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第1192回
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平成25年7月12日(金)公表

日本放送協会第1192回経営委員会議事録
(平成25年6月25日開催分)

第1192回 経 営 委 員 会 議 事 録

<会 議 の 名 称>

第1192回経営委員会

 

<会 議 日 時>

平成25年6月25日(火)午後1時30分から午後4時30分まで

 

<出 席 者>

〔委  員〕

  浜 田 健一郎   石 原   進 井 原 理 代
    上 田 良 一   大 滝 精 一 美 馬 のゆり
    室 伏 きみ子   渡  惠理子
  ◎委員長

 

〔役  員〕

  松 本 会 長 小 野 副会長 塚 田 専務理事
  吉 国 専務理事 石 田 専務理事 木 田 理 事
  久保田 技師長 板 野 理 事 上 滝 理 事
  福 井 理 事 下 川 理 事 森 永 理 事

 

 

<場   所>
放送センター  22階経営委員会室 21階役員会議室

 

<議   題>

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について

○今後の議事運営について

 

付議事項

1 視聴者のみなさまと語る会(大分)実施報告(資料)

 

2 委員長報告

 

3 会長報告(資料)

 

4 日本放送協会平成24年度業務に関する監査委員会の活動結果報告(資料)

 

5 議決事項

 (1) 日本放送協会平成24年度業務報告書について(資料1)(資料2)

 

6 その他

 (1) 日本放送協会平成24年度業務報告書に添える監査委員会の意見について(資料)

 

7 議決事項

 (2) 日本放送協会平成24年度財務諸表について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 

8 その他

 (2) 日本放送協会平成24年度財務諸表に添える監査委員会の意見について(資料)

 

9 議決事項

 (3) 平成25年度予算総則の適用について(資料)

 

10 報告事項

 (1) 平成24年度NHK連結決算について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 

11 議決事項

 (4) 協会国際衛星放送の廃止について(資料)

 (5) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)

 (6) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (7) 国際放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 

12 報告事項

 (2) 平成24年度年金基金の状況

 (3) 「関連団体運営基準」の一部改正について(資料1)(資料2)

 (4) NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併について(資料)

 (5) 予算の執行状況(平成25年5月末)(資料)

 (6) 契約・収納活動の状況(平成25年5月末)(資料)

 (7) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 

 

 

議事経過

 

 浜田委員が委員長職務を行う者として議事を進行。開会を宣言し、経営委員会を開催。続いて、6月20日付で経営委員に就任された、上田良一委員、美馬のゆり委員を紹介。

 

○「視聴者のみなさまと語る会」の開催について
 「視聴者のみなさまと語る会」を平成25年9月7日に津放送局で開催することを決定した。

○今後の議事運営について
 7月23日に経営委員長を互選にて決定するまでの間、浜田委員が委員長職務を行う者として、進行することを改めて確認した。

 

<会長、副会長、専務理事、技師長、理事入室>

 

 本日の付議事項および日程について説明。第1191回(平成25年6月11日開催)の議事録を承認し、所要の手続きを経て、平成25年6月28日に公表することを決定した。

 

 

1 視聴者のみなさまと語る会(大分)実施報告(資料)

 (鈴木経営委員会事務局長)
 平成25年度、最初の実施となる大分局での「語る会」は、5月18日(土)、大分放送局2階のキャンバスホールで開催しました。時間は午後2時から4時までの2時間です。登壇者は、経営委員が、石原委員、北原委員、竹中委員の3名。執行部が吉国専務理事、上滝理事、大分放送局の早見局長の3名の合計6名で、司会は、野村正育アナウンサーでした。事前に90名からの申し込みがあり、全員に参加案内をお送りしました。当日の参加者数は59名となりました。終了後のアンケートでは、参加者56名から回答をいただきました。満足度については、「大変満足」が11名(19.6%)、「満足」と回答いただいた方が26名(46.4%)あり、「普通」という回答が8名(14.3%)、「不満」4名(7.1%)、「大変不満」が1名(1.8%)、未記入が6名(10.7%)という回答でした。また、回答者の半数を超える29名の方が「経営委員会の仕事を知らなかった」としていましたが、「語る会」の終了後には、「よく知っていた」「知っていた」と答えていた方も合わせて67.9%にあたる38名が「経営委員会の活動について理解が深まった」と回答しています。「語る会」終了後には、「平成26年NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』制作の舞台裏」と題して、制作局の中村高志チーフ・プロデューサーによるトークショーを開催しました。概要や反響等については、報告書の1〜2ページに記載しています。
 冒頭、協会の基本方針や重要事項の説明として、石原委員から経営委員会の役割、平成24年〜26年度NHK経営計画、25年度の収支予算、事業計画について説明しました。その内容は2〜5ページに記載しています。意見聴取は「経営全般」と「放送」の2つのテーマで実施し、「受信料」「経営委員の構成」「NHKの“民放化”に対する批判」「ローカル放送の充実」「報道姿勢」など、多岐にわたる意見や提言がありました。これらは5ページ以降に掲載しています。終了後の参加者当日アンケートの結果とアンケートに記された具体的内容は25ページ以降に記載しています。

 

 

2 委員長報告

 (浜田委員長)
 6月20日付で新たに上田委員、美馬委員、宮田委員が経営委員に任命されました。同じく室伏委員と私が経営委員に再任されました。きょうご出席の新任の上田委員、美馬委員から簡単にごあいさつをいただきます。
 (上田委員)
 今、ご紹介にあずかりました上田です。よろしくお願いいたします。6月20日より常勤の経営委員としてNHKにお世話になっています。これまでは三菱商事に勤務していました。三菱商事では約40年間、主に営業というより、コーポレートと呼んでいる職能関係の部局を経験し、特に直近の4年間はCFOとして社長を補佐してきました。海外経験としては、1976〜1978(昭和51〜53)年までフランスのビジネススクールに研修生として留学し、その後、1979〜1988(昭和54〜63)年までニューヨークで勤務、直近では2006〜2009(平成18〜21)年まで米州統括としてニューヨークに赴任していました。放送業界の仕事は私にとって初めての分野ですが、今まで民間企業で経営の一端を担った経験がいい形で生かされ、お役に立てればと思っています。どうぞよろしくお願いします。
 (美馬委員)
 函館から参りました美馬です。よろしくお願いいたします。私の専門は情報技術、教育、心理学です。今在籍している公立はこだて未来大学は、情報系の単科大学で、その設立と運営に携わってきました。また、お台場にある日本科学未来館の設立にも携わり、平成15年から3年間副館長として勤務していました。これらの経験を生かして、経営委員として任務を努めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

3 会長報告(資料)

