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高校進学に悩むすべての方へ/高知 四万十川 小さな分校で過ごす3年間

語りは本仮屋ユイカさん NHKプラスの見逃し配信は12月29日(金)午後7:56まで
  • 2023年12月22日

12月15日(金)に高知県内で放送した「四万十川でおとなになる~小さな分校のカヌー部~」
美しい四万十川の映像と、そこで過ごす中村高校西土佐分校カヌー部の生徒たちの姿に、感動したという声が多く寄せられました。

コンビニもファミレスもない地域で過ごす西土佐分校の生徒たち。全校生徒21人という少人数の学び舎だからこそ、頑張ることができている生徒もたくさんいます。この記事では、担当ディレクターが感じた西土佐分校の魅力をご紹介します。(NHK高知放送局ディレクター 石原智志)

「四万十川でおとなになる~小さな分校のカヌー部~」は12月15日(金)に高知県域で放送。
NHKプラスで全国どこからでも見ていただけます。
(配信は12月29日(金)午後7:56まで)
 

クリックするとNHKプラスの見逃し配信をご覧いただけます
※12月29日(金)午後7:56まで

1.分校カヌー部との出会い

中村高校西土佐分校カヌー部と最初に出会ったのは、ことし4月。NHK高知放送局が平日夕方に放送している「こうちいちばん」で、四万十市西土佐の道の駅から中継コーナーを設けたときのことでした。地域を盛り上げる存在として、カヌー部の生徒11人に活動の様子などを紹介してもらいました。

その現場で思わぬことが起こりました。
本番前に「1年生・2年生・3年生それぞれひとりずつに話してもらおう」となり、急きょ、指名したのが、今回の番組で取り上げた1年生の壬生道翔(みぶ ゆきと)さんでした。
リハーサルがほとんどできないまま臨んだ本番。道翔さんは「中学時代に不登校だった」と話し、そこでことばに詰まります。スタッフ一同が見守る中、すっと息を吸った彼が発したのは、「自分を変えたくてカヌー部に入りました」ということばでした。

この中継をきっかけに、西土佐分校にはいろんな事情を抱えた生徒たちが集まってきていることを知り、四万十川のほとりで彼らがどのように過ごしているのかを取材したいと思うようになりました。時間を見つけては西土佐分校に通い始めました。

2023年4月21日(金)「こうちいちばん」に出演したカヌー部
一番左は“いだッチ”(伊田アナ)“しまッチ”(西土佐のゆるキャラ)
中学の時のことを話してくれた壬生道翔さん

2.廃校危機にある分校と地域の人びと

中村高校西土佐分校の全校生徒は21人。四国の全日制の高校では、生徒数がいちばん少ない高校です。しばらく前から、廃校の話も持ち上がっているそうです。

取材を通して感じたのは、そんな分校を応援する地域の人たちのあたたかさ
番組では、カヌー部の練習を長年見守ってきた方にも話を聞いています。

また、地域に分校を残したい!と強く願っている地元・西土佐の地域の人たちは、ほぼ毎月、「分校存続推進協議会」を開催しています。分校の先生方も参加し、存続のためにできることを話し合っています。 

カヌー部がよく行く食堂
食堂のお母さんは、カヌー部の練習をずっと見守ってくれています
毎月行われている「分校存続推進協議会」

3.“この学校だから頑張れる”

「人見知りで、たくさんの人がいる教室が苦手」
「行かなければいけないと思いつつ、学校に行けてなかった」
西土佐分校には、様々な事情を持った生徒が集まっています。

先生や同級生と近い距離で接し、地域の人に見守られながら成長していく。この学校だからこそ頑張ることができている生徒がたくさんいることを知りました。
近い将来、廃校の可能性もあると言われている西土佐分校ですが、学校の集団生活や人間関係に悩む子どもたちにとって、西土佐分校という選択肢があることは、とても大切なことだと感じました。

西土佐分校では、来年度から、県外の生徒を受け入れる「地域みらい留学」を開始します。興味のある方は、ぜひ学校に問い合わせてみてください。先生方がとても親切に相談に乗ってくれます。

編集後記

私が高知に来た3年前の夏、「四万十川で何か番組をやりたい」と考えていたことを思い出しました。テーマも取材対象も何も決まっていませんでしたが、高知といえば四万十川だし、取材でそこに通うってなんかいいよねと…。

西土佐は思ったよりも暑く(かつて国内観測史上最高気温を記録したことも!)、夏はいつも四万十川に足をつけながら、カヌー部の練習を撮影していました。天気のいい日には、川の水が透き通り、カヌーが宙に浮いているように見える日も。
高知のことを何も知らなかった自分が「四万十川でなんかやりたい」と思ったということは、それだけこの場所に人を惹きつける何かがあるのだと、今改めて感じることができました。

  • 石原智志

    高知放送局 ディレクター

    石原智志

    2017年入局。
    東京、横浜を経て、高知に。
    半年間の取材を通じて、四万十川が思い出の場所になりました。

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