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新学期が始まって2週間 「学校に行きたくない」「朝起きられない」ときは・・・

  • 2023年09月19日

夏休みが明け、新学期が始まって2週間が経過しました。
学校に楽しく通う子もいる一方で、久しぶりに学校生活を迎えたいまの時期は、子どもが悩みを抱えやすく学校に足が向かない子もいます。
子どもの気持ちにどう寄り添い、向き合えばいいのでしょうか。

(NHK松山放送局 勅使河原佳野)

新学期前 子どもから寄せられる不安

松山市で子どもの電話相談に応じているボランティア団体では、夏休み明けを迎える8月末からおよそ2週間、体制を強化して子どもの悩みに耳を傾けてきました。 
「友達とけんかをしたので人間関係が心配」「苦手な先生と会うことに不安」など、 新学期に向けて不安を訴える声が相次いだといいます。

チャイルドラインハートコール・えひめ 染川まどか代表

「誰にも言えずに今まで1人で頑張ってきたという子どもがほとんどなんです。2学期が始まってまたクラスになじめるかなという電話も、意外と夏の時期に多いんです」

県内の不登校の小中学生は2200人を超えます。
夏休み明けがきっかけで不登校になる子どもも少なくありません。
生活のリズムを取り戻すことが難しかったり、1学期にすでに悩みを抱えていて、再び登校する負担が大きかったりと、その理由はさまざまです。

子どもの本音は?

今回、松山市で不登校の子どもなどを支援しているフリースクールに通う子どもたちが、休み明けにどのような気持ちを抱いていたか、経験を聞かせてくれました。

「友人関係があんまりよくなかったので、それもしんどいと思っていました。長い休み明けだと、1日2日ぐらい学校を休む感じでした」

「友達が自分を覚えててくれてるかなとか、話せるかなってドキドキしていました。もし話したりしてくれなかったらいやだなと思いながら通ってました」

また、かつて学校に通えなくなったときに、親に言われた言葉をどのように感じたのかも教えてくれました。

「学校に行きたくないなっていう気持ちを最初親に言ったときは、『じゃあきょう休んでいいけど次いつ行くの?』って言われたり、『学校に行かん間どうするの?』とか、学校関連のことを言われるのがしんどいなって思いました」

「親から『ずっと引きこもって学校にも行かずに!』って言われたのが嫌でした」

フリースクールの代表は、家族は子どもを追い詰めず、まず気持ちを受け止めてほしいと話します。

フリースクールエルート 孕石修也理事長

「否定しないっていうのは大前提なんです。子どもはお母さんお父さんが思っているよりしんどい思いをしているかもしれない。『これぐらいで』とか『それぐらいで』って言わずに、想像よりはるかに苦しんでたり傷ついたりしている可能性があると思って丁寧に話をしてほしいです」

孕石さんがフリースクールを設立した4年前、県内にはフリースクールの運営団体は3つしかありませんでした。今では20以上に増加しているといいます。 孕石さんは、学校以外の居場所をあらかじめ保護者が考えておくことも必要だと指摘しています。

「一昔前にくらべて、不登校などの子どもに関わる団体や場所がすごく増えているんです。ある程度元気なうちに居場所を知って調べておき、親御さんが1人で悩まずにさっと次に移行してもらえると、子どもたちが極端にへこむことなく元気になったり、次の居場所を見つけるきっかけになったりします」

子どもにどう接する?

愛媛大学医学部児童精神科 河邉憲太郎准教授

実際に子どもから「学校に行きたくない」と打ち明けられたらどうすればいいのか。
子どもの心の問題に詳しい、愛媛大学医学部児童精神科の河邉憲太郎准教授に接し方の一例を聞いてみました。

「学校に」行きたくないと言われたら
まず「休んでも大丈夫だよ」と言ってあげて下さい。 「勉強が遅れる」、「進路に影響が出る」、「学校行かないの?」など、追い詰めることを言ってはいけません。

体の不調が見られるとき
「学校に行きたくない」と言わない場合でも、その気持ちが体の不調として出る場合もあります。例えば、「お腹がいたい」「朝起きられない」「食欲がない」などです。このような体の不調がみられるときは、「起きなさい!」などと指示をするのではなく、「大丈夫?」など心配している気持ちをまず伝えることが大切です。

子どもが学校を休んで家にいるときは?
子どもと向き合ってゆっくり話してみたり、「そばにいる」という姿勢を示したりすることが大事です。「なぜ学校にいけないのか」は本人も分からないことが多いので、ふだんの様子からそのヒントを探ることが大切とのことです。

相談先は?

実際に子どもが学校に行かなくなったときに、どこに相談すればいいのか。 県内の相談先をまとめました。

松山市と伊予市では不登校の子どもの相談を一括して受け付ける窓口を設置しています。
▼松山市子ども総合相談 089-943-3200 
▼伊予市こども家庭センター 089-989-6226

また、不登校の子どもの学習支援などを行う「教育支援センター」は11の自治体で設置されています。
このほか、県教育委員会でも相談室を設けています。
▼愛媛県総合教育センター 教育相談室 089-963-3986

各地のフリースクールで作る連絡協議会もあり、直接相談ができます。
▼愛媛県フリースクール等連絡協議会 090-8210-6120

  • 勅使河原佳野

    勅使河原佳野

    2019年入局の記者。 好きなものはコーヒーと温泉、エスニックなもの。

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