 (松本会長)
 6月14日付けで、平成25年組織改正と管理職異動を発令しましたので、その概要についてご報告します。 25年度は経営計画2年目として、さらなる飛躍を遂げるという意味で、本部17部局、地域拠点局4局で部局長を交代し、新しい体制のもとスタートを切ることとしました。放送総局においては、編成局長は留任とし、制作局長、報道局長、国際放送局長、放送総局の首都圏放送センター長は、これまで現場を支えてきた者を部局長に起用することで事業の継続性を持たせました。また、女性の起用にも留意し、新たに女性2名を地域放送局長に起用しました。また、新しい組織の総務局総務・地域部長と人事局ワーク・ライフ・バランス推進事務局長のポスト長に女性を抜擢しました。それから、スーパーハイビジョンやハイブリッドキャストなど、放送と通信の連携や融合に向けた新しいサービス開発体制を整備することを目的として、メディア企画室の体制の充実を図りました。また、2016(平成28)年に予定しているスーパーハイビジョンの実用化試験放送の開始を目指し、技術局には技術開発などを推進する業務実施グループを新設しました。さらに、報道局のスポーツセンターには、オリンピックやワールドカップに対応するコンテンツ開発推進体制を整備しました。新しい総務局については、NHKのリスク管理体制の一元化といっそうの強化を図るため、これまでの総合リスク管理室と総務局の一部の機能を統合しました。協会全体のソフトおよびハード面、そして本部と地域放送局を合わせた総合的な観点から、NHKの横断的なリスクマネジメント、コンプライアンスの確立、そして局舎管理や災害時のロジスティクスなどの「核」となる管理部局としました。新しい総務局長には、それらの経験がある者を配置しました。総務局は、「地域との窓口」としての機能も担うことになり、特に本部と地域放送局の情報ルートの整備を行います。総務・地域部長には、放送局長を経験した女性管理職を充てました。また、組織改正で独立した人事局については、人事部門と労務部門を完全に一体化しました。給与や評価制度などの改正を踏まえ、その目的に沿った運用を着実に進めます。そして、将来に向けて安定的循環型の人事・給与制度の定着を目指すとともに、新しい時代への転換を図りたいと思います。また、人事局には、職員の働き方の見直しとモチベーションの向上、および女性の活躍の場をさらに広げるため、ワーク・ライフ・バランス推進事務局を新たに設置しました。事務局長には、女性の放送局長経験者を充てました。地域放送局の事情や女性の視点を反映させながら、ワーク・ライフ・バランスの施策を推進していきたいと思います。東日本大震災から2年以上がたちましたが、地域放送局の体制については、今後とも復興に役立つニュース・番組やイベントをはじめ、被災地の方々を元気づけ、復興を支援していくため、特に被災3県には、専門能力が高く経験豊富な管理職を継続して配置しました。また、首都直下地震への万全な対応を図るため、本部と関東甲信越の各局の体制を強化しました。さらに、南海トラフ地震の被害想定の見直しを踏まえ、被害が予想される地域の取材体制の強化も図ります。
 最後に、経営計画の重点事項の1つであり、経営委員会からもご意見をいただいた「国際発信力の強化」を実現するため、国際放送局長に、これまで中国総局長、報道局国際部長、国際放送局ニュース制作部長を経験した者を充てるなど、国際放送のいっそうの充実を図っています。あわせて経営委員会の意見表明書にもありました、JIB(日本国際放送)については、今後の展開を目指し、例えば、JIBの設立に関わり、その後国際企画部長として「NHKワールドTV」の業務や、著作権・契約業務に精通した経験者を送っています。また、海外番組の購入や国際共同制作を統括し、国際展開面での活躍が期待できる者を送るなど、体制を整備しました。
 以上のような新しい体制で、視聴者・国民からの期待と信頼をしっかり受け止め、現在進めている経営計画の4本柱のもとに公共放送の使命を果たしていくよう、役職員が一丸となって全力で職務にあたっていきたいと思います。

 

 

4 日本放送協会平成24年度業務に関する監査委員会の活動結果報告(資料)

 (井原委員)
 今回の報告は、新しい事柄ではなく、協会の24年度業務に関する監査委員会の活動結果についてまとめ、報告するものです。大きく2つにまとめています。
 1点目は、協会の24年度業務に関する監査委員会の、いわば総まとめといえる「平成24年度業務報告書に添える監査委員会の意見書」ならびに「平成24年度財務諸表に添える監査委員会の意見書」を作成したことです。その内容については、後ほどご説明します。
 2点目は、その意見書に至る監査委員会の活動結果です。活動の内容は、資料の2の項目で、これまで報告したものですが、意見書作成のための活動は、25年度にも入っています。参考までに、資料の2ページ以下、「平成24年度中の監査委員会の開催状況」を付しています。

 

 

5 議決事項

 (1) 日本放送協会平成24年度業務報告書について(資料1)(資料2)

 (塚田専務理事)
 平成24年度業務報告書の案を取りまとめましたので、その内容についてご説明します。前回の経営委員会でご説明したとおり、業務報告書は、放送法に基づいて作成するもので、法で定められているNHKの業務全般について、24年度の実施結果を、NHK自身の主観的な評価を加えることなく正確に書きとどめるべきものとして、省令で定められている記載事項に沿った章立てで記述しています。
 「日本放送協会平成24年度業務報告書(案)」の目次をご覧ください。全体で11の章と資料で構成されています。このうち第1章は全体の要約になっていますので、主な内容をこの章に沿ってご説明します。
 1ページの冒頭は、事業活動全体についての総論部分です。NHKの基本的な法的位置づけや、3か年経営計画を踏まえて事業を実施したことを記述しています。24年度の特記事項として、10月に実施した受信料の改定(値下げ)について触れています。次の(1)からは、第2章以下の各論のサマリーです。(1)「国内放送」では、第2章「放送番組の概況」のうち、各波の編集方針や番組改定の概要などについてまとめています。サマリーでの記述はこの程度にとどめていますが、7ページからの本編では、放送時間数や個別の番組名、重要ニュース項目などを挙げて、国内放送の実施状況について詳しく記述し、あわせて番組審議会、番組制作委託や番組の受賞、インターネット提供、認可を得て実施した業務などについても詳しく記述しています。
 2ページの(2)「国際放送」は、同じく第2章のうち国際放送に関する事項をまとめています。テレビ、ラジオ、インターネットによるサービスのほか、外国人向け国際放送を国内のケーブルテレビ事業者に提供する業務について記述しています。18ページからの本編では、このほか、中継国際放送の終了や周知・反響なども記載しています。
 続いて、3ページの(3)は、番組の海外提供や国際共同制作などに関する項目です。(4)は調査研究についての概要です。「放送番組に関する世論調査及び研究」については第3章、「放送技術の研究」については第7章で、それぞれ具体的な内容を記述しています。第3章では、各種世論調査やデジタル時代のメディア利用に関する研究など、第7章では、先日のNHK放送技術研究所の公開でもご覧いただいたスーパーハイビジョンやハイブリッドキャストの研究などについて記載しています。(5)は営業および受信関係業務に関する項目です。営業関係では、法人委託を推進したことや、支払い督促、未契約訴訟、受信契約件数などについて記述しています。受信関係業務として、技術相談やスカイツリーへの移転に向けた対策等などについても触れています。30ページからの本編第4章では、このほか都道府県別の推計世帯支払率の公表や、デジタル化支援施策についても記述しています。
 4ページの(6)は、視聴者関係業務の概況です。本編は第5章34ページになります。広報活動や情報公開、視聴者対応業務、イベントの実施などについて記述しています。(7)は放送設備の建設や運用について記述している第6章の要約です。中継局の開設や設備の更新、会館の建設について記述しています。災害に備えた機能強化についても触れています。
 5ページの(8)は、業務組織の概要及び職員の状況を記述している第8章の要約です。経営委員会、監査委員会、理事会、内部統制の推進や要員効率化、環境経営などについて記述しています。経営委員会、監査委員会については、本編の45ページ以降に、委員の構成や活動状況全般を記述しています。外国人向けテレビ国際放送についての諮問機関の設置についても記載しています。
 続いて、(9)「財政の状況」です。一般勘定の事業収支差金、財政安定のための繰越金などを記述しています。本編では52ページから、第9章として24年度の決算について記載しています。巻末の資料を含め、24年度から消費税の会計処理が税抜き方式になったことに沿って数字を整理しています。(10)「子会社等の概要」は、子会社等からの配当や副次収入、子会社等の管理について記述しています。本編では第10章56ページになります。このほか、その他参考となるべき事項として第11章があります。本編では57ページ以降になりますが、個人情報保護や放送文化賞などについてまとめています。
 6ページは、協会が対処すべき課題として経営計画における4つの重点事項を記載しています。
以上が本文の概要です。本文のあとには、関連する資料を添付しています。59〜60ページは資料編の目次です。資料は最終的に49点になりました。これらの資料も含めて、放送法施行規則に定められている記載すべき事項は、漏れなく記しています。
 以上、業務報告書案についてご説明しました。議決いただけましたら、財務諸表と併せて、速やかに総務大臣に提出いたします。

