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自分らしい生き方を求めて 西神楽で暮らす人々

  • 2023年9月25日

ここでなら、自分の理想が実現できるかもしれない――。そう人々が集まってくる、旭川市・西神楽。旭川市の市街地から少し離れると、そこには豊かな自然が広がり、上質な暮らしや自分らしい生き方をする人々が集っているのでした。

滞在も終盤。すっかり、谷ディレクターはローカルフレンズの秋山拓郎さんと秋山マリアさん夫婦とも仲良しに。

この日は、ご自宅の庭に怪しげな箱の中で薪をくべる拓郎さんの姿が。これはまさか!

拓郎さん「サウナの聖地になっちゃおうかなと思って」

大自然の中で整う、至福のひと時。

そしてマリアさんが、まだまだ西神楽の自然を楽しむ方がいると言い、森の奥へと車を走らせてくれました。

「朝の作業をしてもいいですか?」

そう言って出てきてくれたのは、石田佳奈子さんと息子の燈くん。石田さんは、5年前にこの地で新規就農しました。

緑豊かな畑で、この日は鮮やかなピンク色のハマナスの収穫です。見渡してみると、畑には様々なハーブが広がっています。

畑の隣にあるショップには30種類以上のハーブがずらり。要望に合わせてつくるというハーブティーは、全国のレストランから注文が入ります。石田さんは知る人ぞ知る、オーガニックハーブの農家だったのです。

フランスで12年、農業の修行を積んだ石田さん。そこで学んだ「理想の畑に農家が移住する」という考え方を持ち、帰国します。

石田さん「植物の環境に合ったところに、自分の身を置こうと思って」「水がきれいで、農薬が使われていない土地を探してここへ」

そうしてたどり着いた西神楽。そこにはもうひとり、畑作業をする人の姿がありました。

石田さんが「大先輩」と尊敬する寺井勇さん。寺井さんのつくる無農薬野菜は、どれも驚くほど大きくて立派です。

「こういう生き方っていいな、そう思いますね」。西神楽の土地に魅せられた仲間が続々と集まっていました。

別の日、突然の訪問者。これまでの放送を見て、感想を伝えに来てくれました。

「西神楽、急になんかよくなってきましたね」

ローカルフレンズの秋山さん夫妻も初対面という、嬉しいご縁。ご自宅が近く、訪ねてみました。

話を聞くと、趣味で写真を撮っているといいます。過去につくったという写真集も見せてもらうと、そこには圧巻の写真の数々が。フォトコンテストで高い評価を得るほどの腕の持ち主でした。

最近、足繁く通っているというお店へ案内してくれました。

やってきたのは、ギャラリーとカフェを併設する「HOKKAIDER BASE(ホッカイダー ベース)」。快く出迎えてくれたオーナーの小原信好さんは、北海道の絶景とバイクを映すフォトグラファーです。これまで30年、その第一線で活躍してきました。

「壮大な景色を楽しめる北海道で、ライダーや旅人が憩える場所をつくりたい」と、長年の夢を実現させようと始めたのがこのお店。その想いの通り、取材当日もライダーや旅人が次々に訪れていました。

ここでは小原さんがそれぞれの相棒であるバイクとともにお客さんを写真に収め、翌年プリントして店に置いています。

小原さん「写真を受け取りにまたここへやってくる」「ここは、戻ってくる場所だよ」

旅先で撮る1枚の写真が、西神楽に帰ってくるきっかけになっているのです。

【おまけ】制作スタッフが今月の滞在先へ行ってみたin西神楽

「ローカルフレンズ滞在記」の制作スタッフをしている鬼塚です。普段は番組のウェブサイトを編集したり、ウェブ記事を書いたりしています。西神楽編2週目の放送を終えた翌日、私は列車に飛び乗りました。目的は、今回の舞台である西神楽に行くこと。ここまでの放送をみていて、私はすっかりそこで暮らす方々の生活に魅了されてしまったのです。

札幌から西神楽は、旭川駅を経由して2時間ほど。西神楽の駅は1時間に往復1本ずつ列車が通る無人駅。ディレクターの滞在先は、駅からさらに車で10分ほどいったところにあります。広い道路を走り、やがて道路を外れて1本道に入り……、ついに着きました。

