることが重要だと指摘します。
(國學院大学 西村幸夫教授)
「生活する人のニーズとそれから観光をする人のニーズがやっぱり相反することもあるので、何らかの委員会をつくって公開の場で議論するとか、ちゃんとお互いの主張が分かる場を行政が準備する必要があるのではないでしょうか。お互いが歩み寄ってこれだったらやむをえないなと納得できるようなプロセスが必要です」
筆者は、坊っちゃんカラクリ時計の近くで別の取材をしていたときに音があまり聞こえないと感じ、人力車を引く人に聞いたところ「少し前に音が小さくなった。戻してほしい」と憤っていたことがきっかけで、取材を始めました。音の聞こえ方は、場所や時間帯、立場などで違うので誰もが納得する音量を設定するのは難しいと思います。しかし、実際に音量調整をするのは業者で作業費は税金です。市にはこうしたことも踏まえて対応してほしいと思います。
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