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高知 再び朝ドラに!アンパンマン誕生までのやなせたかし夫妻を描く

  • 2023年12月25日

2025年春からの放送が決定した連続テレビ小説『あんぱん』。「アンパンマン」の作者で高知出身の漫画家・やなせたかしさんと妻の小松暢(こまつ のぶ)さんをモデルにしたドラマです。物語の最初の舞台となるのは、やなせさんが幼少期を過ごした高知県。
ドラマの制作統括、倉崎憲チーフ・プロデューサーが「こうちいちばん」に出演し、制作が決まった経緯や、脚本家・中園ミホさんとの驚きの秘話、「ぶっちゃけ高知編はドラマ全体のどれぐらい?」など、ここだけの話をたっぷり語ってくれました。

夫婦の愛と勇気の物語『あんぱん』

やなせたかしさん(左)と妻・小松暢さん(右)

2025年春から放送される連続テレビ小説『あんぱん』は、アンパンマンの作者である漫画家やなせたかしさんとその妻・小松暢さんをモデルにした、夫婦の愛と勇気の物語です。

新聞記者にデザイナー、放送作家など、あらゆる職業を転々としながら定まらない人生を送っていた遅咲きの漫画家・やなせたかしさん。そんなやなせさんが、70歳にして生きる喜びを書いた「アンパンマンのマーチ」の歌詞を生み出した背景には、戦前・戦中・戦後と激動の時代を、ちょっと気が弱くて自信のないやなせさんと共に生き、けん引し続けた妻の存在がありました。生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人の人生。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、アンパンマンにたどり着くまでを、激動の時代を生きた波乱万丈の物語として大胆に再構成し描きます。

やなせたかしさんを支えたハチキン

このドラマを企画・立案した制作統括の倉崎憲チーフ・プロデューサーに高知放送局のスタジオで話を聞きました。

ー倉崎プロデューサーが、今回やなせたかしさんと妻・小松暢さんを描こうと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

『あんぱん』制作統括 倉崎憲チーフ・プロデューサー
私自身、小さい頃からアンパンマンを見て育った世代なのですが、最近特にこの1~2年、無意識にアンパンマンのテーマ曲を勝手に口ずさんでいる自分がいたんです。「何のために生まれて何をして生きるのか」ということについて、自分自身も生き方に悩んでいたときに、ふとこの歌詞ってとても深いなと思ったんですね。そこからやなせさんの人生に興味を持ち始めて、片っ端からいろんな書籍を読んでみると、やなせさんは、アンパンマンを生み出すまでに非常に波乱万丈な人生を歩んでいらっしゃいました。これはもしかしたら朝ドラの題材になり得るんじゃないかと思って企画しました。

ー満を持しての企画だったんですね。

自分の人生で朝ドラを企画できるときが来たらやなせさんをやりたいと思っていました。そこでいろんなやなせさんの自伝を読むたびに、奥さんの暢さんの持ち前の行動力が、やなせさんのいろんな場面での行動を後押ししたんだなということに気づきました。やなせたかしを生み出したのはもしかしたら暢さんかもしれない。じゃあ夫婦の愛と勇気の物語として描きたいなと思ったんです。

ー暢さんに関してもかなり調べられたのでしょうか。

世の中の皆さんは、やなせたかしさんはご存じの方が多いと思うんですけれど、暢さんに関してはほとんど資料が出てこなくて。そこで、やなせさんが書かれた書籍の中で暢さんについて記されているところから、こういうキャラクターだったんじゃないかということを創造していきました。“ハチキン”(土佐弁で男勝りな女性という意味)で、足も速くて、ぐいぐい引っ張っていくようなキャラクターを、今ちょうど造形しているところです。

朝ドラが再び高知に!そのワケは

『あんぱん』脚本 中園ミホさん

ー高知が舞台だったことしの朝ドラ『らんまん』からわずか2年後に、また高知が舞台になるなんてこともあるんですね。

普通はないですよね。僕自身も「いや、らんまんやってるな」と思ったんですよ。同じ高知ということで、正直これは企画をしても通らないと諦めていました。

そんな気持ちを持ちながらも、脚本家の中園ミホさんに「無理かもしれないですけど、僕、これやりたいです」と、自分のバッグからやなせさんの書籍を取り出してお見せしたところ、中園さんから「私、やなせさんと小学生のとき、お手紙のやりとりをしていました」という驚きの発言があったんです。そのとき、自分の中でも中園さんの中でも“稲妻が走った”といいますか、すごい運命を感じて。

やなせさんは小さい頃に父親を亡くされていました。中園さんも小学生の頃に父親を亡くされて、つらい気持ちでいたときに、やなせさんのとある詩集に気持ちが救われて手紙を書いたら、返事が返ってきたそうなんです。「まさか小学生の自分に手紙を返してくれるとは」とおっしゃっていて。そういうエピソードがあるのであれば、われわれは絶対これをやるべきだし、やらないと一生後悔するなと思ったので、なんとかこの企画を押し通しました。

ー『あんぱん』というタイトルはどのようにして決まったんですか?