このきれいな一軒家がローカルフレンズの秋山夫婦が営む民泊です。ディレクターはここに1か月間滞在しています。中にお邪魔すると、さっそく秋山マリアさんとディレクターとご対面。夫の秋山拓郎さんは、お仕事中とのこと。

ギター片手に歌ってくれるマリアさん

私が着いたのはお昼ごろ。マリアさんとディレクターと一緒に、放送1週目でご紹介したカレー店のご夫婦のもとに出かけます。

放送をみてから、ずっとそこに行くのを夢見ていた私。とってもおいしそうに映っていたカレーを食べること、そして何より素敵なご夫婦にお会いする夢がついに叶います。

お店は、亀濱正哉さん、亀濱美里さんのお二人で切り盛りしています。正哉さんのつくるカレーは予想をはるかに超えるおいしさで、いつもノロノロと食事をする私でさえも、光の速さで食べ終えました。本当に食べたのか疑ってしまうくらい、気づいたらお皿がカラになっていたのです。

カレーに感動したことを正哉さんに伝えると「もう帰らなくていいんじゃない?」と。たしかに……。まだまだ番組を通して道内の魅力を伝えたいので一旦は思いとどまりましたが、札幌で借りているお部屋の更新時期を思い出すところまではしました(あと10か月ほどだった)。

最後には美里さんがつくるお菓子「嫁スイーツ」のクッキーをいただきました。これもとってもおいしくて、お土産に買って帰ったほどです。

「自分たちがご機嫌でいないとおいしいものは作れない」。美里さんが放送で言っていた言葉の意味を、身をもって体験しました。

お店を出て、ディレクターが撮影した正哉さんと美里さん。以前は忙しさのあまり「ちょっとした会話さえできなかった」というのが信じられない…!

さて、お腹もパンパンになったので民泊に戻ろうと車を走らせていると、なんだか見覚えのある方が。なんと、2週目の放送で登場した武田勇美さんでした。軽トラックの荷台に乗ってなにやら作業をしています。車から降りて声をかけると、そこには放送で見たままの「頼りがいのある町のお父さん」が! この日は週末に控える旭川駅前のイベントの準備をしていたそう。放送では「西神楽で困ったことがあったら、地域の人は勇美さんに連絡をかける」とご紹介しましたが、本当に武田さんは今日も地域の人から引っ張りだこでした。

民泊に戻って少しすると、郵便物を届けに配達員が訪ねてきました。マリアさんが出ると、配達員の男性が「NHK見ましたよ!すごいですね!」と声をかけてくれるではありませんか!

反響はこれだけではありませんでした。次の日、民泊の前に1台の車がとまります。そこから降りてきたのは、西神楽に住むという男性。ローカルフレンズの拓郎さんと同じ、元警察官だといいます。近くで野菜の直売所に寄った帰り、テレビに出ていた家はおそらくこのあたりではないか、と訪ねてくれたそう。これが3週目の放送で登場した高坂洋さんとの出会いでした。取材をしていくうちに高坂さんが写真を撮る方だと知り、ご自宅へ訪問させていただきました。

そして最後に、ディレクターの滞在先である民泊。ここには、地方暮らしの豊かさが詰まっていました。

民泊の向かいには、睡蓮が浮く「ため池」が広がります。晴れていれば、旭岳を一望できる特等席です。2階のデッキにあがれば、煙を吹く十勝岳まで独り占め。

建物は自然に囲まれているので、夜になると静寂が訪れます。リビングで夕食を済ませると、テーブルを囲んで談笑して、あとは寝るだけ。こういう生活、いつ以来だっただろう。

ディレクターと話しながら半分寝ている拓郎さん

極めつけは、庭で行うコーヒーの焙煎。火をたいて、ベンチに座ってひたすら鍋を揺らし続けます。手間のかかる工程ですが、これぞ豊かさ。

焙煎をするために火をたいてくれるローカルフレンズの拓郎さん

焙煎の様子

旭川の郊外で、美瑛町にほど近い西神楽。都会の日常から離れたくなったら、ぜひ訪ねてみてください。

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