
左右で見え方が違うことに気づく
Aさん(64歳)は、日ごろから目の健康に注意し、習慣的に右目を閉じたり、左目を閉じたりして、左右で見え方に違いがないか確認していました。
そんなAさんが目の異変に気付いたのは約1年前。いつものように左右の目をそれぞれ閉じて部屋の明かりを見たとき、右目で見たライトの色が違って見えたのです。さらに3か月後には、右目だけ白くかすんで見えるようになってしまいました。
「視界に『もや』や『かすみ』のような、そんな感じのものがありました」
不安を感じたAさんは眼科を受診。そこで「白内障」と診断されたのです。


白内障は目のレンズにあたる水晶体が白くにごり、見えにくくなる病気です。
その症状は、「だぶって見える」「白くかすむ」「まぶしく見える」「暗く見える」などさまざま。自然に治ることはありません。
人工のレンズをいれる白内障の手術

白内障を治すためには、にごった水晶体を取り除き、代わりに人工の「眼内(がんない)レンズ」を入れる手術が必要です。Aさんも医師と相談し手術することにしました。右目のにごってしまった水晶体を、超音波で砕き吸引。取り除いた所に人工のレンズを入れます。手術は10分ほどで終わり、翌日には見えるようになりました。
「手術の痛みはなかったです。緊張している間に終わってしまいました」
Aさんが入れた人工のレンズは「単焦点レンズ」と呼ばれるもので、「近く」「中間」「遠く」のどこか1か所にだけピントが合うというものです。Aさんは仕事で手元を見る作業が多いので、「近く」にピントが合う単焦点レンズを選びました。「近く」を見るとき以外はメガネで調整しています。
「右目はすっきり見えるようになりました。読書を楽しめるようになりました」
もう一つのチョイス「多焦点レンズ」

Bさん(67歳)が、白内障に気付いたきっかけは1年半ほど前、夕方の散歩をしている時でした。薄暗くなった時に、看板の文字がぼやけて見えないことに気付いたのです。最初はコンタクトレンズが合わなくなったと思ったBさん。矯正をしてもらうため、眼科で検査してもらったところ、白内障にかかっていることがわかりました。Bさんは医師から手術を勧められ、「多焦点レンズ」を入れることにしました。多焦点レンズとは「近く」「中間」「遠く」の複数にピントが合うレンズのことです。手術後は視力も改善するため、多くの場合、メガネやコンタクトレンズが必要なくなるといいます。ただし、多焦点レンズには見え方に特徴があり、費用が単焦点より高いことがあるので、医療機関とよく相談することが重要です。
「もうコンタクトもメガネもさよならしたいという思いがありましたので、多焦点レンズにしました」
単焦点レンズと同様に手術時間は10分程度。Bさんの手術は片目ずつ行われました。経過をみながら2回にわけて行ったため、1週間入院しました。
「手術した次の日に、あっ!見えていると思いました。快適です」
手術後はメガネもコンタクトレンズも不要になり、今まで以上によく見えるようになったといいます。