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鹿児島にホッキョクグマが戻ってきた「ライト」平川動物公園に

  • 2023年04月01日

鹿児島市の平川動物公園に久しぶりにホッキョクグマの姿が戻ってきました。和歌山県からやってきた「ライト」です。3月22日から一般公開も始まり、早くも人気を集めています。

(鹿児島局 松尾誠悟記者)

約2年半ぶりの展示に歓声が

ファンの前に姿を現したライト

展示施設に姿を現すと歓声があがりました。鹿児島市の平川動物公園で3月22日から一般公開が始まったのです。平川動物公園でホッキョクグマが展示されるのは、およそ2年半ぶりです。

「ライト」は9歳のオス。和歌山県のアドベンチャーワールドから、繁殖を目指して3月上旬にやってきました。動物園の新しい仲間を見ようと集まった大勢の家族連れ。鹿児島市の30代男性は「待っていたので、楽しみにしていましたので、見られてよかったです。子どもにかわいい姿を見せることができてよかった。暖かい鹿児島でシロクマが元気に育ってくれればなと思います」と話していました。

そして、なんと和歌山時代から「ライト」の成長をおいかけてきたという熱心なファンの姿も。リュックサックには「ライト」の写真でつくられたバッジがつけられていました。

ファンの女性

息子の入学式に来たような気分です。おだやかでかわいらしく、たまにユニークでおもしろいことをしてくれるところが好きです。

ファンの女性

とても元気そうで安心しました。ぜひすてきなペアを見つけて元気に育ってほしい。

集まった人たちの前にゆっくりと姿を見せた「ライト」は、展示施設の広場に置かれた馬肉や白菜といった餌を食べたりプールに入って遊んだりして、さっそく元気に動き回っていました。

人工保育で育った

「ライト」は10年前に和歌山県のアドベンチャーワールドで生まれ、当時国内で数例しか成功例がなかった人工保育で育ったホッキョクグマです。

母親が育児を放棄したため飼育スタッフが取り上げて、4人が交代で泊まり込みながら担当しました。4時間おきにミルクを与え、おなかを壊さないよう慎重に観察したりミルクの量を変えたりして、育てられたといいます。

アドベンチャーワールド 鳥原峰幸 飼育スタッフ
人工保育は例が少なかったので、最初の3か月ぐらいは大変でした。僕が担当したなかで小さいときから見ている数少ない動物なので、さみしい気持ちです。ぜひ花嫁さんをもらって、鹿児島で愛される存在になってほしい。

ホッキョクグマの飼育は減少

平川動物公園では、これまでに6頭のホッキョクグマを飼育してきました。記憶に新しいところでは、2001年にやってきたオスの「ホクト」とメスの「カナ」の2頭です。毎年、夏にプレゼントされる氷に喜んで抱きつく愛らしい姿が人気を集めていました。

絶滅危惧種となっているホッキョクグマ。いま温暖化の影響で生息地である北極海の氷が溶け、さらなる危機にさらされています。

動物園で新たな個体は導入できません。公益社団法人日本動物園水族館協会によると、国内でのホッキョクグマの飼育頭数は1994年に59頭で最多となりましたが、去年12月末には34頭まで減少しています。

今後はメスの導入も視野に

そうしたなか平川動物公園では、飼育に加えて繁殖にも取り組んできました。野生では雪の下や岩穴のなかで子どもを産むことを踏まえて、2010年には妊娠した個体が安心して出産できるよう「産室」という設備を作っています。

ホッキョクグマの繁殖は難しいことで知られています。平川動物公園でも、過去に少なくとも7頭が産まれましたが、いずれも生後まもなくから最長でも3か月の間に死んでしまったということです。

今回「ライト」は動物園どうしで繁殖をさせることを目的に動物を貸し借りする「ブリーディングローン」と呼ばれる制度でやってきました。平川動物公園では、今後はメスのホッキョクグマの導入を進めることにしています。

平川動物公園 福守朗園長
ライトも落ち着いた様子で扉を開けたらすぐに出てくれたのでうれしく思っています。地球温暖化が進むなか野生のホッキョクグマは厳しい状況にあるので、そういったことにも関心を持ってもらいたいです。

  • 松尾誠悟

    NHK鹿児島放送局 記者

    松尾誠悟

    2020年入局。災害担当のかたわらスポーツや医療など幅広く担当。大学時代は学生記者でアメフトなど8つのスポーツを取材してきた。ギョーザとビールを愛する25歳。

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