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皆様への感謝を込めて

NHK高知放送局 局長 正延知行より『らんまん』 放送を終えてごあいさつ
  • 2023年10月05日

牧野富太郎博士をモデルに高知も舞台となった連続テレビ小説『らんまん』の放送が終わりました。
この半年間、大変多くの皆様にご覧いただきました。高知県内の世帯視聴率は平均で23.2%、31.1%を記録した放送日もありました。全国の視聴人数は一日平均1500万人以上に上りました。
誠にありがとうございました。
放送中、多数の方々からドラマの感想や励ましの言葉、出演者へのご意見など多種多様な声をかけていただき、このドラマが皆様にとても愛されていることをひしひしと感じておりました。
高知放送局はドラマのクランクインから1年半にわたって全力で走り続けてきただけに、今は無事放送を終えて職員・スタッフ一同、安堵感に浸っています。

思い起こせば、私と『らんまん』との関わりは、高知へ着任した3年前にさかのぼります。
2020年11月19日に東京・渋谷のNHKにドラマ化を要望する浜田知事や牧野植物園の水上園長(当時)らに同行したことが始まりでした。その時はNHK幹部の反応があまり良くなく、少し気落ちしたことを覚えています。牧野博士と言っても県外の人にはあまり知られていなかったことが原因ではないかと思います。
しかし去年2月に『らんまん』の放送が決まりました。なぜ実現したのか。
これは8月にかるぽーとで開かれた「らんまんファン感謝祭」の際に脚本家の長田育恵さんに楽屋で聞いた話ですが、要望があったことは知っていたそうです。また以前に知り合いから「牧野富太郎という面白い人がいるからいずれ書いてみないか」というアドバイスももらっていたそうです。
2023年度前期の朝ドラの脚本を任されることになり、何を書こうか考えている頃、たまたま訪れた梼原町で牧野博士のポスターを見かけ、これだ!とピンと来て、その場からドラマ制作の責任者に電話して「牧野博士にしたい」と伝えたと聞きました。『らんまん』の制作が決まった瞬間です。

高知県版のポスター

去年2月の発表直後、私は『らんまん』の制作統括の松川博敬とともに関係各所に撮影協力へのお願いに回りました。それと同時に東京のドラマ班と高知局の間でいかに地元からドラマを盛り上げていくかの打ち合わせが始まりました。
それ以降高知局の仕事はがらりと変わって『らんまん』が仕事の中心になりました。その際、松川に話したことがあります。それは主演の神木隆之介さんや浜辺美波さんを必ず県庁と牧野植物園、佐川町、越知町へ挨拶に連れて行ってほしいということです。
博士ゆかりの場所に行くことによって地元の新聞やテレビにも取り上げられ、自然と盛り上がりの機運が高まっていくと考えたからです。実際に神木さんたち2人には挨拶に行っていただきました。その時の県庁での鈴なりの人々の出迎えがよほど印象的だったのだと思いますが、その夜に高知局に来た神木さんたちが「こんなに歓迎してもらえるとは思わなかった」と大変喜んでいたことを覚えています。
 

伊尾木洞でのロケの様子

去年10月、ついに高知ロケが始まりました。牧野植物園や横倉山、伊尾木洞、天狗高原などで撮影が行われ、ドラマのオープニングを飾ったこれらの映像は高知の自然の魅力を全国にたっぷり伝えてくれたと思います。大型連休中に牧野植物園や伊尾木洞の周辺で渋滞が起きたことは、ドラマによって県外の人たちから高知が注目されていることを実感した出来事でした。
ちなみにことし8月の時点で牧野植物園にはコロナ禍前の2.1倍の28万人あまり、佐川町の青山文庫には3倍の1万人余り、越知町の横倉山自然の森博物館には1.5倍の1万人近くの人々が訪れています。また高知市内のホテルが連日満員だと聞いて、高知県経済にも貢献できたかなと思います。5月に佐川町でのイベントで来県した神木さんと志尊淳さんは、「高知はかなり盛り上がっているそうですね」とニコニコしながら話していました。

放送期間中は本当に多くの方々から「龍馬と牧野博士は実際に会うたことがあるが?」とか「朝から土佐弁が聞けて嬉しい」とか「田邊教授が憎たらしい」など、実にさまざまな感想を聞かせていただきました。それだけ『らんまん』を熱心に見ていただいた証しだと受け止めています。
放送も最終盤に入ってくると「らんまんロス」という言葉を度々聞くようになり、私自身も寂しい気持ちになりました。そんな時に神木さんと浜辺さんから「高知で最終回を見る会を開いてくれませんか」とうれしい要望が来ました。しかも波多野役の前原滉さんと藤丸役の前原瑞樹さんも連れていきたいという提案でした。『らんまん』を盛り上げてくれた高知の人たちに感謝したいという気持ちから出た提案でした。高知局ではステージに突然4人が現れる演出を考え、あのイベントでは来場者の皆さんにとても喜んでもらえたのではないかと思います。

「最終回を見る会」にはキャスト4人がサプライズで登場

9月をもって『らんまん』の放送は終わりました。しかし草花を見つめる槙野万太郎の満面の笑顔や「愛しちゅう」と言いながら寿恵子を抱きしめるシーンなど数々の名場面は高知の人々の心の中に今後も生き続けていくだろうと確信しています。
私は両親が高知出身で、私自身も小学校時代を県内で過ごしたことから、高知県に何か貢献したいと常々思っていましたので、全国の多数の方々に『らんまん』を見ていただけたこと、高知に注目していただけたことは望外の喜びです。

最後に高知県の皆さんにお願いがあります。高知県は長宗我部元親や坂本龍馬、牧野富太郎といった偉大な人物を過去に輩出してきました。どうかこの先も大河や朝ドラに描けるような素晴らしい人材を育てていただきたい。このことを切に願って筆を置きます。
『らんまん』と高知放送局に温かい応援をいただきありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。これからも高知放送局をよろしくお願いします。

  • 正延 知行

    高知放送局長

    正延 知行

    両親が高知県出身
    私も大豊町で4年間 暮らしました

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