ページの本文へ

NHK金沢・石川WEBノート

  1. NHK金沢
  2. 金沢・石川WEBノート
  3. 夏の高校野球石川大会 日本航空石川2023 中村監督インタビュー

夏の高校野球石川大会 日本航空石川2023 中村監督インタビュー

  • 2023年07月14日

春の北信越大会2連覇を達成し、優勝候補の日本航空石川。夏に挑む選手・監督の思いを聞いてきました!まずは、チームを率いる中村隆監督のインタビューです。今年は、”新たな指導”にも挑んでいました。
(アナウンサー 大村和輝)

いざ、決戦の時 6年ぶりの夏の甲子園へ

初戦は津幡に決まりましたね。

そうなんですよ。またまた…。また津幡か…という感じでしたけど。初戦とかで良く当たるんですよ。

その津幡もそうですけど、Dゾーンに力のあるチームが集まりました。

有力候補がたくさん集まったなというイメージあるんですけど。 5回勝つか、勝たないか。それだけなので。どちらにせよ。 彼らの力を信じてますんで、やってくれるだろうと。

選手は緊張している?

緊張している感じはありますね。 結果を気にせずにやってほしいですよ、本当に。過去に「結果を残さなきゃ、打たなきゃ」ってうまくいった例は見たことないです。 どこかでね、どこかでそれを飛び越える瞬間が出てきた選手は、大会にグワーッと入っていける。それが何なのかは、人それぞれ。超えた瞬間に一気に強くなりますからね。無敵のゾーンに入りますから。ここに入れるかだと思いますよね。

夏の初戦って、他の大会とは少し違いますか?

やっぱり選手は緊張しますよね。そこだけどう乗り越えるかっていうのが課題だと思います。

春の県大会の鵬学園との初戦(延長戦の末1-0で勝利)は緊張があったんですか?

あったと思います。 自分たちの力がやっぱりうまく発揮できなかったというのが大きいですね。 今回特にどういうメンタル面のコンディションで臨めるかは大事にしています。

メンタルはどう整えてくんですか?

いろいろあると思うんですけど、僕はやっぱり楽しめる状況に持っていってやりたい。 1対1の闘い目の前の敵に対峙して欲しいなと。 それを楽しめれば、自ずと結果はついてくるんじゃないかなと。 春の県大会からからずっとやってきたんですよ。

”新たな指導スタイル”への挑戦

それって具体的にどうするんですか?

結果を気にしない。 まさしくそこだと思う。 打たなきゃとか、打たれたらどうしようとか、目に見えない未来を感じながら不安になる子が多いので。大きな舞台であればあるほど。 これでだめだった仕方ないだろうぐらい割り切りですね、最後。 開き直れることが大事だと思ってて。1番は、結果どうこうよりも、この勝負を楽しむ、だめだったら相手が上でいいじゃないかと。敵は相手なので。自分だったり、自分の中だったり。監督が恐い人だったら、監督に怒られないように…ってやっぱり萎縮してしまうし、パフォーマンスは出ない。 僕も怒らないように。試合でもそうですし、技術的なミスは怒らないっていうのを春からずっと決めて、今年は自分も変わってやろうと思いました。最後の舞台で思い切ってやらせるための仕掛けですね。

これはきっかけがあったんですか?

僕の1つの上の先輩で、ヤクルトの武内晋一(智辯和歌山‐早大‐ヤクルト)さんに話を聞かせて頂いて。小学校・中学校の僕の地元の神戸須磨クラブっていう(地元のクラブの)先輩だったんですよ。この人にすごい憧れていて。ずっとご飯とかに連れていって頂いていて。先日、ご飯に行った時にそういう話を聞いて、すごく衝撃を受けたんですよ。「これかもしれない」と。 指導っていうのはこういうことなんだって僕の中でガラッと色が変わった

「自分と戦っちゃってるんじゃないか」っていう所ですか?

1番は「ベンチ」ですね。例えば、前にボテボテのゴロをバーッとダッシュして捕りにいって、攻めた結果はじいちゃったってなった時に、「丁寧にとれ!!」って厳しく言われたら、もう前に行けなくなっちゃう。そういうふうに言われると。そうすると、選手は丁寧に丁寧に、怒られないように…ってやっちゃうんで。そうするとその子の技術って伸びないんです。幅が広がらない。「前に行く」っていうのは、本当はすばらしい行為なんですよね。ボテボテのゴロを前でさばくっていうのは…。 例えば、「初球の甘いボールきた」と思って打ったら、フライをポーンと上げてしまったとします。すると、「初球からなんやそのバッティングは!!」と言われてしまう。 でも、ファーストストライク打つことって打率が1番高いわけで、良いことなんですよね。それを怒られたばかりに初球からいけなくなったとか、怒られないようにするためには初球の甘いボールでもいかない方が良いってなってしまう。すると、選手って萎縮して、どんどんプレーの幅も狭まっていってしまう。それをベンチが作ったら駄目だよと。

技術的なことは絶対怒らないと。

自分も重ね合わせて考えてみると、現役時代いっぱいあるんですよ。そうやって怒られたことによって萎縮するというか…(笑) 今は”対話”をすごい増やしています。前の課題は何だった?と。 例えば、「初球のストレートにいきます」だったら、その課題をきょうの練習試合で4打席だったらどれだけ出来たの?っていうのをちゃんと見てやって、あとでそこに対しての対話をしていきます。 その時も「どうだった?」って必ず聞くようにしています。 「はい」と「いいえ」しか答えられない質問をする人が悪いので。「どうだった?」って聞いたら、「はい」とか言えないじゃないですか。その感想をちゃんと聞いてやる。

コーチとも対話を重ねる中村監督

それを1人1人にやるのは大変じゃないですか?

1人1人、ノートに書かせています。それを試合や練習の前に課題をちゃんと見るようにもさせています。どうしても 「甲子園、甲子園」ってなるんですけど。この子らの野球人生考えたときに、「成長」することが良いっていうことですよね。甲子園に行くことが良いっていうよりも、成長したことが良い。 ちゃんと課題を自分なりに考えて、挑戦していていって、出来た、出来なかったっていうのを繰り返して、”成長していく引き出しが増えていく”っていうのが指導としては良いっていう考え方です。その結果、甲子園があればもっと良いよねっていう。 楽しみですね。自分も変わって、やってきたことがどう出るかという。

この夏のポイントは、どこになると考えていますか?

ピッチャーです。絶対ピッチャーです。 ピッチャー陣が春の県大会、北信越も崩れてないんです。 負けないピッチングをして欲しいです。 ランナー出てからも崩れない強さがあるので、そこを発揮してほしいですね。

この夏のキーマンは、ズバリ!誰だと予想しますか?

浦久(エース)ですよ。 メンタルがしっかりしてます。ぶれない。 自分の調子をコントロールする術を持っていますから。
浦久をはじめ、皆、やってくれると思います。

  • 大村和輝

    NHK金沢 アナウンサー

    大村和輝

    出身地 埼玉県狭山市
    石川に来て、あっという間に3年目です。
    取材の度、親身になってお話しをして下さり、心から感謝しています。
    地域のお役に少しでも立てるよう、力を尽くします!

ページトップに戻る