行き着いた岩内町で海外との懸け橋に
- 2023年8月16日
ローカルフレンズ滞在記、8月の舞台は後志の岩内町です。町でカフェを営むローカルフレンズの目黒沙弥さんのもとに、札幌局の門脇陸ディレクターが1か月滞在します。
岩内町までは、札幌から車で1時間40分。
滞在初日、アポを取らずに、目黒さんのカフェへ向かうと……
お店が閉まっているようです。目黒さんに電話すると「ニセコにいる」といいます。岩内町から50分ほど車を走らせ、ようやく会えました。目黒沙弥さんです。
ディレクターが来る直前まで眠っていたそう。「ちょっと時間があったから寝ちゃって」。目黒さん、朝からニセコを駆け回っていました。
すぐに連れていってもらったのはホテル内のレストラン。
洗練された店内のカウンターに、国内外の旅行関係者が座ります。その席で目黒さんは、岩内町のPRを始めました。「ニセコの食材も使うし、岩内の食材も使うし、余市の食材も使うし、北海道全体をPRするのにすごく長けている地域なんです」。
実は目黒さんはカフェを開くかたわら、外国人や富裕層に町を売り込む仕事に乗り出していたのです。
目黒さんが営むカフェ
目黒さんに驚かされたのは、その人脈の広さ。町のお祭りを歩けば老舗の酒屋さんやホテルの経営者など、会う人会う人みな知り合いです。目黒さん、いったい何者なんでしょう?
札幌出身の目黒さんは、バックパッカーとして世界を2周、さらに日本を1周したという経歴の持ち主です。
数多くの地域を見た末に、心ひかれたのが岩内町でした。移住の決め手は、町に暮らす人たちだったそう。
カフェisalibi・目黒沙弥さん
「きれいなところはたくさんあるわけじゃないですか。けど思い出すのは人が関係している出来事ばかりで。私にとって本物だなって思うのは岩内なんですよね。住んでる人、面白いじゃないですか」
すっかり岩内町に魅了された目黒さん。世界とこの町を結びたいと考えるようになりました。そこで注目したのが、町のおすし!
ニシンやスケソウダラ漁で栄えた岩内町は、町の中心部だけで7店ものすし屋がひしめく、すし王国。食べに来た方も「味が全然ちがう」と大絶賛。
この職人技を見て、目黒さんは思いつきます。
「海のないニセコに打って出よう!」
ニセコは言わずと知れた国際的なリゾート地。そこに、岩内町のすし文化を持ち込もうと考えたのです。そうして、すし職人が出張するサービスを始めると、これが大成功。
海外の富裕層から指名されるようになりました。
清寿司 支店・杉山圭介さん
「(先シーズンは)20回近く行ったかな。自分は岩内から来たんだよってそういう話をしながら」
自信をつけたすし職人たちは、町外や海外の人など、もっと広く岩内町の味を知ってもらおうと考えるようになりました。先月オープンした創作居酒屋も、そのひとつ。
腕を振るうのは、先ほどのすし屋の3代目・杉山晃平さん(24歳)です。札幌で学んだフランス料理の技を生かし、岩内町の素材を斬新な発想で調理し、提供しています。
メニューはマグロのトリュフオイル漬けや5色ゴマのなめろうなど珍しいラインナップ。
お客さんも「変わっているのがおいしかった」と話します。しかし杉山さんは満足していない様子。
しすいせ 店長・杉山晃平さん
「札幌で本当にがんばっている人たちを見てきたので、まだまだですね」
その姿を近くで見てきたローカルフレンズの目黒沙弥さんは、杉山さんの熱意をひしひしと感じているそう。
「晃平さんって寡黙じゃないですか。でも、メラメラと湧き出る熱さがある。それって本物だから伝わるんですよね」
「小手先の技術なんかに負けない熱さがここにはあるんですよ、岩内には」。目黒さんのその言葉どおり、岩内町の熱さに驚いた滞在1週目でした。
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