中園さんや監督陣と、タイトルはどうあるべきかって話していく中で、やっぱり短いほうがいいなって思ったんですね。初めて公開しますけど、最初中園さんから、例えば「“アンパンマンのうた”っていうのはどうですか」と言われて、それってまんまじゃないですかと(笑)。やっぱりもうちょっと短くて人々が親しんで呼びやすい名前にしましょうということで、お互いもう一度話し合って、中園さんと僕の間で『あんぱん』で一致して、そのほかのスタッフも含めて満場一致で『あんぱん』で行きましょうと。結構即決というか、すぐ決まりました。

夫婦役 いったい誰?街の期待は・・・

ー皆さん、気になっているのはヒロイン・朝田のぶ役と、やなせたかしさんのモデル・柳井嵩(やない たかし)役を誰が演じるのかということだと思います。高知の街の皆さんに予想を聞いてみると、今をときめく俳優の方々の名前が挙がりました。

皆さんの予想を聞くというのは面白い企画ですね(笑)。ヒロインはオーディションで決めることにしています。9月に募集を始めて、応募者数は今記録に残っている中だと、(朝ドラ)史上最多応募数の3365名。じつはまだ選考過程中なので決まってはいないんですけど、われわれも日々、いろいろな選考の過程をかみしめながら、一人一人と真剣に向き合いながら決めていく、ちょうどその最中です。われわれも皆さんと同じように、出会いを楽しみにしながら最終的に決めるので、そのときを待っているというか、楽しみにしています。

今は台本を中園さんと一緒に作っている段階で、のぶの夫、柳井嵩役もまだ決まっていません。今回、あくまで主人公はのぶさんで、夫婦の物語として描いていくということなので、年齢のバランスとかいろいろありますので、ヒロインが決まってから最終的に柳井嵩役も決めていけたらなと思います。

ほかにも後半には、やなせたかしさんのライバルというか、年下からすごい才能が出てきて、手塚治虫さんですとか向田邦子さんも出てくる予定ですし、いずみたくさんですとか、歴史的にも著名な人物がいろいろ出てくる予定なので、それも含めてこれから決めていきます。

高知でのエピソード ふんだんに

ーことしの『らんまん』と、最初の舞台を同じくする『あんぱん』。高知編はらんまんよりも長くなりそうですか?

約束はできないですが、気持ちとしては長くしたいです。というのも、今、2人の幼少期から始めようとしていて、2人とも高知新聞社に入社して、そのあと上京するのですが、実際、前半の高知新聞社を辞めるまでに非常にいろんなエピソードがあるんです。そのため全体の半分ぐらいは、前半の高知新聞社を辞めるまでを丁寧に描こうと思っています。そういう意味ではらんまんより長くなるんじゃないかと今の時点では思っています。

撮影に関しても、なるべく多く、高知という素晴らしいロケーションのもと撮影したいと思っていますし、それは出演者も望むことだと思っています。高知県内のいろんなところでお世話になりたいなと。

ーあらためて、『あんぱん』への意気込みをお願いします。

朝ドラって毎朝流れるもので、見ていただく人の中にも、それぞれいろいろな状況の、いろいろな立場の人がいて。そんないろいろな立場の人でも、この朝ドラを見て、生きていてよかったなと感じてもらえたり、生きる喜びというものを存分に感じてもらえるようなドラマにしたいと思っています。それにはドラマチームだけじゃなくて、高知のすべての皆さんとワンチームで一緒に作っていけたらなと思っていますので、ぜひ今後のいろんな情報を楽しみに待っていていただけたらなと思います。


2025年度前期
連続テレビ小説「あんぱん」
【放送予定】2025年春
【作】中園ミホ
【スタッフ】
制作統括:倉崎 憲
プロデューサー:川口俊介 中村周祐

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