 

 

6 その他

 (1) 日本放送協会平成24年度業務報告書に添える監査委員会の意見について(資料)

 (井原委員)
 ただいまご説明いただきました日本放送協会平成24年度業務報告書に添える「監査委員会の意見書」について、ご説明します。本意見書は放送法第72条第1項に基づくもので、お手元の資料をご覧ください。その構成は、「序文」に続き、「監査方法およびその内容」、それに基づく「監査の結果」、加えて「付記事項」からなります。最初に、このような構成の意見書について一言申し添えますと、基本的には監査基準で定める監査意見を示す監査報告書によっていますが、説明責任を果たせるよう長文の様式を取っています。また、監査内容のまとめ方としては、放送法で「監査委員会は役員の職務の執行を監査する」と定められていることから、その執行を経営計画に基づき監査した内容を記載しています。平成20年4月の改正放送法の施行により、監査委員会が制度導入され、この意見書が作成されるようになって以来、そのあり方、様式については種々協議・検討し、この形になっていますが、今後さらに検討を重ね、監査委員会の職責を果たしていきたいと思っています。
 次に、以下、今回の意見書の構成に従い、ポイントのみご説明します。「1 監査方法及びその内容」は、監査方法を2〜3ページに、その方法により得た監査内容を4〜28ページにまとめています。監査方法については、内部統制の評価の上に実施している諸手続きについて説明しています。そして、監査内容については、監査委員会の重点監査3項目および協会が「改革と活力委員会」で議論している「『全体最適に向けて』の議論」に関する4〜9ページに記述のものと、役員の職務執行の状況に関する10〜28ページに記述のものと、大きく2つに分けて取りまとめています。その詳細については、意見書をご覧いただきたいと思いますが、重点監査項目等については、それぞれの取り組み状況と、特にこれに関する会長、副会長、理事の所見をまとめています。また、会長、副会長、理事の職務執行の状況については、経営計画の構成に従い、まず経営計画で導入した協会独自の「新たな評価・管理方法」について、続いて、経営計画における「『3か年の基本方針』に基づく4つの重点目標」および各目標の小項目について、さらに経営計画に掲げた「視聴者のみなさまへの還元について」を記述しています。
 以上のような監査方法および内容に基づく結果として、監査委員会としての監査意見は29ページに示したとおりです。すなわち監査委員会は、以上のような監査方法およびその内容に基づき監査した結果、役員の職務執行は、放送法等の制度に従っている経営計画にのっとっており、放送法に照らし適正であると認める。加えて、次の3点、すなわち事業の実施報告を記した業務報告書について、また、役員の職務執行に関する不正行為または法令もしくは定款違反について、さらに内部統制に関する経営委員会の議決内容およびそれに基づく整備体制、執行について、いずれにも基本的に問題はない。以上が監査意見です。
 30〜31ページに付記事項を記載しています。この付記事項は監査結果に影響するものではありませんが、健全な事業運営の徹底のために付記するもので、3点あります。
 1点目は、「グループ経営のより戦略的な構築について」です。監査委員会は、グループ経営は公共放送としての機能を果たすために不可欠な基盤であることを、協会とそれぞれ設立経緯や役割の異なる子会社等双方が共通認識として持つことが重要であるとの認識のもと、新たなビジネスモデルの開発や、これまでの経緯や役割を超えた子会社等全体の在り方の検討など、より戦略的なグループ経営の構築に取り組むことが求められると考え注視していきたい。これが1点目です。
 2点目は、「新たなメディア環境へのさらなる取り組みについて」です。監査委員会は、視聴者に次世代放送の利便性の高いサービスと高度化したサービスを提供するために、現在進んでいるハイブリッドキャストやスーパーハイビジョンの取り組みとともに、今後放送と通信のさらなる連携のための制度のあり方などについて、「『放送と通信の融合』に関する経営委員会の意見」も生かしながら検討していくことが求められると認識するものです。
 3点目は、「新たな職員制度の有効な運用について」です。協会は、公共放送を将来に向かって安定的に持続・発展させていくため、給与制度の見直しと管理職登用資格試験の新設など、努力や成果をいっそう反映させる職員制度の導入を決定しました。監査委員会は、この制度の有効な運用には、職員のモチベーションを低下させないための「公平性」や「納得性」などを有する評価の仕組みが不可欠であり、多様性が求められる公共放送において、どのような要素を重視し評価すべきなのかなど、多面的な検討による仕組みづくりが求められるとの認識で付記しました。以上です。
 採決の結果、議決事項(1)については原案どおり議決。

 

 

7 議決事項

 (2) 日本放送協会平成24年度財務諸表について
(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)(資料6)

