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松山の高校生が開発!防災ゲーム

  • 2023年06月19日

    愛媛県立松山工業高校に、防災と、持続可能な開発目標・SDGsを広める活動をしている部活動があるのをご存じでしょうか。その名も「チーム Save Our Future」。英語で「私たちの未来を守る」という意味の、頼もしい名前です。
    チームでは、楽しみながら防災について知ることのできるゲームを開発しています。
    いったいどんな内容なのか、大雨が気になる季節に探ってきました。

    (NHK松山放送局アナウンサー 鈴木聡彦)

    防災×SDGs ユニークな部活動は全国的にも高評価

    動画投稿サイトの画面

    動画投稿サイトに、自分たちの活動を公開して紹介するのは、松山工業高校の「チーム Save Our Future」です。
    防災とSDGsを、楽しくわかりやすく広めるという、ユニークな活動に取り組んでいます。
    チームは5年前の西日本豪雨がきっかけで誕生しました。12人のメンバーのうち5人が防災士の資格を持ち、松山市などと協力して、市内の小中学校で防災の出前授業を行うなど、わかりやすく防災を広めています。

    これまでの活動が評価され、去年8月には、松山市で民間企業が開いた「えひめSDGs甲子園」で、グランプリを獲得。 さらに、ことし1月には、兵庫県などが主催して全国の先進的な防災の取り組みを評価する「ぼうさい甲子園」で、高校生部門の「優秀賞」を受賞しました。

    チームリーダーで現在3年生の松野京介さん

    「僕たちが行っている活動が評価されたということで、とてもうれしく思います。 この活動をさらに発展させて、次は、今回優秀賞だったぼうさい甲子園で、ぼうさい大賞を目指して、頑張りたいなと思います」

    開発したのは「マイ・タイムライン」を作るカードゲーム

    松野さんたちは、防災をわかりやすく学べるようカードゲームを開発しました。
    風水害などが発生する前に、いつ、どんな準備をすればよいかを時系列で考える、「マイ・タイムライン」というものがありますが、これをカードゲームにして、参加者がそれぞれゲーム感覚で学べるように作り上げました。

    どんなものかといいますと、まずカードをひいて、家族構成と、どこに住んでいるかを決めて、その家族の立場でマイ・タイムラインを考えます。
    ゲームでは、台風による風水害の発生から逆算して、数日前からどんな行動をとればよいかを考えていきます。

    「周りの状況」のカードをめくると、「台風接近中」とあります。いまは災害発生の3日前、台風の進路などがわかり始めたころです。この段階では、雨や風はまだそれほど強くはなっていません。

    ここで、手持ちの7枚のカードから、いまのうちにやっておくべき行動を5枚選びます。
    みなさんならどうしますか!?

    災害発生が近づくなか、このあとも「警報」や「氾濫警戒情報」など、情報がつぎつぎに発表されていきます。 周囲の状況も、時間とともに刻々と変化していくなかで、ゲームの参加者は、最初に選んだ家族構成なども意識しながら、状況にあった「行動カード」を選んで、マイ・タイムラインを作り上げていきます。
    松野さんたちは、どうしてカードゲームを作ることを思いついたのでしょうか?

    松野さん
    「小中学生に出前授業を行っていたのですが、そのときに、ただの授業では面白くない、わかりづらいという声が上がったので、小さい子でもわかりやすく、楽しく、防災について学んでもらえるのではないかなと、カードゲームを開発しました」

    「人前で話す度胸を身に着けたい」とチームに参加

    松野さんは、当初から防災への意識がそこまで高かったわけではありません。 活動に参加するきっかけは、防災の出前授業などで、人前で話す度胸を身に着けたいという思いからだったそうです。

    松野さん
    「人見知りまではいかないまでも、人前で話すのは得意ではなかったんです。出前授業を通して、人前で伝えるために大切なことなどを学びました。教えるためには自分も知識が必要なので、そういう部分では、防災の知識も格段に上がったんじゃないかなと思います。それを、次は僕たちが、次の世代につなげていけたらいいのかなって思っています」

    オンラインゲームも新たに開発!?

    カードゲームを生み出した松野さんたちは、いま、別のオンラインゲームの開発にも挑戦しています。
    インターネットを使って、離れた2つの場所で会話をしつつ、絵合わせをしながら、防災の知識を深めていくというゲームです。
    高校の情報電子科で学ぶ松野さんは、ゲームを動かしたり、改善したりする作業にも、熱心に取り組んでいます。

    松野さん
    「オンラインゲームにすることで、いままで実際に会うことができなかった人とも交流ができるということで、始めました。オンラインゲームも、カードゲームも、これからさらに発展させて、ゴールはまだまだ先なんですけれども、活動がうまくいって、ぼうさい大賞を取るのが、ことしの目標です!」

    取材実感

    防災とかSDGs、と聞くと、私たち大人でも、「難しいんじゃないか」「とっつきにくい」と身構えてしまいがちですよね。
    でも松野さんは、笑顔で「ゲームだったら小中学生も楽しみながら学ぶことができる」と話します。
    取材中も、元気な笑い声が絶えなかったチームのメンバーたち。
    肩に力を入れすぎず、まずは自分たちが楽しみながら、防災やSDGsと向き合う姿がとても印象的でした。
    彼らこそ、次世代を担う防災リーダーになるのだろうと、心から思いました。 「ぼうさい大賞」受賞の日も近い、かもしれませんね!

     

      •  鈴木聡彦

         鈴木聡彦

        アナウンサーとして、これまで有珠山噴火・新潟県中越地震・東日本大震災・九州北部豪雨・西日本豪雨などの災害報道を経験。松山局に転勤してからは、災害時の断水に備えて、西条市のうちぬきの水を自宅に備蓄中。

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