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道南の強豪から北海道の強豪へ 函館大付属柏稜高校女子バスケットボール部

  • 2024年1月26日

今回の「部活自慢!」は、去年13年ぶりに「高校総体(インターハイ)」と「全国高校選手権(ウインターカップ)」両方の函館支部予選で優勝した函館大学付属柏稜高校女子バスケットボール部です。3年生は引退しましたが、去年もことしも柏稜高校の特徴は変わりません。それはとても小柄だということ。「体は小さくても強いチームになれる」と信じる彼女たちの練習には工夫と努力がぎっしり詰まっていました。

スピードとパワーを生む「パワーポジション」


部員13人の平均身長はおよそ1m60cm。柏稜高校は非常に小柄です。バスケットボールは得点が入るリングが高いところにあり、「身長」が重要とされます。身長が高いほど邪魔をされずにシュートが打てるし、こぼれ球のリバウンドもとりやすいからです。これに当てはめると彼女らはとても不利に見えるのですが、「大きな相手にも“スピードとパワー”で対抗できる」と言います。

まず練習で徹底していたのがスピードとパワーを生み出す理想の姿勢。これを「パワーポジション」と呼んでいます。

蠣崎愛心(かきざき・あみ)キャプテン
パワーポジションは股関節を曲げて重心を低くして、つま先、ひざ、胸が一直線になるように構える姿勢です。これによって相手と接触したときにも負けずに耐えられます。また走ったり、ジャンプしたりする時も一瞬早く動き出せるようになるのです。

ウォーミングアップはパワーポジションでステップ、パワーポジションでドリブル、パワーポジションで体の押し合いなどなど…、全てパワーポジションを身につけるためのメニュー。47歳のおじさん(筆者)もちょっとだけまねしてみましたが、すぐに太ももがプルプルしてきます。この姿勢を1試合通して維持するのは相当な筋力と体力が必要なのだと痛感しました。

コーチは元プロバスケットボール選手


チームで技術指導をするのは柏稜高校に来て6年目の福家健人(ふくや・けんと)コーチ。小柄な選手ばかりのチームを成長させ、去年13年ぶりに道南の大会(函館支部予選)で優勝に導きました。

実は福家さんは元プロバスケットボール選手。身長1m68cmと小柄な体で国内トップレベルのリーグを戦った経験を持っています(当時のbjリーグ、新潟でプレー)。もともと北海道教育大函館校の出身。引退後は高校教員となり、自身の経験も生かして独自のチーム作りに取り組んでいます。

福家健人コーチ
まずパワーポジションをしっかり身につけて、ぶつかっても勝てるチームを目指しています。去年は先輩たち(3年生)のおかげでたくさんの経験をさせてもらっているので(ことしも)十分チャンスがあると思っています。あとは選手たちがどのくらい自分たちを信じてできるかだと思います。

小柄でもリバウンドで勝つ

1人1人がスピードとパワーを身につけてどう戦うのか。柏稜高校が目指すのはディフェンスでボールを奪い、速攻で得点を重ねる戦い方だと言います。ではどのようにボールを奪うのでしょうか?とりわけチームが意識して取り組んでいるのが「リバウンド」です。「高さがないから不利なのでは?」と思ったら、福家コーチは「身長が低くても取れるリバウンドはある」と言います。

相手にシュートを打たれた瞬間、一般的にディフェンスの選手は自分の体を壁にしてオフェンスの選手の動きを抑え、リングに近づけないようにすることでこぼれ球(リバウンド)を取ろうとします。これを「スクリーンアウト(あるいはボックスアウト)」と言います。柏稜高校ではそのシュートを打たれた瞬間に、「ヒット!」という声が聞こえてきます。「ヒット?」…ヒットエンドランは野球、ヒットアンドアウェーはボクシング。しかしバスケットボールでヒットという用語は聞いたことはありません。みなさんに聞いてみました。

福家健人コーチ
壁になるように力を入れて構えても体格の大きな相手に接触されたら負けてしまいます。その前にこちらからマークする相手にヒット(接触)しに行って、先に動きを止めてしまうことが重要なんです。

なるほど。そのためにパワーポジションを身につけているのですね。

蠣崎愛心キャプテン
「ヒット」は仲間に指示する声ではなく、「自分は1人抑えにいける」と知らせる声なんです。みんなボールの位置や自分のマークする相手を見ていますから、試合中は「声で知らせ合う」ことが欠かせません。「ヒット」という声が聞こえれば「ここは仲間がいるから大丈夫」ということが分かるし、意識を向けるところが限定されればチーム全体で守りやすくなります。

スポーツではいち早く指示を出し合うだけではなく、いち早く「大丈夫だよ!」と知らせることも大事なんですね。

道南の強豪から全道の強豪へ

福家コーチに部の歴史を伺うと「自分が着任する前なので詳しいことは分からないのですが」と前置きした上でこんな話をしてくれました。

福家健人コーチ
今回のインターハイ(高校総体)とウインターカップ(高校選手権)の函館支部予選優勝が13年ぶりですが、実は前回の優勝(2010年)まで柏稜高校は道南ではどちらも9連覇を記録していたんです。全道大会を勝ち抜いて北海道代表として全国大会に出場したこともあります。最高成績は全国高校総体ベスト16です。地元の道南の子どもたちに“柏稜高校でバスケを頑張りたい”と思ってもらえるようなチームを作っていきたいですね。

蠣崎愛心キャプテン
今まで先輩たちが残してきたものも大事にしつつ、自分たちが今の伝統の上を行く結果を残せるようにしたいと思っています。

ことしのチームは去年から試合に出ていた選手も多く、函館支部予選優勝を経験したことで「自分たちも勝てるはずだ」という気持ちを強くしています。一方で、その後の全道大会は2つの大会いずれも初戦敗退。ことしは「道南の強豪から全道の強豪にステップアップしたい」とさらなる高みを目指します。

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