 (福井理事)
 平成24年度の財務諸表についてご説明します。本日ご審議いただく財務諸表と説明資料については、5点配付しています。1点目は、「平成24年度財務諸表」です。これは、放送法および放送法施行規則の定めに従って作成した正式な決算書です。2点目は、「独立監査人の監査報告書」です。この資料の1ページをご覧ください。一番下に監査意見が記されていますが、監査法人からは、監査の結果、「すべての重要な点において適正に表示しているものと認める」との意見が表明されています。3点目は、「平成24年度決算の要約」で、これは決算のポイントをまとめたものです。4点目は、「平成24年度決算概要」です。これは、収支決算、財務の状況のほか、受信料や国内放送費など、主要な事項の決算状況を取りまとめた資料です。5点目は、「平成24年度決算説明資料」です。これは、決算の内訳に加えて、事業運営計画の実施状況等を詳細に記載した資料です。
 それでは、「平成24年度財務諸表」について、ポイントを絞ってご説明します。この財務諸表については、本日、経営委員会で議決していただいたうえで、放送法第74条の規定に基づき、監査委員会および会計監査人の意見書を添えて、総務大臣に提出します。その後、内閣を経由し、さらに会計検査院の検査を経て国会に提出されます。
 まず、「目次」をご覧ください。協会は、放送法および放送法施行規則に基づき財務諸表として、「財産目録」「貸借対照表」「損益計算書」「資本等変動計算書」「キャッシュ・フロー計算書」および「これらに関する説明書」の6つの書類を作成しています。
 財務諸表の主なポイントをご説明します。30、31ページをご覧ください。財務諸表の作成に関する重要な会計方針を記載しています。31ページの「2.4」に、7つの引当金の計上基準を掲載しています。24年度は、東京スカイツリーへの送信所移転に伴う受信障害対策の支払いに備えるために、送信所移転対策費用引当金を設定しました。また、NHK固有のものとして、国際催事放送権料引当金があります。これは、国際的なスポーツ大会に関する放送権料の支払いに備えるための合理的な見積額を計上しているものです。また、31ページの「2.5」にあるとおり、消費税等の会計処理を23年度までは税込み方式としていましたが、放送法施行規則の改正に合わせて24年度からは税抜き方式に変更しています。
 48ページをご覧ください。退職給付に関して、企業会計基準に定める基準に従い、情報を開示しています。退職給付債務や退職給付費用に関する事項に加えて、割引率など退職給付債務等を計算する上で基礎となる事項を記載しています。24年度は、将来に向けた年金財政の安定化を図るため、退職給付会計の基礎率を見直しました。具体的には、期待運用収益率を、従来の3.8%から協会の制度利回りに合わせた3.0%に引き下げました。また、割引率を従来の2.3%から1.5%に引き下げました。これは、国債の利回りが急激に低下し、24年度末の30年国債の利回りが1.555%となったことを受けて見直したものです。この見直し等により、退職給付引当金は24年度末で633億円となり、前年度末に比べまして80億円増加しています。なお、(注2)「退職給付債務に関する事項」にあるとおり、24年度末の退職給付債務6,091億円に対して、年金資産は2,817億円、退職給付引当金は633億円となり、差し引きで積立不足額は2,640億円になります。この積立不足は計画的に償却を進めており、10年後にはほぼ解消できる見通しです。
 72ページをご覧ください。(3)にNHKが保有する有価証券の状況を記載しています。有価証券は、原則、信用度の高い債券を満期保有することとしています。
 73ページをご覧ください。満期保有目的の債券の、24年度末の貸借対照表の計上額は2,532億円ですが、時価で評価すると2,615億円となり、83億円の含み益となっています。以上が財務諸表のポイントです。
 次に、冊子「平成24年度決算概要」をご覧ください。決算のポイントについては、この資料でご説明します。
 2ページをご覧ください。24年度の業務の実施状況として、3か年経営計画の4つの重点目標「公共」「信頼」「創造・未来」「改革・活力」への取り組み状況についてまとめています。
 3〜4ページは、一般勘定の収支決算の状況について、科目別に前年度決算との比較で示しています。まず、24年度の事業収入は6,603億円となり、受信料の値下げや特別収入の減などによって、63億円の減収になりました。一方、事業支出は6,408億円になり、35億円を抑制しました。国内放送費や国際放送費で充実・強化を図った一方で、契約収納費や受信対策費の削減をはじめ、業務全般にわたって効率的な運営を徹底しました。その結果、事業収支差金は、前年度比28億円減の195億円となり、収入の増加と支出の抑制に努めましたが、減収減益の決算になっています。
 続いて、5〜6ページをご覧ください。予算との比較について、5月28日の経営委員会で議決いただいた予算の流用など、予算総則の適用を反映した収支決算表を示しています。
 5ページの事業収支では、事業収入は6,603億円となり、予算に対して111億円の増収になりました。このうち、受信料は6,387億円となり、業績確保の前倒し等により予算に対して118億円の増収になりました。一方、事業支出は6,408億円となり、業務全般にわたって効率的な運営を徹底したことや、予備費の30億円を使用しなかったことなどにより、予算に対して84億円抑制しました。24年度の予算は収支均衡としていましたが、収支改善により、事業収支差金は195億円の黒字になりました。なお、この195億円については、このあと引き続き25年度の予算総則の適用をご審議、議決いただければ、老朽化の進む放送センターの建て替え等に備え、建設積立金に繰り入れることとします。
 6ページの下段に、建設積立金と財政安定のための繰越金を示しています。24年度末の建設積立金の残高は583億円、財政安定のための繰越金の残高は1,080億円になります。この繰越金1,080億円のうち、195億円については建設積立金に繰り入れたいと考えています。これによって6月末時点で建設積立金の残高は779億円となり、財政安定のための繰越金は885億円になります。
 7ページの上段は、衛星放送に係る収入と経費です。主に衛星付加受信料による収入は1,559億円、番組制作などの衛星放送の実施に要する経費は1,502億円となり、収入と経費の差額は57億円になりました。ページ中段には、国内放送番組の制作と送出や、受信契約および受信料の収納などの業務ごとに物件費、人件費、減価償却費を合わせた総経費を区分した業務別決算を記載しています。また、決算では初めてになりますが、25年度予算と同様にチャンネル別経費を試算しています。チャンネル別経費は、業務別決算のうち、国内放送番組、国際放送番組の制作と送出に係る経費をチャンネルごとに区分したものです。
 8ページは、受信料の状況をまとめています。下の棒グラフの矢印で示しているとおり、24年度は10月からの値下げによって218億円の減収影響がありましたが、全組織を挙げた業績確保の前倒し等の活動努力により205億円の増収を図り、全体としては13億円の減収にとどめ、6,387億円を確保しました。受信契約件数の増加については、支払数の目標65万件を上回る69.6万件、衛星契約は目標72万件を上回る83.5万件を確保するなど、全営業目標を達成しています。支払率も目標73%を達成しています。
 9〜10ページは、テレビ4波のジャンル別の番組の制作費です。「報道・解説」から「大型企画」まで10のジャンルごとに、物件費、人件費、減価償却費を合わせた番組制作に係る総経費を示しています。
 11ページは、国内放送費の決算状況をまとめています。公共放送の機能強化や衆議院選挙放送の実施などで、前年度に対して71億円の増になっています。その下には、公共放送の機能強化をはじめ、主な事項の決算状況を示しています。
 12ページは、営業経費の状況についてまとめています。営業経費は、地域スタッフ体制の見直しや法人委託の拡大など営業改革を進めることで、物件費、人件費、減価償却費を合わせた営業経費はトータルで729億円になり、前年度に対して28億円を削減しました。営業経費率についても、前年度比で0.3ポイント低下しており、過去最低の11.4%となりました。
 13ページの上段には、受信対策費の状況を示しています。全体では107億円の決算のうち、民放と共同で実施する東京スカイツリーへの送信所移転対策費は、総額で31億円になりました。その下は、給与、退職手当・厚生費の状況です。給与は、80人の要員削減等により前年度比で10億円の減となりましたが、退職手当・厚生費は退職給付会計に係る基礎率の見直しなどにより、47億円の増になりました。
 14ページは、建設費の状況です。建設費は総額で674億円になり、23年度に千葉、甲府放送会館の建設を終えたことなどにより、前年度比で29億円の減になりました。
 15ページは、番組アーカイブ業務勘定の決算状況です。事業収入は、NHKオンデマンドの利用者の拡大等により、前年度比で3億円増の13億円になりました。しかしながら、収入の範囲内で支出を賄うことができず、事業収支差金は11億円の赤字になっています。予算との比較では、事業収入は予算に対して10億円の減収になっています。今後も引き続き、収入の増加と効率的な業務実施に努め、収支の改善を図りたいと考えています。
 16ページは、受託業務等勘定の決算状況です。NHKホールや地域放送会館のスペースの貸し出しなどによる収入は13億円になりました。これらの業務に係る支出11億円を差し引いた事業収支差金2億円を、一般勘定の副次収入に繰り入れました。
 17〜18ページは、貸借対照表と損益計算書のポイントです。資産は24年度末で9,228億円になり、剰余金の増で預金や有価証券が増えたこと等により、前年末比で324億円の増になりました。自己資本比率は65.1%となり、23年度末と同様に高い水準を維持しており、健全な財務状態になっています。
 18ページの損益計算書は、これまでご説明した事業収支を、放送法施行規則の定めに従い、経常事業収支、経常事業外収支、特別収支に区分したものです。補足すると、損益計算書では、24年度の受信料は6,478億円になっています。注記のとおり、放送法施行規則に従い、損益計算書では受信料の債権額6,478億円を経常事業収入に記載し、それに対する未収受信料欠損償却費90億円を経常事業支出に記載しています。4〜5ページの事業収支決算表における受信料は、この2つを合算した6,387億円を記載したものです。
 19ページ下は、キャッシュ・フロー計算書です。現金および現金同等物の24年度期末残高は1,264億円になり、健全なキャッシュ・フローを維持しています。
 最後の20ページは、総資産と自己資本比率の推移、外部資金残高の推移です。外部資金は、23年度に放送債券を償還した以降、ゼロとなっています。説明は以上です。

 

 

8 その他

 (2) 日本放送協会平成24年度財務諸表に添える監査委員会の意見について(資料)

 (井原委員)
 ただいまご説明いただきました日本放送協会平成24年度財務諸表に添える「監査委員会の意見」についてご説明します。本意見書は、放送法第74条第1項に基づくもので、資料のとおりです。意見書の構成は、先ほどの業務報告書に添える意見書と同様に、基本的には、監査方法と内容、およびその結果としての監査意見です。監査委員会の意見は、放送法で会計監査人の監査が併せて法定されていることから、いわゆる相当性監査になっています。その結果は2ページのとおり、会計監査人の監査意見は相当と認める。以上です。
 (浜田委員長)
 それでは、議決に際してこれまでの経営委員会での意見も踏まえ、私から何点か申し上げます。24年度は、現3か年経営計画の初年度でしたが、経営計画の中で盛り込んだ7%の受信料値下げに対し、執行部として真摯に受け止めて、危機感を持って取り組んでいただいたことで、経営全体が引き締まり、今回の決算内容につながったのだと評価しています。「プロジェクト810」をはじめとする全協会的な取り組みによって、計画を上回る受信料収入の確保ができたと認識しています。また、都道府県別の営業関係データについても、公表に踏み切っていただいたことでこれまで支払率の低かった地域での改善が進み、視聴者・国民の不公平感の低減に効果があったと思います。24年度は、このように経営計画を上回る結果になりましたが、25年度は受信料値下げの影響が通年化することを踏まえ、いっそうの経営努力が必要なことはご承知のとおりです。 また、決算概要の中で、業務別経費やジャンル別番組制作費に加え、今回はチャンネル別経費を示していただきました。経営委員会としては、このような新たな経営指標の公表を評価するとともに、今後はこれらの指標を効率的な業務運営にぜひ活用していただきたいと思います。また、中長期的な視点では、今後世帯数が減少していくであろうことを考えると、将来的に公共放送がどうあるべきか、受信料制度のあり方も含めた議論や検討が必要になってくると思います。今後も、視聴者の皆さまからの信頼を得て、正確で迅速な報道、公平・公正な番組や魅力的な新サービスの提供に務めていただくとともに、いっそう効率的な業務運営、および受信料支払率の向上に向けて、精力的な取り組みをお願いしたいと思います。
 以上を踏まえ、本件を議決とします。

 

 

9 議決事項

 (3) 平成25年度予算総則の適用について(資料)

 (福井理事)
 平成25年度の予算総則の適用についてご説明します。
 予算総則とは、国会で承認を受けた予算書の中で、予算の流用、建設費予算の繰越し等の予算の運用、繰越金の扱いなどを規定したものです。
 資料(別紙)をご覧ください。本日は、予算総則第10条を適用し、先ほど議決いただいた24年度決算における一般勘定の事業収支改善額195億6,348万円を、老朽化が進む渋谷の放送センターの建て替え等に備え、建設積立資産に繰り入れることについて、ご審議のうえ、議決をお願いします。
 予算総則第10条とは、前年度の決算で収支が改善し、繰越金が増加した時は、その増加額を経営委員会の議決を経て建設積立資産に繰り入れることができることを規定した条文です。
 24年度は、収入と支出が均衡し、事業収支差金をゼロとする予算としていましたが、全組織を挙げて収入の増加と支出の抑制に取り組んだ結果、195億円の事業収支差金を確保し、財政安定のための繰越金が増加しました。このため、予算総則第10条を適用して、この195億円を建設積立資産に繰り入れたいと思います。建設積立資産と財政安定のための繰越金の状況は、24年度末で建設積立資産は583億円、財政安定のための繰越金は1,080億円になりましたが、予算総則を適用することで、6月末時点の建設積立資産は779億円、財政安定のための繰越金は885億円になります。説明は以上です。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

10 報告事項

 (1) 平成24年度NHK連結決算について(資料1)(資料2)(資料3)(資料4)(資料5)

 (福井理事)
 平成24年度の連結決算についてご報告します。
 NHKの連結決算は、経営の透明性の向上、視聴者に対するいっそうの説明責任を果たすことを目的に、NHKの独自の取り組みとして、連結決算規程に従い作成しているものです。資料「平成24年度連結財務諸表」は、正式な連結決算の決算書です。
 また、監査法人より受領した「独立監査人の監査報告書」を添付しています。この監査報告書の下段に「監査意見」の記載がありますが、最後の行に「すべての重要な点において適正に表示をしているものと認める」という適正意見をいただいています。
 それでは、平成24年度の連結決算について、「平成24年度 連結決算概要」に沿ってご説明します。
 1ページをご覧ください。「連結決算の概況」についてご説明します。連結の範囲は子会社13社および持分法適用会社2社で、23年度と同様に15社を連結対象会社としています。まず、経常事業収入と収支差金の状況です。経常事業収入は7,357億円となり、前年度比135億円の大幅な減収になりましたが、子会社等の経費削減や経営努力により、当期事業収支差金は224億円となり、前年度並みの黒字を確保しました。なお、NHK単体としては、前年度比12億円の減収、25億円の減益になりました。次に、総資産と自己資本の状況です。総資産は1兆465億円となり、前年度比で334億円増加しました。自己資本比率は63.9%となり、前年度比で0.2ポイント増加し、引き続き健全な状態を維持しています。
 次に、2ページをご覧ください。「連結損益の状況」についてご説明します。上の表は、経常事業収入を「受信料」「交付金・NOD収入等」「子会社の収入」の3つに分類し、前年度比較したものです。連結決算の経常事業収入7,357億円のうち、子会社の収入は798億円となり、125億円の減収になりました。主な要因は、地上デジタル関連等の受信対策関連業務の売上が80億円減少したことや、地デジコールセンター業務の売上が44億円減少したことによるものです。当期事業収支差金は224億円となり、前年度に対し0.9億円の増益になりました。NHK単体の当期事業収支差金は184億円で、連結との差し引きでは40億円となり、前年度比で26億円の増益になりました。その主な要因は、テキスト等の発行部数の適正化等により12億円の増益になったNHK出版や、持分法適用会社の放送衛星システムの6億円の増益などが挙げられます。
 続いて、3ページをご覧ください。「連結の資産と自己資本比率の状況」です。資産合計は1兆465億円となり、24年度末も1兆円規模を維持しました。また、自己資本比率は63.9%となり、23年度末に比べ0.2ポイント増加しました。過去5年間の「資産合計の推移」と「自己資本比率の推移」を示しています。資産合計は着実に増加しており、自己資本比率は60%台を維持しています。
 なお、26年4月にNHKと子会社等のシステム統合がスタートしますので、それを踏まえて、事業別のセグメント情報を切り分けて整理することにより、それぞれの事業の規模観を見たり、売り上げや利益の比較分析を精緻に行うことができるように検討していきたいと考えています。
 4ページには、「比較連結損益計算書」「比較連結貸借対照表」を、5ページには「比較連結キャッシュ・フロー計算書」を記載しています。
 5ページ下の表は、NHKおよび連結子会社13社で保有している設備状況をまとめています。NHKおよび連結子会社の保有設備は、全体で4,248億円になり、このうちNHKは96.5%を保有しています。
 最後のページは、連結子会社等の主要な事業内容と、NHKグループとしての議決権所有割合を記載しています。以上で、平成24年度連結決算についてのご報告を終わります。

 (井原委員)

 連結決算に関して改めてお願いしたいことがあります。NHKグループは圧倒的に本体が大きいので、連結財務諸表の有効利用のためには、いわば統合情報としての連結財務諸表だけではなく、事業区分別のセグメント情報の作成を進めていただきたいということです。その理由は2つあります。1つは、子会社等のあり方、あるいはフォーメーションの問題などを考える必要がある中で、事業区分や分野別の把握・分析は極めて重要かつ有効だと思うからです。2つ目は、セグメント情報の作成のための基盤が事務系システム統合によって整えられつつあると認識しており、セグメント別情報の作成が可能になると考えるからです。ぜひよろしくお願いします。

 (福井理事)

 26年4月からシステム統合がスタートする予定ですので、できるだけ早い時期にセグメント化できるよう前向きに検討していきます。

 (井原委員)

 よろしくお願いします。

 

 

11 議決事項

 (4) 協会国際衛星放送の廃止について(資料)

 (森永理事)
 協会国際衛星放送の廃止についてご説明します。これは、外国人向けテレビ国際放送、「NHKワールドTV」の受信環境整備に関する案件です。「NHKワールドTV」は現在、世界中およそ2億5,000万世帯で視聴いただけます。25年度はさらに、アメリカ、イギリスなどの放送事業者を通じて拡張する予定で、視聴可能な世帯はさらに1,500万から2,000万世帯増える見通しとなっています。しかし中には、相手先の経営上の理由等で、すでに結んでいる契約を解除せざるを得ないケースも出てきています。先月のインドネシアにおける契約の解除に続き、本日お諮りするのもそうしたものの一つです。廃止の対象となるのは、協会国際衛星放送のうち、ベトナムのハノイに本社がある放送局VTC社を通じて、「アジアサット5」という衛星を用いて実施してきた放送の業務です。VTC社の要望に基づき、NHKが放送番組を、同社が衛星による配信システムのサービスを、それぞれ無償で持ち寄る形で、平成22年7月からベトナム向けに「NHKワールドTV」を放送してきました。NHKの費用負担はありませんでした。平成24年3月時点で視聴可能世帯はおよそ2万世帯でした。しかし、本年1月、VTC社が平成24年3月以来、一方的に「NHKワールドTV」の放送を中止していたことが分かりました。それまで同社は、NHKのたびたびの問い合わせに対して、「放送は継続している」との説明を繰り返してきましたが、このとき初めて、「衛星の信号が弱く放送できない」と明らかにしました。NHKは同社に厳重に抗議し、放送の再開を繰り返し強く求めてきました。これに対して同社は、「別の衛星による再開を検討中であり、契約を継続したい」としながらも、具体的な動きは一切見せませんでした。このような経緯を踏まえて、NHKでは本年5月に、速やかに放送を再開しなければ契約を解除する旨の通告を文書で行いました。しかし、同社は期限までに放送再開と契約継続意思を示しませんでした。このため、NHKは同社との契約を解除し、本業務を廃止する今回の手続きを踏むことにしました。現在、ベトナムではVTC社以外に衛星事業者やケーブル事業者等を通じて、合わせておよそ190万世帯で「NHKワールドTV」の視聴が可能となっています。さらに、同社における放送はすでに中止されていることから、廃止したとしてもベトナムにおける放送サービスに及ぼす影響は軽微だと考えています。この議案を決定いただければ、放送法第86条第1項に基づき、総務大臣に対して協会国際衛星放送の業務の廃止を認可申請したいと考えています。ご審議をよろしくお願いします。

 (浜田委員長)

 VTC社が「衛星の信号が弱くて放送ができない」と説明してきたことについては、事実なのでしょうか

 (森永理事)

 問い合わせたところ、財政的な理由により当初使っていた衛星を規模の小さい衛星に切り替えたということで、その衛星は規模が小さいため、送信できなくなったということです。

 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (5) NHK情報公開・個人情報保護審議委員会委員の委嘱について(資料)

 (上滝理事)
 初めに、簡単にNHK情報公開・個人情報保護審議委員会についてご説明します。これは、NHKに情報開示を求めた視聴者から、NHKの一部開示または不開示の判断に対して再検討の求めがあった場合に、中立的・客観的な立場からNHKの判断をチェックする第三者委員会です。委員は5人で構成されていますが、経営委員会の同意を得て部外の有識者に委嘱しています。任期は2年で、再任可能です。定款の第13条第1項第1号の規定により、議決をいただければと思います。
 今回、平成25年7月1日付で、大島崇志氏(弁護士)、宮内忍氏(公認会計士)の2名に再委嘱、小泉万里子氏(元厚生労働省宮城労働局長・現(株)ビックカメラ監査役)に新規委嘱したいと考えています。
 ご審議のほど、よろしくお願いいたします。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (6) 中央放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (木田理事)
 中央放送番組審議会委員として、平成25年7月1日付で、小田尚氏(読売新聞東京本社専務取締役論説委員長)に、2期目の再委嘱をお願いしたいと思います。定款第66条第2項の規定により、経営委員会の同意をお願いします。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 (7) 国際放送番組審議会委員の委嘱について(資料)

 (森永理事)
 国際放送番組審議委員の委嘱についてです。平成25年7月1日付で、内永ゆか子氏(特定非営利活動法人ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク 理事長)、平林国彦氏(UNICEF(国連児童基金)東京事務所 代表)の2名に新規委嘱、内海善雄氏(前国際電気通信連合 事務総局長)に再委嘱したいと思います。
 採決の結果、原案どおり議決。

 

 

12 報告事項

 (2) 平成24年度年金基金の状況

 (吉国専務理事)
 24年度の年金基金の状況についてご説明します。年金基金規模については、23年度末の時価総額の2,494億2,000万円に、24年度は基金繰入が323億2,000万円プラスとなり、24年度末は2,817億5,000万円になりました。25年度以降も安定した運用を心がけていきたいと思います。

 (石原委員)

 年金基金の運用における総合収益278億8,000万円という数字は、実現損益ではなく評価損益ですか。

 (吉国専務理事)

 時価評価です。

 

 (3) 「関連団体運営基準」の一部改正について(資料1)(資料2)

 (吉国専務理事)
 関連団体の運営基準の改正について、ご説明します。関連団体の運営基準は、NHKが関連団体の事業目的・業務範囲を明確に規定し、適切な業務内容のガイドラインとするため、平成14年にNHKが自主的に制定したもので、いわば関連団体の「憲法」のようなものです。今回の改正は、制定以来初の大幅な改正になり、その背景についてご説明します。運営基準を制定した当初は関連団体の規模もさほど大きくなく、NHKと関連団体という形で区分けし、規定していました。その後、NHKの必須業務である重要な業務が関連団体に移行し、今はむしろNHKと関連団体が一体になって公共放送を運営しているという形ですので、グループとしてのガバナンス強化、グループ一体の経営を志向する方向に変わってきています。それに基づき、運営基準を見直してきています。
 今回の改正のポイントについては、資料別添の「『関連団体運営基準』新旧対照資料」をご覧ください。まず、1点目は、NHKのグループの一員としての関連団体の位置づけの明確化です。これまでの運営基準の条文では、「NHKと関連団体」という表現を使っており、「NHKグループ」という概念は盛り込まれていませんでした。今回、「NHKグループの一員としての」という形で、関連団体の位置づけを前文および関係条文で明文化しました。具体的には前文、〔運営基準の目的〕を記した第1条、〔関連団体の事業目的〕を記した第5条、〔事業活動における遵守事項〕を記した第8条、〔リスクマメジメントの実施〕を記した第28条、〔コンプライアンスの徹底〕を記した第29条が該当します。
 2点目は、NHKからの協力要請に対する関連団体の応諾義務の明文化です。第9条をご覧ください、「NHKは関連団体の事業運営に対して基本契約等に基づき指導・監督を行う」と規定していますが、新たに第2項、第3項を追加します。第2項は、「NHKから報告・調査等の要請があった場合は、関連団体は正当な理由がある場合を除いてこれに応じる」というものです。関連団体側にも応諾の規定を設けました。ただし、関連団体の中には、株式会社だけではなく公益の財団法人、学校法人、社会福祉法人なども含まれています。特に関連公益法人については、公益性にも配慮していく必要があり、第3項で、「NHKが指導・監督を行う際は、特に関連公益法人等についてはそれぞれの団体を規律する法令等を遵守しつつ行う」ということを記しています。条文には書かれておりませんが、当然、株式会社についても、会社法や各種業法など、それぞれ法令を順守しながら、この条項を適用することになります。
 3点目は、グループガバナンスの基本事項や、各団体の経営の重要事項について、新たに事前協議や事前説明事項とするものです。事前協議事項とは、各団体での経営決定前に、NHKとの協議・承諾が必要なもの、事前説明事項とは、同じく団体の経営決定前にNHKへ説明を義務づけるものです。まず、第11条で、新たに事前協議事項としたものについてご説明します。「(3)年度事業計画および収支予算」「(4)中・長期事業計画」については、経営計画の管理統制はグループ経営の基本事項という考え方から、事前説明から事前協議に変更します。次に、「(5)利益処分または損失処理」は、これまで配当のみが事前協議事項でしたが、配当の実施も含めたより広い範囲の決算方針に拡大しています。このほか「(15)重要な事業の終了・廃止」「(17)多額の金銭の借り入れ」「(21)社長・理事長の退任後の再雇用時の処遇」「(23)重要な許認可事項の申請」についても、新たに事前協議事項としました。続いて、第12条では、新たに事前説明事項とするものが2件あります。「(3)採用計画」「(4)従業員の処遇・給与等に関する規定の重要な変更」です。これについては、関連団体が事前説明を行ったうえで、必要があればNHKからも意見を言っていくという形になります。
 4点目は、NHK以外との取引で発生する知的財産権、情報管理の尊重の明文化です。第32条・第33条をご覧ください。現行の運営基準では、NHKグループ内での取引で発生する知的財産権やNHKとの業務で発生する情報についてのみ適切な管理を求めていました。今回の改正にあわせて、NHKグループ外の取引で発生する知的財産権の侵害や情報漏えいの防止についても盛り込みました。
 5点目は、関連団体のNHKエンタープライズと総合ビジョンの合併を反映したものです。(別紙1)「関連団体系統図」と(別紙3)「各関連団体の事業内容」の中で、「総合ビジョン」の記述を削除します。
 これらの運営基準の施行は、7月1日の予定です。

 (渡委員)

 32条の「他者」と33条の「他社」は、意味が違うということで区別しているのですか。

 (吉国専務理事)

 「他者」という意味は、NHKではないということです。改正前の条文には「NHKが保有する著作権、特許権等の知的財産権」と記載されていますが、それ以外の著作権知的財産権も含むという意味です。

 (渡委員)

 そうすると33条も同じく「者」になるのではないでしょうか。法人も個人も両方対象という趣旨であれば、32条の「他者」と同じ趣旨ではないかと思います。何か意味があって記載を区分けされているのでしょうか。

 (吉国専務理事)

 弁護士とも相談してこのように改正したのですが、再度確認します。33条は、法人間の取引を想定して規定したものです。

 (石原委員)

 同じ質問かもしれませんが、32条の2項を追加した理由を教えてください。他者の知的財産権を侵害してはいけないというのは、当たり前のことですよね。まさに法律の基本的な事項であり、なぜあえてここに追加しなければならなかったのでしょうか。NHKの中で知的財産権の使用がいい加減にならないように規定することは理解できるのですが、NHK以外についてあえて記載する理由を教えてください。

 (小泉関連事業局長)

 当初は、NHKと関連団体の関係だけを想定していましたが、この規定が社会的にもきちんと通用するように、他者にも配慮しているということを示したほうがよいという考えで追加したものです。

 (室伏委員)

 グループ経営はこれからますます重要になってくると思いますし、このような改正はとてもよいことだと思います。ただし、グループ経営を進める場合、グループが大きくなればなるほど、グループ全体に当事者意識を持ってもらうための努力が必要です。コンプライアンスやリスクマネジメント、あるいは中長期の事業計画に関して、グループ全体が当事者意識を持って取り組んでいくことは、NHKの発展のためにとても重要なことだと思いますが、さまざまな関連団体に対して、NHKからどのような働きかけを行っているのでしょうか。例えば研修や会議などにおいて、どのように対応されているのかについて教えてください。

 (吉国専務理事)

 例えば、関連団体のトップ全員とNHKの役員が集まる関連団体協議会を年2回開催し、NHKの予算や重要な事項などをきちんと共有しています。また、全団体の上位の役員と話をするグループ会議を年4回開催しています。さらに2か月に1回、24団体の総務担当者と関連事業局で情報交換を実施するなど、かなり頻繁に情報共有の場を持っています。職員の研修等も、できるものはグループとして実施しています。また、日常的に関連事業局が窓口になり、さまざまな事項について相談に乗ったり、協議するなど、かなり緊密に対応しています。

 (室伏委員)

 分かりました。末端まで浸透させることが重要だと思いますので、ぜひ努力を続けていただきたいと思います。

 (松本会長)

 少し補足しますと、例えば、関連団体の新入社員の入社式に私が出席して講話をしていますし、グループの幹部研修でNHK側から話をするプログラムもあります。NHKの考え方にグループ全体をきちんと合わせていくことが重要ですので、関連団体の役員の評価制度を見直しました。また、役員の任期は2年でしたが、23年度に定款を改正して、株式会社については1年の任期とし、役員は毎年株主総会で選任することにしています。

 (浜田委員長)

 関連団体の役員評価はどうなっているのですか。

 (吉国専務理事)

 基本的には業績や目標達成度に基づき金額を決めています。

 (浜田委員長)

 事前協議事項の中に「債務保証」という項目がありますが、これは関連団体が別の会社に債務保証を行うという意味ですか。

 (吉国専務理事)

 そうです。

 (浜田委員長)

 そういうケースはあるのですか。

 (吉国専務理事)

 ほとんどありません。

 (浜田委員長)

 NHKは、債務保証できませんよね。

 (吉国専務理事)

 NHKは受信料で運営されているのでできませんが、子会社が債務保証することは禁止されているわけではありません。

 (浜田委員長)

 債務保証をする際、求められる連帯保証などはないのですか。債務保証能力については疑問を持っていますが、その点はどうなのでしょうか。

 (吉国専務理事)

 それぞれの子会社は剰余金などを持っていますので、もし仮に債務保証を行う場合、当然そういう能力も見たうえで判断することになります。

 (浜田委員長)

 また、事前協議項目の中に「多額の借り入れ」という項目がありますが、どれぐらいの額を想定しているのですか。

 (吉国専務理事)

 総資産の1%です。

 (松本会長)

 関連団体が債務保証を行う前に、それぞれの会社が財政をきちんと安定させ、その信用により借り入れをするのが第一だと思います。ただし、制度としては整えておく必要があるということです。

 (石原委員)

 NHKが関連団体に債務保証できないのは、グループ子会社の管理において非常に重要な課題だと思います。NHKが指導して管理する以上、その子会社の経営が厳しい状況になった場合は、親会社として助けないといけないのです。通常は、債務保証する、あるいは増資するという形になりますが、NHKは法律上、子会社に対してそういうことはできないでしょう。そこは何とかならないのですか。

 (吉国専務理事)

 増資する際も総務大臣の認可が必要ですので、すぐにはできませんが、新しい仕組みが作れないか考えています。

 (石原委員)

 努力していることはよく分かっているのですが、いつまでも検討していて一向に進まないのは問題だと思います。話は変わりますが、平成24年度決算でNHK出版は黒字に転換しましたね。23年度は赤字決算でしたが、どのような努力により黒字になったのでしょうか。

 (吉国専務理事)

 テキストなどのNHK関連の出版物は、視聴者ができるだけ多くの書店で購入できるよう、これまでは多めに発行していました。しかしそうすると大量の返品があり、それが経営をかなり圧迫していた部分がありましたので、アイテムごとに1つずつ細かい管理を行い、返品がなく、なおかつ欠品が出ないように工夫したということです。これは非常に難しいことなのですが、そういう工夫をかなり精緻に行っています。もう一つは、役員報酬や職員の賃金切り下げなどの人件費の抑制に加えて、紙代や印刷代など、あらゆるコスト削減を行っています。収入は、まだ若干落ちていますが、出版物の企画強化などにより改善するよう努力しています。コスト削減はトータルで12億円になっています。

 (石原委員)

 コスト削減だけで12億円ですか。

 (松本会長)

 出版物の印刷の効率化、在庫管理方法に着目し、書店などとも交渉しながらコスト削減を積み上げました。出版の規模を落とすことは、出版社にとってはステータスを落とすことになります。しかし、出版業界は紙離れなど構造不況がずっと続いているためそこに切り込んだということです。役員報酬などの削減と同時に出版物の規模の大幅な見直しを実施することを意思統一したのです。これまで行ったことがないことでしたので、さまざまな問題もありましたが、やり切りました。1年目は、改善の兆しは見えたのですが赤字でした。2年目は、さらに努力を継続して、黒字に転換したのです。これについては大変評価しており、私はNHK出版の機関紙にもそのことを書きましたし、関連団体との会議においても話しています。

 (石原委員)

 そういう会社を表彰するようなことはしているのですか。

 (吉国専務理事)

 NHK出版は目標を達成しているので、役員報酬などで対応しています。また、テキスト販売の取り組みについては、表彰を実施しました。

 (松本会長)

 会長としても、NHK出版の役員全員に、よく頑張ってくれたという意を表しました。

 (石原委員)

 NHK本体の職員と、関連団体やグループ会社の社員の給与水準には、差があるのですか。

 (吉国専務理事)

 各社それぞれの状況は異なりますが、相対的にNHKより低くなっています。

 

 (4) NHKエンタープライズと総合ビジョンの合併について(資料)

 (吉国専務理事)
 7月1日に、株式会社NHKエンタープライズが株式会社総合ビジョンを吸収合併することになりましたので、ご報告します。
 まず、両社についてですが、NHKエンタープライズは、NHKの番組制作の基幹的な会社でありその資本金、売上高は資料に記載しているとおりです。総合ビジョンは、昭和61年にNHKエンタープライズと電通がそれぞれ25%ずつ出資し、そのほか映画会社や金融機関、商社などの出資により設立された会社です。当初はいろいろな事業を手掛けていましたが、現在はほとんどアニメ事業だけを行っています。特に、NHKが放送しているアニメ番組を制作しています。ただ、アニメ事業はNHKエンタープライズも行っており、NHKグループの中で2つの会社がアニメ事業を運営しているという形になっていました。経営計画では、「効率的なグループ経営の推進」として、子会社等の位置づけを明確にし、重複業務の整理、業務の仕分けを推進するということを挙げていますので、今回、吸収合併を決めたということです。この吸収合併の目的は、2社に分かれていたNHKのアニメ制作体制を一元化して、アニメの制作展開能力を最大限発揮できる体制を整えるということです。総合ビジョンは、これまで「忍たま乱太郎」や、「キングダム」、「カードキャプターさくら」など、かなり人気のあるアニメ番組を制作してきました。それを基にミュージカルの公演の開催や、DVD、ディスプレーの販売なども行っていましたが、会社の規模が小さく、なかなか十分な力を出すことができませんでした。今回、NHKエンタープライズの中に入ることで、国際事業も含めてさらに大きく展開でき、NHKグループ全体のアニメ事業の発展につながるのではないかと考えています。また、管理業務の重複なども解消されるため、人材を有効に活用できるのではないかということです。
 スケジュールとしては、昨年11月27日に基本合意書を締結、ことしの3月29日に合併契約書に調印し、7月1日に合併する予定です。存続会社名はNHKエンタープライズで、総合ビジョンの株をNHKエンタープライズが全部買い取りますので、NHKエンタープライズの資本金は変わりません。総合ビジョンは、16人の役員と社員のうち、1人を除く15名がNHKエンタープライズに移ります。今後は、コンテンツの制作力拡大に力を入れて、「忍たま乱太郎」「キングダム」などのコンテンツのほか、先ほどの「カードキャプターさくら」や「十二国記」など、過去の番組のデジタルリマスター化や、ブルーレイディスクなども展開していきたいと思います。NHKエンタープライズと総合ビジョンが培ったノウハウをもとに優良なアニメコンテンツを制作し、NHKエンタープライズの展開力によって、NHKのアニメブランドが広く国内外に浸透することを目指していきたいと思っています。以上です。

 (上田委員)

 この合併自体については、グループ経営の効率性が高くなり、よいことだと思います。先ほど平成24年度の連結決算の説明の中で、福井理事から、NHKグループ内のシステム統合を進めているという話がありましたが、グループ経営の効率を高めるために、それ以外のアジェンダといいますか、検討されている事項や統廃合等はあるのでしょうか。

 (吉国専務理事)

 先ほどご説明したように、アニメ事業の部分は重複が明確でしたので、以前から懸案になっていました。今後NHKグループ全体での業務の仕分けを行い、NHK本体で行うべき仕事と、関連団体で行うべき仕事を、もう一度明確に定義づけたいと考えています。関連団体の設立時期はばらばらのため重複している部分もありますので、今後そうした点を踏まえてNHKグループ全体のグループフォーメーションを考えていきたいと思います。ことし10月から事務系システムを統合する予定です。また、それにあわせてシェアードサービスのような形で子会社のNHKビジネスクリエイトが業務を受託することで、各社の経営状況もより的確に把握できるようになると思います。

 (上田委員)

 了解しました。

 

 (5) 予算の執行状況(平成25年5月末)(資料)

 (6) 契約・収納活動の状況(平成25年5月末)(資料)

 (7) 地方放送番組審議会委員の委嘱について(資料1)(資料2)

 (浜田委員長)
 報告事項(5)、(6)、(7)については、特段の質問等がなければ、資料配付のみで報告に代えさせていただきたいと思います。

 

 

 以上で付議事項を終了した。

 

 

 上記のとおり確認する。

 

 平成25年7月9日    

浜 田 健一郎

 

井 原 理 代